2.お巡りさん変態がいます
□月□日
この間は散々な目にあった。見知らぬ男にベロちゅーかまされ、股間を蹴り上げた俺はほうほうの体で逃げ出した。
家にそのまま逃げ帰りベットに潜り込んだ俺はガクガクと震えていた。
目から溢れていたのは心の汗に違いない。断じて男に襲われた事による涙なんかではない。
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足取りも重く学校に向かう俺の心を映し出したかのように空は曇天模様だ。
この天気があの日だったら絶対に学校をサボったりなんかしなかったのに。青空が憎い。
「ハレルヤ! ようやく見つけましたよ、愛しい人!! さぁ、再会を祝して熱いベーゼをっ」
無言で正拳突きを顔面目掛けて繰り出す。鼻を狙ったわけでは無かったが、見事に命中した。赤い飛沫をあげながら男が後ろに倒れる。
倒れた所をついでとばかりに遠慮なく股間を蹴り上げた。これまでの人生で1番キレイに技がきまった瞬間だ。
まぁ、2回しかやった事はないが。
気分は少しだけ晴れたが手が痛い。軽く手を払いながら脇目を振らずに再度歩みを進める。先ほどまでとは比べようもないくらいスピードをあげたのは言うまでもない。
「ふぐぐぐっ。ーーあっ、ま、まってーーーー」
何で俺は自転車通学にしなかったんだろう。徒歩で10分もかからないとはいえ、横着しないで申請しとけばよかった。
「ーーっ!」
後ろで何か叫び声が聞こえたような気がするが気のせいに違いない。
そうだ。学校に着いたら自転車登校許可書を貰ってこよう。しばらく乗ってなかった自転車も手入れしないとな。