表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6.変態がいないーーといいな

□月□日


体の調子は絶好調。普段薬と縁のない俺は処方された薬がてきめんに効いた。

体の調子は良いし心なしか空気が澄んでいる気がする。気分は最高だ。


まぁ、オレの機嫌が上々なのはこの所ずっと付きまとわれていた変態がここ数日姿を見せないからだ。

とうとう目を覚ましたのだろうか。きっと男を追いかける不毛さに気づいたに違いない。その証拠に変態は今日も姿を現さない。


こうなると奴との攻防は絶対に良い思い出になどならないが、社会に働きに出た時や万が一宇宙人に遭遇した時の練習位にはなったと思う。まさか相手をぶちのめしはしないが世の中の理不尽さは学べた。

我慢強さが減った気がするので一概に喜べない。



なにはともあれ、変わり映えのない日常が一番だ。



*****



□月□日


幸せは長くは続かなかった。何事もなかったように変態は現れたのだ。

もしかして押して駄目なら引いてみろ作戦じゃないだろうな? 引きっぱなしでいれば俺は死ぬまで忘れたまま平和に暮らせたのに。


「風邪を引いていたのですよ。……目の調子も悪かったので。寂しくさせてすいません。やはり貴方の顔を見なければ1日が始まりませんね」


目の調子? 何のことだ。目が悪いなら眼鏡でもかけてろ。寂しいとか何の冗談だ。起きながらにして寝言ほざけるとは器用な奴だ。

久々に見る変態にいつもより毒舌が強くなっている気がしないでもない。歩調を合わせて隣を歩く変態に歯に衣をつけずにいう。


しかし流石変態。何故か頬を染めこちらを見ている。


「ああーー、貴方とこうして愛の確認しているだけで僕は幸せです」


きっと多分恐らくーーーー、こいつは風邪の菌が脳内に侵入し重傷をきたしてしまったのだ。俺とこいつの見解が違い過ぎる。元からかもしれないが。

無言で久しぶりに男の急所を蹴りあげる。何時もの流れだが、ふと変態の顔を見た俺は息を飲んだ。


変態は顔を歪めながらもどこか恍惚な表情を浮かべてこちらを見ていた。



まさかーー、こいつはーーーーーー。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ