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きみに恋してる。〜Side N〜

きみに恋してる。後輩視点です。

よろしくお願いします。

『なあ、次どこ回る?』


9月某日、文化祭。僕はいつもの友達と店を回っていた。チョコバナナや焼きそば、お化け屋敷に演劇。様々な出し物と人々の浮かれた雰囲気は、まるでいつもの学校ではないようで非日常を感じさせる。


『うーん、どうしよう』


僕はそう言って入り口でもらったパンフレットを開く。手書きのにぎやかなフォントで書かれたそれのなかの一つに目が止まった。

ーー3年1組 メイド喫茶。

心臓が高鳴る。もしかしたら"あの人"に会えるかもしれない。


『ねえ、ここ行かない?3年1組』

『お、いいな!行こう行こう!メイド喫茶なら可愛い女の子いるかな』

『別にそんなんじゃないって』


そうだ。そんなのではない。だって、僕の好きな人はーー。


階段を上がり、3年生のフロアにやってくる。普段来ることのない上級生のフロアに行くのはやや緊張するが、それも今日なら許されている。


『お、なんだあれ』


友人が言う。目を向けると、廊下には小さな人だかりが出来ていた。

中心にいるのは、メイド服を着た、僕の好きな人。


『、ちょっとごめん、待ってて!すぐ戻るから!』

『え、おい!』


僕は気がつけば駆け出していた。今なら話せるかもしれない。もしかしたら、この気持ちを伝えることも、今日なら叶うかもしれない。そう思った。


人をかき分けて廊下を進む。人だかりを作っているのは、他校から来たであろう男子グループだ。僕の好きな人に触れている。

僕はもはや反射的に踏み出そうとした。その、瞬間。


『こいつ、俺のなんで。』


そう言って先輩の隣にいる人が肩を抱く。先輩は、顔を赤くしながらもどこかまんざらでもなさそうだ。


頭から冷水を浴びせられたような心地だった。

わかっていたのだ。先輩にも、好きな人がいると。

後ろからは二人を祝福するような拍手が上がっていた。それは残酷に僕の鼓膜を震わす。


僕は差し込む夕日を背に踵を返した。

溢れそうな涙を堪えて、心の中で呟く。


ーー僕は、先輩のことが。


『…言えないよ』


途端に涙が溢れ、拭う袖が濡れていく。

振り返ると、幸せそうな二人がいる。

僕は小さく呟く。


『…お幸せに。』


今日、1つの恋が終わった。


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