2010/08 パーティー ~ 慰鶴がフロハミの子供では無い疑惑浮上
A
『やっぱり、ジョニーが開催するパーティーにはどんなパーティーでも大物が揃うわね…』
一国の姫であった頃を思い出す蛍。
慰鶴は慣れた感じで挨拶回りをしていたが、宵狐はカチカチに固まっている。
『全く…』
幼かった頃を思い出す。
『蛍は隠れてばかりだなぁ…』
『兄さん達がついているよ…大丈夫。』
二人の暖かな笑顔が脳裏に浮かぶ。私も兄様達のようにできるだろうか…
『宵狐…ほら、こっちにきなさ…』
爆音に声が掻き消される。壁が崩れ、悲鳴が止まない…
『あなた達のジョニーってこんなものなのね…楽しめもしないわ…』
砂埃の中から女が現れる。
『お返しするわ。』
女の背後に現れた男が、引き摺っていたジョニーを投げる。体が地面に叩きつけられるが、ジョニーはぴくりとも動かない。
『じいちゃんっ!?』
慰鶴がジョニーに駆け寄るが、ジョニーは全く反応を示さない。慰鶴はその場に崩れ落ち、ジョニーを抱えたままショックで動けずにいる。
女は冷笑を浮かべたままである。男は顔半分を布で覆い、表情はわからない。
ただ、青い瞳は冷たさの他に寂しさや懐かしさのようなものを浮かべていた。
『後ろの!顔を見せなさいよ!!』
何を言えばよいのかわからず、男に当たってみる。男は意外にも素直に顔を見せた。
『っ!?』
絶句した…何故宵狐と同じ顔がそこにあるのか…
女も驚きを隠せずにいる。『宵…狐…』
宵狐の言葉に、男が微笑んだ気がした。
女がようやく我に返る。
『あんたがジョニーの孫?その棒切れよりは、楽しませてくれるわよね?』
女が攻撃をしようと構えた瞬間だった。慰鶴が素早く女の懐に入り顎を蹴りあげる。女は高く跳ね上がり、地面に落ちた後も全く動けないでいる。
『慰鶴?!』
慰鶴は女が動かないのを見ると、今度は男に殴りかかった。男が殴られる寸前に宵狐が男の前に立ち、魔法で盾を作る。慰鶴の拳が盾に罅を入れて止まる。
2010/08/29 (Sun) 14:34
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R
『な…宵狐??』
一堂がその光景に息を飲んだ。
『やめろ、慰鶴…』
『ぇ…』
宵狐がそう言い終わらないうちに、後ろの男が手を振り上げた
「チッあの印は…!!」咄嗟に印を組み入り込もうとする螢
しかし互いに気をとられていた宵狐と慰鶴が視線を男に戻すころには、男の手から放たれる青い光が襲いかかっていた
しまった間に合わ…
『そこまでだ!!!』(だぁぁぁん!!!キラキラキラキラ…)
凄まじい爆風、地響きと共に、螢は一瞬気を失った
『うぐ…っ!?』
何かに受け止められはっと体を起こすと、敵らしき者たちは壁にたたき付けられ、異様な明るさが部屋を包み、砕け散るガラスに反射した光が一面を照らしていた
見上げると、天井のシャンデリアの上に仁王立ちしたジョニーが降りてくるところだった。
2010/08/29 (Sun) 16:19
A
「お帰りいただこうか?」
カーネルが、ジョニーの隣に立つ。
「なめるな!棒切れが!!」女が印を組む。
カーネルがジョニーの前に立ち、構える。
「やめておけ。」
男が女を制する。
反論しようとするも、男に人睨みされ、女は言葉を飲み込んだ。
妬ましそうにジョニーを人睨みすると、女は後方に下がり消えた。
「すまない…ありがとう。」
女が消えたのを見届け、男がジョニーに言う。
「っ?!どういう…」
ジョニーの言葉を待たず、男は姿を消した。
「じいちゃん!!」
慰鶴がジョニーに抱きつき、涙を流す。
「そんなに抱きついたら、折れてしまうよ!!」
ジョニーが嬉しそうな顔をして、慰鶴を撫でる。
「蛍ちゃん、大丈夫??」
「は…はい…」
カーネルが蛍の無事を確認し、安堵する。
「宵狐。」
カーネルの声に、ゆっくりと顔をあげる宵狐。心ここにあらず…といった表情だ。
「あとで話を聞きたい。着替えたら、俺のところに来てくれ…蛍ちゃんも、着替えたら来てくれないか?」
蛍が大きく頷く。
2010/08/29 (Sun) 17:55
R
騒然となったパーティー会場を後にして、螢らは校長室こと王の間-sweet☆delax-へと集められた
「各星の魔法学校VIPたちが集まるパーティーでのテロだなんて…
ジョニー校長の立場は大丈夫なのかしら
それにあの宵狐とうりふたつの不気味な男…宵狐も様子が変だったし、慰鶴…変に気まずくなってないといいけど…」
不安で高鳴る胸を抑え、螢はドアに手をかける
『失礼しま』
(きらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきら)
部屋の中は異常ほどの光沢を放つ宝石と甘い香を放つ色とりどりの花ばなで装飾され、至るところにバンダナ青年の写真が飾られていた
そしてシルクらしき純白のカバーがかけられたソファーで赤いワイン片手にジョニーが座っていた
テーブル上の高級フルーツをおいしそうに頬張る慰鶴が見える
I『ちょっと宵狐、桃ジュース飲みすぎ!また酔っ払って…あ、螢!早くこないと苺無くなっちゃうよ!』
J『あぁ来たかね螢君…先程は驚いただろう、怪我は無いかい』
H『校長の図太さと素敵なお部屋に驚きです。慰鶴、食べながら話すんじゃないっていつも言ってるでしょう』
2010/08/29 (Sun) 22:47
A
J『図太いなんて誉められちゃあ、流石の僕でも照れちゃうなぁ!!』
I『誉めてない!!』
要らぬ心配をしてしまったようだ。肩の力が抜け、大きなため息が緊張とともに抜け出る。
蛍が呆れと言う名の感情を全身から放出するが、気に止めるものはこの空間にはいないようだ。
Y『俺だけを見てろよ…』
宵狐が蛍の手をとり、引き寄せる。
K『すまないね、蛍ちゃん…カラス族は、桃ジュースで酔うみたいで…』
H『え…じゃあ、宵狐は本当にカラス族…』
カーネルが困ったように微笑む。
K『とりあえず、本題に入りましょう。』
いつの間にか蛍の背後に立っていたカーネルが言う。
全員の表情が一瞬固まる。
J『そうだね。皆、席につこう。』
ジョニーの言葉に、それぞれが席につく。
J『いずれ話さなくてはならないことだ…まずは…』
ジョニーが慰鶴を見る。慰鶴が小さく頷き、口を開いた。
I『じいちゃんは、青春系ぷーって奴が率いる闇の組織と昔から戦ってきたんだ…何が目的かはわからないけど…』
J『恐らく…カラス族を滅ぼしたのも、ぷーの仕業だ…奴らは許し難い行いを重ねている…放ってはおけない。』
ジョニーが、悔しげに歯を鳴らす。
K『今日、我々を襲った彼らも、ぷーの手下だろう。その手下についてだが…宵狐…どういうことだ?』
一同の視線が、宵狐に集中する。
Y『女の方は知りません…男の方は…俺の、双子の兄です…。』
K『双子の…(宵狐が二人だってぇ?!たまらんたい!!Σd(°∀ °*)b)』
Y『あの日、一族は襲われて…宵狐も死んでしまったものだと思ってた…宵狐は兄の名です。』
H『じゃあ、あなたは…』
Y『姫魅。宵狐が死んで自分が生きていることが許せなくて…ごめん…』
宵狐が謝る。
I『そっかぁ…兄ちゃんじゃ仕方ないよな…!!』
慰鶴が笑って見せる。
J『だから、あんなことを言っていたんだね…』
Y『恐らく…』
H『…ということは、例えぷーの手下であろうとも、弟への愛は変わっていないわ!!説得して、仲間にしちゃいましょう!!(カラス族×美声が二人♪Σd(°∀ °*)b)』
蛍が陰で含み笑いをする。蛍の野望オーラに、カーネルが小さく驚く。
J『何はともあれ、僕の孫である慰鶴やカラス族である姫魅に関われば、蛍ちゃんはまた、今日のようなことに巻き込まれるだろう…蛍ちゃんには、その覚悟はあるかい?』
K『ジョニーさん、蛍ちゃんですが…』
F『その娘…恐らく、もものけの国の姫君だ!!』
扉が突然開き、美しい青年が入ってくる。
J『フロハミ?!』
F『久し振りだね、ジョニー…そして、蛍姫。』
蛍が疑問符を浮かべる。
F『覚えていないのも当然…あなたはまだ幼かったのですから…僕はフローラル星の王…フローラル・ハミング。お会い出来て興奮…いえ、光栄です、蛍姫。』
I『蛍が…お姫様…?』
慰鶴が呆然とする。
王族などとは縁遠い扱いを受けていた姫魅は、緊張で体を硬直させている。
カラス族は、強力な魔力に目をつけられ、戦争に駆り出されるなど…国という存在に翻弄された一族だ。そうした意味でも、緊張しているのかもしれない。
2010/08/30 (Mon) 2:48
R
I『螢、お姫様だったのか!?』
K『やれやれ、カラス族に魔法界長の孫に…どんなパーティだよ』
I『なぁ、どんな星なんだ??今度連れてってくれよ!』
H『…っ』
Y『…?螢?』
身を乗り出す慰鶴をジョニーが制する。
H『星は…国はもう、無い』
『…え!?』
螢の顔が苦しそうに歪み、腕をつかむ手に力が入る
H『私がいた国は…』
K『おい、無理するなよ螢ちゃ…』
A『僕が話す』
『!?』
一同が振り返ると、ドアに一人の女性兵がもたれ掛かっていた。
戦闘後なのか、服は泥にまみれ、所々破れているものの
放たれるオーラはどこか高貴で、何より瞳には人を尻込ませるものがあった。
Y『…(こ、今度は誰だ!??汗)←パニック』
H『あ、あなたは…?あれ、どこかで…』
突如、座っていたはずの慰鶴が女性に飛びついた
I『母さん!!!』
『ΣΣΣΣかあさん!!!??』
J『おや、帰っていたんだねアンナちゃん。出迎えに行けずすまなかった』
A『騒ぎを聞いて飛んできたまでだよ、ジョニー。急いだんだけどなかなか片付かなくてさ、でも大丈夫、向こうには天がいるし、ホロも今向かってるころ…おー慰鶴!!!元気してたか!?もーすっかりイケメンになって、母さん言うこと無し!』
I『うん!しっかり母さんの"ペン持つ暇があったら外走ってこい!"って言い付け守ってるよ!母さんこそ南銀河戦争お疲れ様!!!』
螢と宵狐が呆気にとられていると、カーネルがため息混じりに呟いた
K『全く。伝説の三戦士天地海がこうも簡単に現れちゃいかんだろう…』
H『で…伝説の…や、やっぱり!!!あわわわわわ、サインサイ…』
F『アンナちゃん!お帰り!!!』
I『はは、父さんもさっき帰ってきたんだよ、母さん!!』
HY『ΣΣΣΣ父さんんん!!?』
F『ふふふ、そうさ、自己紹介が遅れたね、僕こそ我が愛しき慰鶴の父お…』
A『あんたの子だと言った覚えは無い』
一同「(えええええーっ!!)」
H『い…今さらりと爆弾発言を…(汗(汗』
A『まぁ良いわ、そこの桃のけのお嬢さんの事情も、イケメンボイスの坊ちゃんの話も
本人たちに話させるのは酷でしょう、ジョニー。
僕が代わりに話そう。』
そう言ってアンナはソファーに座り、フロハミに渡されたノンアルコールシャンパンを一口飲んだ。
2010/08/30 (Mon) 22:56