浮気をした妻は夫の幸せを願います
婚約者になったのは十二歳の時。
結婚をしたのは十九歳の時。
結婚生活が終わりを迎えたのは二十一歳。
二年間住み続けた部屋を改めて見回した。
「随分私好みの部屋にしてくれていたのね」
壁紙は薄い青、カーテンも同じ色、家具はアンティーク調の高級品、テーブルに飾られている赤いチューリップは毎朝侍女が庭師から受け取ったのを花瓶に生けてくれる。
鞄に必要な物を入れ終えたクリスティーナは最後にと呟いて鞄の横に置いてあるハンカチを手に取った。
「私の宝物」
ハンカチも鞄に入れ、クリスティーナは鞄を持ち部屋を出た。
外には誰もいない。使用人すら起きていない早朝だ。薄暗い廊下を静かに歩き、玄関に降りて外への扉をそっと開けた。
門へゆっくりと歩き、一度足を止めた。
「……止めましょう」
振り返ろうとしたクリスティーナは緩く首を振り、また前を向いて歩き出した。
門に近付くと門番がいた。
「奥様?」
「ソレイユに許可は貰っています。夕刻までには戻ります」
「こんな朝早くからですか?」
「ええ」
怪訝に思われるが門番は屋敷の主が認めていると妻が言っているのなら、と快く門を開けた。
「馬車は?」
「ちゃんと待ち合わせをしています」
心配しないでとクリスティーナは門番に微笑むと深く頭を下げた。慌てる門番にもう一度笑むと屋敷を離れた。
貴族街を抜けて街に入ったクリスティーナは待ち合わせ場所に指定していた馬車の待合場の長椅子に座った。
「待ってたよ。クリス」
「ラリー」
クリスティーナの隣に気配もなく座ったのは黄金を溶かした金糸と綺麗な緑の瞳を持つ男性。ラリーと呼んだ男性にクリスティーナは少し睨んだ。
「ビックリするじゃない。少しは気配を残してよ」
「癖なんだ。後悔はない?」
「あったら浮気なんてしない」
「浮気ね。浮気の定義ってどこからが浮気?」
「さ、さあ」
クリスティーナは帝国で二つしかない公爵家、ヴァレンタイン家の当主ソレイユの妻。十二歳の時に婚約者となった。熱い恋も愛もなく、優しい時間を共に育んできた。
「ソレイユを愛していたのよ? 世に聞く燃え上がる恋がなくても、私達は私達なりの道を歩きましょうって」
ソレイユもクリスティーナの話に同意していた。感情を出すのが苦手で無口なソレイユといてもクリスティーナは苦痛ではなかった。無口といってもクリスティーナが話を振れば会話をし、ソレイユの方から話したことだってある。
十二歳から始まった関係は成人を迎えても変わらず。
翳りを見せ始めたのは結婚式を翌年に挙げると決定された十八歳の時。
ソレイユは公爵家の当主となることもあり、皇太子殿下の覚えも目出度く、また非常に剣の腕も立つ。ヴァレンタイン家は大陸の守護を仰せつかる騎士の名家としても有名で、ソレイユもまた騎士である。
帝国では何百年かに一度女神の能力を与えられた癒しの聖女が誕生すると言われている。その聖女が見つかった。
平民の少女で名前はアイラ。聖堂の食堂で働いていて、同僚が火で熱した鍋に誤って触れ火傷を負い、癒しの力が目覚め同僚の火傷を癒した。
聖女が見つかれば帝国で保護するのが規則で決まっており、アイラも例外なく保護された。聖堂で働いていたこともあって女神への信仰は深く、聖女については詳細は知らずとも癒しの能力を持つことは知っていた。
聖女は貴重な癒しの使い手として他国から狙われやすい。アイラの護衛に任命されたのがソレイユだった。皇帝からの勅命ともあれば断れない。癒しの能力の練習、女神信仰をより深く学ぶ為の勉学、どれも聖堂で行われ、住居はヴァレンタイン家に移された。ソレイユや他腕利きの騎士がいるヴァレンタイン家で住む方が安全だと判断された為。クリスティーナは事後報告で聞かされたが反対はなかった。ソレイユは淡々と説明しながらもクリスティーナに説明が遅くなったことを詫びてくれた。
謝らなくていい、仕事なのだから仕方ないとクリスティーナはソレイユに気にしないでほしいと話した。
アイラはヴァレンタイン家の大事な客人としてもてなされた。
クリスティーナがアイラに会ったのはヴァレンタイン家に住んで五日後だった筈。
『アイラ。私の婚約者クリスティーナ=ガーネット侯爵令嬢だ』
『お、お初にお目にかかりますっ。アイラと申します!』
習ったばかりの貴族の挨拶をかなりぎこちない動作でしたアイラから強い緊張を感じ取り、ソレイユにアイラを紹介されるとクリスティーナは柔い笑みをアイラに向けた。
『クリスティーナ=ガーネットで御座います。聖女様、お目にかかれて光栄で御座います』
癒しの聖女と判明しようと自身は平民出身。格上の侯爵令嬢に敬語で話され、聖女様と呼ばれるのは身分が違い過ぎて大変恐縮された。アイラを落ち着かせるとソレイユから話し相手になってほしいと頼まれた。
『見ての通り、アイラは聖女の能力があると分かり、安全の為ヴァレンタイン家で保護することが決まった。暫くは窮屈な生活を強いてしまうアイラの為にクリスティーナ、申し訳ないが彼女の話し相手となってあげてほしい』
『私で良ければ喜んで』
『あ、あの、わたし貴族の方とお話って一体を何を話せば……』
不安げにソレイユとクリスティーナを交互に見やるアイラ。
『何でも構いませんわ。そうですね……私は聖堂の職場を知りませんので、聖女様が働いていた職場の話なんてどうでしょうか?』
『そ、それなら、わたしでもお話し出来ます!』
場所を移し、三人でテーブルを囲ってアイラの職場での話を聞いた。
「なんだか楽しそう」
「楽しかったわよ」
侯爵令嬢として育ったクリスティーナに働くという考えは今までなかった。聖堂の食堂というのは、時間帯次第で誰でも使用可能。神官のお昼時間が過ぎると誰でも利用可能時間となり、価格が平民にも優しいとあって毎日満席になるのだとか。
アイラは決して悪い女性ではない。
一生懸命で天真爛漫、他者に優しく、気遣いもでき、誰に対しても明るく笑顔で接する。クリスティーナは週に一度アイラの話し相手としてヴァレンタイン家を訪問した。ソレイユと会う時は大抵月一程度なのに。
そして、アイラと話す際、長居はしないがソレイユがいた。
「何時からだったかしら。ソレイユの聖女様を見つめる目が変わり始めたのは……」
気付いた時にはアイラを見つめるソレイユの瞳に熱っぽい好意が込められていた。クリスティーナに向ける信頼と親愛の視線とは違う……明らかに相手を愛する視線。
気付かない振りをした。クリスティーナが気にしなければいいだけだ。
実際そうだった。
アイラに気持ちが移っていたソレイユは以降も変わらず誠実にクリスティーナに接した。お互いの誕生日には贈り物をし、定期的なデートをし、積極的とはいかずとも交流を重ね続けた。
「……馬車が来た。行くよクリス」
「え? でも、まだ時間が」
待合場営業開始時刻よりまだ早いというのに、ラリーに鞄を持たれ手を握られ一台の馬車に乗せられた。
「ちょっと、勝手に動かしたら」
「事前に料金は払ってる」
「そうなの?」
「ああ」
ラリーの言った馬車が来るとはどういう意味なのかと訊ねたいのに、クリスティーナの言葉を前にラリーは馬車を動かした。
「もう」
急に動き出したラリーに文句を零しつつ、まあ、いいかとクリスティーナは壁に凭れた。
「人間は心変わりする生き物だもの。ソレイユが聖女様に心移ったのは仕方ないことだったのよ」
誰もいない場で零した言葉は馭者席に座るラリーにだって届いていない。
一時的なものだと、二人はお互いの立場を分かってくれる、とクリスティーナは何も言わなかった。
「一度でも言えば良かったのかしら……」
何を? ――アイラに好意を抱いていないか、と。
「聞いたところでソレイユは否定したでしょうね……」
アイラは癒しの聖女。帝国の未来を担う重要な人材。ソレイユにとって皇帝陛下から命じられた保護すべき相手。それ以上もそれ以下もない。
「……」
ソレイユの心がアイラにあると――アイラの心がソレイユにあると知ってしまったのは結婚式を挙げる十日前。
招待客リストについての最終確認をソレイユとしようとヴァレンタイン家を訪れ、執事にソレイユがいると聞かされた庭に向かった時。
『ソレ――……』
ソレイユの後ろ姿が見え、声を掛けかけたクリスティーナは慌てて口を閉ざした。彼一人ではなかった。小さくて見えにくかったが見慣れた焦げ茶の髪の女性がソレイユの前にいた。アイラだ。二人は何故人気のない庭の奥にいるのか、不安な気持ちで申し訳なさを持ちながらクリスティーナは息を潜め会話がギリギリ聞こえる距離まで近付いた。
『申し訳ございませんソレイユ様……! わた、わたし、ソレイユ様が好きですっ、申し訳ありません……っ』
『アイラ……っ』
『クリスティーナ様という素敵な婚約者がいるのにわたし、わたし……っ』
『自分を責めないでくれアイラ。私も君が好きだ。クリスティーナには持てなかった恋心をアイラに……』
あの時程、自分は何を聞いているのかと呆然としたことはない。
熱の籠った声でアイラに愛の告白をするソレイユ。
ソレイユに愛を告げ、クリスティーナに申し訳ないと泣くアイラ。
燃え上がるような恋は出来なくても私達は私達の方法で幸せになる。
ソレイユも同意した。
燃え上がるような恋をソレイユは見つけてしまった。
「ラリー」
「うん?」
「馬車が来るってさっき言っていたけど何処の馬車なの?」
「秘密」
「もう」
馬の手綱を握るラリーに聞いてもはぐらかされるだけ。馬車を事前予約していたのは驚きだが、これならソレイユに気付かれる前に王都を出て行ける。
ソレイユとアイラが両思いだと知ったクリスティーナだが、当初はそれでもソレイユと添い遂げようと覚悟した。貴族の結婚に愛がないのは多い。一方から愛されず、冷遇される訳でもないのだからと。
でも――誓いのキスは出来なかった。ソレイユにキスをされる間際、顔を下に動かし唇の上にソレイユの唇が触れた。
初夜はソレイユにワインを勧めた。気分が落ち着くからと。クリスティーナの言葉を疑問にすら思わず、ソレイユは差し出されたワインを飲んだ。
睡眠薬が入っていると知らず。
翌朝目を覚ましたソレイユはクリスティーナに何度も謝るも、緊張でソレイユも知らない内に疲れていたのだとフォローした。
初夜のやり直しを次の日の夜にソレイユはするつもりだったが、運悪く皇太子の密命が入り、新婚だというのに多忙な日々が続いた。何度も謝るソレイユに覚悟はしていたとクリスティーナは理解ある新妻を演じた。
誓いのキスがされなかったことをソレイユは一度も気付かなかった。
寝ている時、ソレイユは寝言でアイラの名を何度も口にしていた。
ソレイユと結婚後、アイラの住居は王城に変わった。アイラ自身が希望したのだ。新婚の二人の邪魔をしたくないと。意外なのはソレイユがアイラの意志を尊重したいと皇帝に申したこと。
「意外でもないか……」
ヴァレンタイン家にいては、何時か二人過ちを犯すとどこかで危惧していたのだ。また、城なら何時でも警護の名目で会える。実際ソレイユはアイラの警護として何度も城で寝泊まりしていた。
アイラに心奪われてもクリスティーナへの接し方は変わらなかった。定期的に手紙や時にプレゼントを贈り、どんなに忙しくても隙間を見て顔を出しに屋敷に戻ってクリスティーナに生活で不便はないか訊ね、少ない言葉を交わしてまた城へ戻って行った。
「クリスは虫とか平気?」
「平気よ」
「おれの手伝いでもしてよ。薬草集めは一人より二人の方が効率がいい」
「ええ」
一度覚悟しても人間駄目な時は駄目だ。
ソレイユを自分から解放してやると決めた。再婚は無理でも妻のいる身ではソレイユもアイラもお互い苦しいだろうから。
結婚して数か月が過ぎたある日、クリスティーナは義母が懇意にする伯爵夫人が資金援助をしている画家展を訪れた。将来有望な画家の絵を集め、パトロンになってもらおうという魂胆。クリスティーナは一枚の絵に惹かれた。その絵を描いたのがラリー。伯爵夫人に紹介してもらい、初めてラリーに会った際抱いたのは随分と綺麗な見目をした青年だということ。
ソレイユよりも濃い金色の髪はまるで金貨を溶かしたような美しさ、綺麗な緑の瞳はまるで太陽の下で照らされる草原そのもの。平民だと言っているが本当なのかと疑問を持ち続けている。
二人で会って会話をしている内、ラリーは結婚生活に不満を持っているのではとクリスティーナに指摘をした。実際その通りだが、不満をぶつけたことはないのにどうして分かったのかとラリーに聞けば「男の勘ってやつ」と言われ、何だそれはと笑った。
嫌な気分にはならなかった。
「ねえラリー。浮気の定義ってどこからが浮気ってさっき言ってたわよね?」
「うん」
「男女が密室で密会している時点で浮気を疑われても仕方ないわよね」
「そうだね」
「私とラリーが不貞行為はしていないって言っても、証拠がないから誰も信じない」
「うん。なら、クリスの夫と聖女様は?」
「叶わない恋をした可哀想な人達、かしら」
夫が別の女性に心奪われ、女性もまた夫に恋をしている。夫は自分を昔と変わらず接してくれているが心は別の女性に移り、時折苦しそうな表情を見せた。夫を解放してやりたいとラリーに話すと彼は「なら、おれとおいで。おれと違う国へ行こう」と手を差し伸べた。
その手を取れば実家にも帝国にも戻れなくなる。そうなってもいいとすぐに判断してラリーの手を取った。
燃え上がるような恋はなくても、クリスティーナは確かにソレイユを愛していた。
一度でも良いからソレイユに聞けば良かったのか。アイラを愛してしまっていないかと。
口にして、ソレイユからいざ聞かされて改めて事実だと知るのが嫌だった。自分の勘違いでいてほしかった。
あの時、庭で二人の告白を聞くまでは。
結婚をしてしまえばソレイユはいつかアイラへの恋心を捨ててくれると心のどこかで思っていた。
「やっぱり、口にすれば良かったのかしらね……」
屋敷を出て行く際離縁状を置いて出て行った。クリスティーナが持ち出したのは嫁いで来た時に持って来た私物数点とソレイユから昔貰ったハンカチ。誕生日プレゼントではなく、結婚式の段取りをする日でソレイユがクリスティーナに似合うと言って贈ってくれた大切なハンカチ。これだけは何故か置いて行けなかった。
ラリーと不倫関係にあるとヴァレンタイン家は気付いている。義母から何度も苦言を呈され、一人出掛ける時は執事にも止められたが強行突破でラリーに会い続けた。
ソレイユからも何度かラリーについて言われた。
『クリスティーナ、最近君が他の男と密会していると屋敷の者達から聞いた』
『事実ですわ』
『私が多忙なのは君に申し訳なく思っている。だが君は』
『私だって偶には外の人間と話したいのです。皆様が思っているような不埒な関係ではありません。会って、お茶を飲んで、私のお喋りを聞いてもらっているだけです』
『……』
「ラリーが私に手を差し伸べてくれたのはどうして?」
「一目惚れした」
「嘘」
「ホントだよ。クリスの大輪の薔薇のような笑った顔が素敵で好きになった」
「もっと嘘」
「酷いなあ」
ガーネットの名の如き赤い髪と瞳をクリスティーナは好きであるが、大輪の薔薇のような美しさは生憎と兼ね備えていない。ラリーやソレイユといると霞んでしまう小花が妥当だ。
「ラリーは画家なのよね? どうして薬草に詳しいの?」
「薬屋でもあるんだ、おれは。それに、多少魔法が使える」
「すごい……」
年々魔力保持者が減少するこの世界で魔力持ちは貴重だ。ラリーは画家は趣味で本業は薬屋を営んでいると聞き、道理でとクリスティーナは納得した。
「何が?」
「だって、私がラリーのパトロンになると言った時、貴方大してお金に困っていそうに見えなかったもの」
「まあね。君に苦労はさせないくらいの財力はあるよ」
「私を浪費家みたいに。でも、私もラリーにずっとお世話になる訳にはいかないから、お金を稼ぐ方法を見つけないとね」
「言ったろう。君が好きだって。おれと結婚しよ?」
「離縁状を置いて来たばかりなのよ?」
呆れるクリスティーナだが、ラリーと生活を共にする自分はきっと楽しいと想像した。
ソレイユと同じように優しく穏やかな時間を育むか、それともソレイユとアイラのように燃えるような恋をラリーとするか。
「ラリー」
「うん?」
「今は私を好きかもしれない。いつか、ソレイユのように他の誰かを好きになった時は前以て言ってちょうだいね。私は、潔く身を引くわ」
「生憎とおれは一途なんだ。一度好きになったら絶対に逃がしてやらない。覚悟してね、クリス」
「お、お手柔らかに」
ラリーから感じる本気度にたじろぐクリスティーナ。
「だったら、ラリーを本名で呼んでいい?」
「構わないが長いよ?」
「私の名前だって長いじゃない。
——これからもよろしく、ローレンス」
「此方こそ、クリスティーナ」
——ヴァレンタイン公爵家にて。クリスティーナの行方が分からなくなってしまったと報告を受けたソレイユは膝から崩れ落ちた。部屋に離縁状と手紙を置いて出て行ったと気付いたのは朝目覚めてすぐ。前日、大事な話があるから明日の朝話したいと伝えていた。クリスティーナは「分かりました」とだけ発した。
手紙にはソレイユがアイラと両想いな事、二人の再婚が無理でも邪魔をしたくない為離縁してほしいと書かれていた。
クリスティーナに気付かれていると思ってもいなかった。いつかは断たないとならなかった不要物。
アイラと心が同じだと知ってもソレイユの頭に浮かぶのはクリスティーナ。心を寄せるソレイユに向ける大輪の薔薇の如き笑顔が頭に焼き付いて離れなかった。
クリスティーナが画家の男と度々密会をしていると聞き、アイラとのことがあり多忙を言い訳にクリスティーナと向き合うことから逃げていた。これでは駄目だと気持ちを改め、クリスティーナととことん話し合おうと決めた。
なのに——クリスティーナはソレイユを捨て、他の男の手を取って出て行ってしまった。
「クリス……クリス……!!」
部屋から無くなった物は殆どない。クリスティーナは恐らく嫁いで来た時に持って来た私物を幾つか持って出て行った。
置き手紙を握り締め、後悔の涙を流すソレイユは暫くそこから動けなかった。
外へ飛び出し、クリスティーナを探しに行かないとならないのに。
今は——己の行動が遅かったばかりに訪れた結末にただただ後悔するしかなかった。
読んでいただきありがとうございます。