Silent Lyric -3- 昼休み
ボクこと、幣原唯利亜には、ファンがいる。
アイドルでもなんでもないのにファン、というのはおかしい気がしないでもないけど、これについては深く考えないことにしている。
でも、少し嫌味っぽくなってしまうかもしれないけれど、ボクは、自分の外見についてある程度自覚している。それもそのはずで、なにせボクは、どこまでも女の子らしい格好を、自分で考えて選んで、している。女の子らしいといえば、イコール可愛い格好だ。短絡的だけど、だからこそ明快な方程式。
とはいえ、可愛いの基準は人それぞれ。ボクの場合は、ただ単に他の人の考える可愛いという基準に、比較的多く当てはまっただけだ。……とか言うと、やっぱり嫌味に聞こえちゃうのかもしれないけれど。
なんにしろ、ボクにはなんと、ファンクラブというものが存在する。プロのアイドルにだってブログというそれに代わるものがあって最近は消えかかっているというのに、ボクにはある。しかも、今ボクの隣を歩いている親友、神田愛燕によって作られたネット上のサイトだ。
初めて知った時は頭を抱えたくなった(本当に抱えなかったのはそんな場合じゃなかったから)けど、ずいぶん後で冷静になって考えてみて、やっぱり頭を抱えた。
といっても、直接的な行動に出るようなことはなさそうなので、今のところは放っておいている。――一度はあったけど、あれは特殊なケースだから。あんなのをいちいち想定していたら、何も許容できなくなってしまう。
さて、そんなわけで、ボクは学校の中では割と有名人だったりする。理由は言わずもがなだろうけど、さっき説明したファンクラブ然り3か月前の事件然り、これだけあれば学校中に知れ渡ってもおかしくない。知らない人に知られているというのはあまり気分のいいものではないけれど、かといって自分ではどうしようもない。
学校では、それなりに視線を集めてしまう。それだけでなく、稀によからぬことを企んでいる人がいたりもする。例えば盗撮とか。立派な犯罪です。
そして、ボクとともに知名度の上がった人がおひとり。
もちろん、ボクといつも一緒にいる愛燕だ。ファンクラブの創設者だということは知られていないから、これは理由じゃない。
ならなんのかと言えば、おそらくはボクだろう。愛燕は小柄で、表情や視線があまり動くタイプではないから、人形みたいな愛らしさがある。目にするきっかけさえあれば、注目されるのは当然。で、ボクがそのきっかけになったというわけ。もちろん、これはボクの推測だけど。主因かどうかは別として、原因の一つではあるはずだと思っている。
愛燕は、特にクラスではすっかりマスコットとしての地位を確立している。たまにお菓子を恵んでもらっていたりもする。羨ましい。
――で
ボクらの1-Dの教室へ向かう途中でも、色々な意味を含んだ視線を受けていた。
1年の教室は教室棟の1階にある。2階にはロッカールームや図書館があって、物置代わりの教室が数室あるだけ。3階以上に2年と3年の教室があるという造りになっている。
つまり、教室までの廊下ですれ違うのは、ほとんどが1年生。見知った顔も多くて、好奇の視線というのはあまりない。
教室に入ってしまうと、さらに減る。色んな意味でボクと愛燕には慣れているからだ。
おはよう、と当たり前なあいさつをクラスメイトとし合いながら自分の席へ。ボクが席につくころには、愛燕は机の上に鞄を置いてこちらへ歩いてきていた。ちっちゃい歩幅で机の間を縫って歩く姿は、それはもう抱きしめたくなるくらいに可愛かった。
でも、見惚れる間もなく愛燕はボクの下に到着。もう少しだけでいいから見ていたかった、とか思っちゃいけないかな。
「唯利亜。目がやらしいことになってる」
「っ! そ、そんなことないと思うよ!?」
「なんで疑問形で、しかも必死なの?」
そりゃあ、見惚れかけてた本人から指摘されれば、慌てもするってば。ていうか愛燕はなんでそんなにぐいぐい来るのさ。そんなに理由を言わせたいの?
「むー……愛燕が最近いじわるだー」
「? 心当たりがない」
どの口が言うか。通学路でだって、兄さんをからかったくせに。
とはいっても、愛燕に自覚がなくても仕方がない。愛燕はほぼ確実に天然でやっているから、悪気も打算も何もない。あるとすれば好奇心くらい。だからこそ、余計に性質が悪いんだけど。
さてと……
そんなこんなで会話は弾む。趣味はけっこう似通っているし、服装の好みもまた然り。話題には事欠かない。
やがて、10分ほど経ってクラスメイトもほとんどが登校してきたころ。
がたん、と、ボクの隣の席のイスが引かれた。夏休みが終わって2学期になってからすぐに行われた席替えによって隣になった、女子生徒。
名前は、鈴平鳴姫さん。ものすごく凛とした黒髪美人さんなんだけど、それだけに近寄りがたい雰囲気も同時にあって、誰かと話しているところは見たことがない。というか、自分から他人を遠ざけている感すらある。
いつも仏頂面で、話しかけられても目すら向けない。新学期がはじまってすぐは美人だってこともあって、話しかける人もそれなりにいたんだけど、今ではそんな人もいない。そのせいか、鈴平さんに関する少し黒いうわさも流布していたり。全く根拠のないものなんだけど。
「おはよう、鈴平さん」
「……」
この通り、ボクがあいさつしても、鈴平さんは頬杖をついてあさっての方向を向きっぱなしだ。
愛燕が剣呑な表情で鈴平さんを見ていたので、新しい話題で愛燕の気を引いてみる。そうでもしないと、愛燕が一方的に喧嘩をふっかけかねないから。
◇◇◇ ◇◇◇
午前2時間の授業を終えると、一日に一つの区切りをつける昼休みとなる。時間は60分。
この時間だけ教室棟の屋上は開放され、生徒は自由に使うことができる。もちろん、昼食を食べる場所として使ってもいい。
そのため、俺たちは各々の昼食を持って、屋上に集っていた。
俺たち、というのは、俺こと幣原奈都海と九能、唯利亜、愛燕、そして――
「はい、お姉ちゃん。奈都海くんはこれでよかったっけ?」
「ありがと、未来小」
『ああ、悪い』
一人の女子生徒から200mlペットボトルのジュースを受け取り、キャップを開けてまずは一口。
この、九能のことをお姉ちゃんと称した女子生徒。彼女の名は、浄美未来小。
名字が違うというか年齢からして大違いであることから、姉妹でないことは明白。ではなんなのかといえば、九能が単に未来小の実家に居候しているというだけ。実際に住んでいるかどうかはともかく、本籍は未来小と同じ住所にあるらしい。未来小がまだ幼い時に知り合ったらしく、その時の記憶もあって今の呼び方になったという。
ついでに言っておくと、外見も全くと言っていいほどに似ていない。九能は不健康に見えない程度に白い肌に黒髪。対して未来小は適度に焼けた健康的な小麦肌に茶味がかった色素の薄めの髪色。どちらも美少女という範疇にあっても不自然ではないが、九能の現実離れした怜悧な美貌に対して、未来小は活発的な親しみやすさのある可愛さがその評価の中心になるだろう。
ちなみに、この状況で誤解されても困るので言っておくと、別に未来子に使い走りをさせていたわけではない。愛燕と未来小は購買派なので、ついでにこの二人に飲み物を買いに行ってもらっていたのだ。唯利亜の分は愛燕が自分の分ともども買ってきている。
「あ、そうだ、兄さん」
自作の弁当のふたを開けながら、唯利亜が言う。俺も九能から作ってもらった弁当を受け取りながら、唯利亜に目を向けた。
「今日の放課後も第二会議室だって。ジャンヌさんから」
やはりか。2学期になってからずっとだ。
ジャンヌさん、というのは残念ながら留学生とかそんなのではなく、この鳳霊学園の生徒会長であらせられるお方だ。そして、俺は生徒会の一員。正確には、会計委員会の委員長だ。
なかなかに大層な役目だが、これは今年の4月、唯利亜や愛燕も含めた新一年の入学式の際、ひょんなことから流れで任されてしまっただけ。そのままずるずると流れに身を任せたままというのは、我ながら、もう少し流れに抗する意思はなかったのかと叱責してやりたいところだが、もう手遅れ気味なので忘れることにする。
さらに、唯利亜も生徒会のメンバーとなっている。唯利亜の役職は第三副会長。3人目の生徒会副会長だ。こちらも生徒会長の指名によって、半ば強引に決められた。6月のことだ。
この鳳霊学園では、生徒会は高等部と中等部の両方を統率する。加えて、生徒に与えられる自治権が強いため、中高合計1200人余りの生徒を統率する生徒会には、尋常ではない労力が必要だ。故に、生徒会の職務を分担し、各委員会に割り当てている。これは、委員会が生徒会の傀儡となり果ててしまった後に自然と成り立った仕組みだが、皮肉なことに、これが上手くいっているらしい。
さて、これ以上の生徒会の詳細は後で説明しよう。疲れた。
『いただきます』
「はいどうぞ」
九能のその言葉を皮切りに、各々が、自分の分の弁当に、惣菜パンに、コンビニおにぎりに、口を付け始めた。
九能は人生のほとんどを戦いに費やしてきたと言っていたが、そんな経歴に反して、家事炊事がかなり得意だったりする。俺がいま食べているこの弁当もその一つで、九能の作った弁当はかなりの美味だ。唯利亜は九能に料理を教わって、今では自分でも作れるようになっている。
「ねえねえ、奈都海くん」
少し食べ進めたところで、未来小が話しかけてきた。その手には惣菜パンの入っていた袋が丸められていた。食べるの速いな。
ともかく視線で問い返す。
「お姉ちゃんとさ、なんか進展あった?」
恥ずかしげもなく訊いてくるあたり、こいつもけっこうな面の皮をお持ちのようである。さらに俺に訊いてくるというえげつなさまで発揮してくるとは、こいつは何が狙いなんだろうか。
九能は「なんでそういうことを二人いるところで訊くかなぁ……」などと呟いているが、未来小はそれを平然と黙殺。
どうあっても、俺が答えねばならんのか。進展とは言っても、もうこれ以上進みようのないところまで進んできてしまっているのですが。この後の進展といえば、婚約くらいしか残っていない気がする。うん、それくらいには進んでいる。
つまり、未来小の質問には答えようがない。やがて、しびれを切らした未来小が、不満そうに口を尖らせた。
「もしかしてなんにもなし? まさかキスまでしかしたことないとか言わないよね?」
中学生じゃあるまいし。いや、今日日、中学生でもキスだけで終わったらプラトニックとか言われるくらいだ。中学生に失礼か。
しかし、曖昧に視線を逸らした俺と九能を見て、未来小は何かを察したらしい。にんまりと笑った。
「やっぱり行くとこまでは行ってるんだ。プラトニックラブを地で行く不健康なカップルかと思って、おねーさん心配しちゃったよ、うん。よかったよかった」
本っ当に失礼なやつというかなんというか。こんな風に調子に乗ってくると、こいつはどこまでも突っ走る傾向にある。戦闘の時は冷静なのに。
だがもちろん、九能が言われっ放しで終わらせるはずがない。箸を置いて臨戦態勢に入った九能は、なかなかに邪悪な笑みを浮かべて、意趣返しを計る。
「なら……あなたはどうなの? 未来小?」
「ふぇ?」
なんのことかわからない、と未来小は首を傾げる。九能は、ますます笑みを深くした。
「久宮とのことよ。好きなんでしょ?」
言った途端、怪訝そうな未来小の顔が、徐々に下から赤く染まっていった。
「な、ななななななな、なにを、言ってるのかな!? お姉ちゃんは!」
「な」を連発する未来小の顔は、リンゴみたいにすっかり真っ赤になっていた。わかりやすいことこの上ない。真っ赤な未来小に詰め寄られても、九能はペットボトルのお茶を澄まし顔で飲むだけで、取り合わない。慌てさせただけで満足だ、とでも言いたげに。
そんな九能に涙目を向ける未来小に、思わぬ敵勢力が増えた。
「……未来小先輩、好きな人がいるんですか。この学校の人?」
「んーん、バイト先の人。一緒にいるとこ何度も見たことあるけど、ほんとに仲いいんだよ」
「ちょ、唯利亜ちゃん!?」
唯利亜と愛燕が、九能に加勢。二人にそのつもりはないだろうが、未来小にとっては四面楚歌も甚だしい。
唯利亜がバイト先と表現したのは、俺や唯利亜、九能も所属する組織のことだ。そこでは未来小と久宮さんはよくチームとして戦っているので、そういう噂もないわけではなかったが……噂止まりではなかったのか。
「な、奈都海くん!」
俺に助けを求められても困る。そういう意味も込めて弁当を再び食べ始めると、未来小は目尻の涙を倍増させて、俯いた。なかなかにいい気味だ。何かの趣味に目覚めてしまいそう。
この場を離れるという発想はないのだろうか。
◇◇◇ ◇◇◇
“付き合ってください”
この言葉を大原深夜が言われたのは、16年の人生の中で、2度目だった。
1度目は、台湾の小支部に所属しているころ、地元の日本人学校に通っている時分のことだった。
誰とも知らぬ高校生くらいの男の子に、台湾特有のやわらかい中国語でその言葉を告げられた。日常的な中国語ならなんとか解することのできた深夜にとって、その言葉はいささか以上に衝撃的だった。
相手は、魔術のことなど知らないただの高校生だった。対して、自分は戦場に身を置く非日常の存在。深夜はその能力の関係上、前線にでることはできなかったが、何度かの修羅場はくぐってきている。日常と非日常を隔絶する絶対的な壁は、深夜にも十分に見えるほどに厚く、大きく、そしてはっきりと見えた。
故に、深夜はその告白を受け入れることはできなかった。彼は日常の存在で、自分はどこまでも非日常の存在。自分が幸せになるのなら、非日常の中でしかあり得ない。
そんな考えに囚われていた深夜は、その翌年に、日本の支部に召還され、ついに彼の想いに応えることはなかった。
ならばなぜ、今になって日常に身を置く海老原真実という男子生徒の告白に応じる気になったのか。それは、自分でもなぜかわかっていなかった。
中国支部にいた2年間で何か心境の変化があったのか、などと自己分析しても、肝心の何が変わったのかがわからず、尽きることのない疑問は頭の中をぐるぐると廻るだけだった。
もしかしたら、高校生の恋愛など成就するはずがない、と冷めた考えでも持っているのかもしれない。深夜は人畜無害な顔に反して、物事を斜に構えてみる癖がある。あまり表には出さないものの、何事も素直に見ることができない。自覚があっても直す気がないだけに、自分でも少々捻くれていると言わざるを得ない。
だからこそ、割り切った恋愛ができるのかもしれない。この深夜の思考を覗ける者がいたら、初めての恋愛で何を言っているんだお前は、などと言われそうだが、深夜は割と本気でそう考えていた。
故に、無邪気な笑顔で雑談に興じる真実を見ると、罪悪感を禁じえない。
真実のことが嫌いなわけではない。むしろ好きだ。だからこそ、彼の告白にも応じた。彼の告白の根拠となった一目惚れにも、あまり否定的な意見は持っていない。恋愛を理屈で考える人間はあまり好きにはなれないからだ。自分も含めて。
「ね、大原さん」
「……はい?」
考え事をしていたせいで、反応が遅れた。訊き返した深夜にも笑顔で、真実は再度言う。
「次の日曜日さ、どこか遊びに行かない?」
「それはデートのお誘い、でしょうか?」
「あ、うん。そうなるかな……ダメ?」
照れのせいか、真実の頬はほんのりと赤く染まり、目は潤んでいた。見る人が人なら悩殺されてもおかしくないが、深夜はいたって冷静だった。頭の中に件の日の予定を思い起こし、空白だったことに安堵する。
「予定はないので大丈夫ですよ。どこに行きましょうか?」
「そっか、その問題があったね。決めてなかった……」
二人は真剣に出かける場所を吟味する。初々しい光景である。
そんな二人の様子を横から見ていた宇類は、真実の悩殺攻撃に平然としている深夜に、驚きの視線を向けていた。
「真実の魅了オーラが効かないだと……!? 大原深夜……いったい何者なんだ……」
「ただの女子高生でしょ。真実さんはそういうところが気に入ったんじゃないの?」
そして、宇類の横には、鈴平鳴姫がいる。宇類とは気心の知れた仲で、真実だけでなく奈都海とも長い付き合いを持っている。
場所は食堂の一角。4人掛けのテーブルに、宇類、鳴姫、真実、深夜の4人が座っていた。ちなみに、鳴姫と深夜は学年は同じだがクラスが離れているため、ほとんど初対面だ。
「夢がねえなあ、姫。ってか、そういうところってどういうところだ?」
「真実さんは無意識に女に媚びるところがあるでしょ。その媚びが通用しない方が付き合いやすいんじゃないの? あと姫じゃない」
「あー、なるほど。そういう考え方もあるか」
宇類は鳴姫のことを「姫」と呼ぶが、鳴姫自身はこの呼称が不満らしく呼ばれる度に修正しようとする。が、毎回無視されている。もはやテンプレート化しており、鳴姫も意地で続けているのか惰性で続いているのか、わからない有様である。
「姫にしちゃ、的確な分析だな。確かにちやほやされるって、恋人ってのとは全然違うし、まあそういう意味じゃ、真実も損な体質ってことか?」
「姫じゃないっつってんでしょ。損かどうかは微妙ね。あれのおかげで助かったことは何度もあるわけだし」
クラスメイトとは全くと言ってもいいほどに会話を拒む鳴姫だが、宇類と話す時は饒舌になる。それもそのはずで、この二人は恋人である。浮気性のある宇類の、唯一の本命だ。
「助けられたこともあるな。主にお前んとこの従業員から」
「うっさいわね、ほとんどがあんたの悪ふざけでしょうが。知り合いがいるからって、あんたはヤクザを舐めすぎなのよ」
「あ、宇類、B.A.K.から駅前までってさ、どれぐらいかかるかな?」
二人の会話に真実が入って来た。こういう時は、鳴姫も年長者である真実に譲ることが多い。といっても、宇類の友人の中で鳴姫が年長者として扱っているのは、真実と、ここにはいない奈都海だけだが。
ちなみに、真実の言うB.A.K.とは、鳳霊学園の生徒がよく利用する喫茶店のことで、駅前というのは文字通りの駅前ではなく駅前にある大規模ショッピングモールのことである。二駅ほど離れた町に総合嬢子育学院という巨大な学校があり、ここ一帯は学生が多いため、学生を対象にした店舗が多い。
「あー……そうだな、歩いて15分くらいじゃないか? バスもあるし、時間を合わせて出ればもっと短縮できるけど」
「15分かぁ……微妙だね。バス使う?」
「私は構いませんよ」
再び真実と深夜は二人のデートの話に戻っていく。
初デートの計画を一緒に立てるというのも珍しいが、二人自身が楽しげなので宇類は何も言わずに見守るだけだった。付き合い始めは、何をするにしても一緒であれば何でも楽しいものである。