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9.変態は変態だから変態なのです

□月□日


夏が近づいているからか最近とても蒸し暑い。早く制服も半袖になるといいのに。

とはいえ今日は休日。半袖短パンといった部屋着丸出しの格好でリビングへと向かう。出掛ける用事もなければ人に会う予定もないので別に構わないだろうーー、と思っていた俺は甘かった。


「あ、ようやく起きられたのですね。おはようございます」


何故変態がここにいる。俺の朝食兼昼食を兼ねたサンドイッチが置かれた席に向かうように座る変態。

重ねて思う。何故変態がここに。


「あら、友達が来ているのにいつまで寝てるの。そんなだらしない格好してダメじゃない!」


母さん、貴女って人は! この世の中いくらセ○ムしてたって住人が犯罪者ヘンタイを招き入れていたら意味をなさないというのに!!

俺の心の叫びは勿論母さんへは伝わらず内心涙をのむ。母さんには俺がヘンタイにストーカーされているという事は伝えていない。思春期男子の些細なプライドだ。……今は伝えていなかった事を後悔している。


「さあ、ご飯にしましょう? 亜紀さんの手作りサンドイッチは絶品ですよ」


「やだもうっ、おだてても何もでないわよ」


何て事を言いながら母さんが変態の言葉に頬を染め手作りらしきプリンをだす。母さん俺のプリンは? 出てくる様子がないという事は、きっとそれが俺のプリンだったからなのであろう。

覚えてろよ、食い物の恨みは深いからな。


にしてもこの変態、人の母親を名前呼びするなんて何を考えているんだ。母さんもいくら外見が良いからって変態に名前呼ばれて喜ばないで! それ知らないだろうけど俺のストーカーだから!



俺のストーカー…………、自分の心での言い違いに死にたくなった。



死んだ魚のように濁った目を変態に向けると、プリンを口に運んでいた変態が手を止め首を傾げた。


「あれ、もしかしてプリン食べたかったですか? それならそう言ってくれればいいのに。はい、あー…………」


「あ、急ぎの話があるんだった。ちょっと、俺の部屋に来てくれるか?」


にっこりと笑顔を向けて変態の肩に置いた手に力を入れる。

すると何を勘違いしたのか変態はもじもじと俯きながら耳まで赤く染めた。「珍しく積極的……ようやくデレ期が!?」などと訳の分からない事を呟く変態を有無を言わさず引きずり部屋へと向かう。やけに大人しいのが気持ち悪い。


扉を締めた瞬間に変態の腹に俺の右手が食い込んだ。顔は狙うな、ボディーを狙え。どこぞの格言に忠実に従った俺だったがその後の事を考えていなかった。


「ふ、ふふふ。2人っきりの空間。君の匂いが満ちた部屋ーーああっ」


何故かダメージを与えていない筈の鼻から赤い液体を撒き散らしながらうずくまる変態。部屋に連れてきたのは失敗だった。最初から外に連れ出せば良かったと後悔する。


しかし途方にくれながらも俺は確信した。こいつは間違いなくドMだという事をーーーー。

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