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とある☆物語 original novel  作者: さのすけ/ゆのすけ
9/15

2011/4-5 慰鶴と蛍が愛華のもとへ ~ 涼風、宵狐のもとに慰鶴から知らせ

A

チ『…ロリロリな君と…危険な香りのする君…その後ろの影の薄そうな君は、俺と一緒に姫魅君を連れて帰る。』

パ『ロリってなによっ!!』

咲『…影の…薄そうな…』


チェンの言葉に反応する二人を後ろに、自覚のあるエルモだけが冷静に答える。


エ『蛍の兄ちゃんを止めに、俺達も行かなくていいんでしょうか?』

チ『もし、帰る途中でプーの手下に出逢ったら、援護が主の俺では、姫魅君をかばいながら闘えない。君たちが必要だ。それに…』


チェンが蛍の目を見る。

彼女は、苦しむ仲間の向こうに兄の姿を見ていた。


チ『奴は蛍ちゃん、君にしか止められないだろう。』

蛍『止めて見せます。』


蛍が力強く答える。


姫『慰鶴、蛍のサポート…』

慰『任せておけっ!!』


慰鶴が微笑むと、姫魅は安堵し、眠りについた。


慰『姫魅をよろしくお願いします。』

チ『君たちが無事に帰ることを祈る。』


* * *


力は互角。

愛華とネルは、息を切らせながらお互いを見ていた。

緊迫した空気を聞きなれた声が壊す。


蛍『愛華お兄様っ!!』

カ『蛍…ちゃん?』


力が抜け崩れるネルの身体を慰鶴が支える。


カ『慰鶴…君…』

慰『姫魅はチェンさんが連れていきました。もう大丈夫です。』

カ『ありがとう。』


ネルの笑顔は疲れきっていた。


蛍『お兄様…姫魅に何をしたのですか!!』

愛『あぁ…くっ…う…』


愛華が頭を抱え、苦しみ出す。


蛍『お兄様…?』

愛『俺…は…』


愛華の脳裏に、父と母の悲鳴が響き渡る。

血飛沫の向こうで、俺を無邪気に待つ、幼い少女。

彼女は…


愛『あ…あ…』


彼女は…

―ホタル。


愛『あああああ!!』

蛍『お兄様?』

愛『俺は…俺は…!!』


愛華の叫びに呼応し、木々が暴れだす。


蛍『愛華お兄様!!』

慰『蛍!!行くな!!』


今の愛華は何も見えていない。

無差別に周囲を破壊する木々の中心で、愛華は叫び続けている。

しかし、蛍は慰鶴に微笑んで見せると、愛華に向かって歩き出した。


カ『無意識の兄妹を想う気持ち…か…?』


動きを激しくする木々は、蛍を避けている。


蛍『お兄様…蛍が今、お側に参ります。』


木々の放つ轟音と愛華の叫びの中で、蛍が微笑んだ。


* * *


宵『涼風…迷った?』


進んでも進んでも、終わりの見えない獣道にいい加減に飽きて、ようやく宵狐が訊ねる。


涼『…方角は見失っていない。』


溜め息をこれ見よがしに吐こうと宵狐が息を吸った時だった


宵『あの鷹…。』


森の向こうを飛ぶ鷹が、真っ直ぐこちらに向かってくる。


涼『俺達を獲物と勘違いか?』


涼風が苦笑するが、違うようだ。

宵狐が腕を伸ばすと、鷹は器用に減速し、宵狐の腕に止まった。


宵『手紙…俺当て?』


"宵狐へ"と大きく書いてあるが…旅の途中、番外編で涼風には本名は明かしてある。

補足を入れる必要はないだろう。

手紙を開くと、戦闘の最中に書いたのか、所々が血に濡れている。


―至急、応援願う。慰鶴―


敵側にいる俺に手紙を送るほどの状況だと言うのか。

姫魅の身が危ないのかもしれない。


宵『頼りになる道案内が来てくれた。』

涼『悪かったな。』


宵狐が鷹を飛ばしてやると、鷹は来た道を辿り始めた。

2011/05/01 (Sun) 13:50


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