感覚の人
感覚の人
彼は多くの物事を感覚で判断している。
今日はピリピリする。
そう言って、家の外から出ようとしなかった。
多分、イライラしてるんだろうなってことまでは分かる。
「でも、どうして外に出ないの?」と聞くと、八つ当たりなんかしたくないんだって言うのだ。
そうやって苛立つ気持ちや、葛藤を独りで抱え込んで、何かあなたのためになるのかな?
「ねぇ、私は何のためにいるのかな?」
「はけ口にしてほしいの?」
ほら、てんで分かってない。
「辛いときぐらい辛いっていってほしいの」
「辛いっていったら、君が治してくれるのか?」
彼の頬を叩いた。
頭にきていた。
多分、泣いていたかもしれない。
そのまま彼を残して私は外に出た。
彼はずっと無表情に俯いていた。
ずっとそこでウジウジしてろよ、バカ。
翌朝、彼は私に引っ付いて寝ていた。背中同士を合わせていただけだけど。
これが彼の精一杯なのかもしれない。
私は彼の頬にキスをして起こした。
眠気眼の彼の顔を見ていると、無性にその唇がほしくなった。
馬乗りに彼にまたがると、私は首をもたげてキスをした。
なんだかものすごくいやらしい絵だなと思っていると、彼が私のシャツをひんむいた。
いやはや、そこまでするつもりはなかったんだけどな。
あらわになった私のあまり自信のない胸を見て、彼は言った。
「キレイだな…」