泣き
結奈…結奈は、今までだれの一番になりたかったんだよ⁉︎
だれのことで泣いてたんだよ⁉︎
そうまも、せなも男じゃないってわかったけどさ、じゃあいったい…
オレは…ずっと結奈を泣かしてきてたのは、そうまだって思ってたのに…
まさか、それは全然違ったなんて…。
そもそも学校が違うから、すれ違いも多々あるのだろう。
結奈は、オレの知らないところで恋をしていたみたいだ。
幼馴染なのに、オレはなんにも知らないことだらけだった。
情けねーな。
いつも一緒で、なんでもわかってあげていたって思ってたのにさ…。
結奈に早くあいたい…
超高速で走った。
バッグが邪魔で走りづらかったけどさ、全力で走ったよね。
でも、きちんと信号は守りましたよ?
右左もみてさ。
でも、ラッキーなことに、基本的には青信号ばっかりでしたね。おかげで、息切れ状態よ。
結奈宅に行くと、結奈が玄関を開けた。
「あ、和紀」
「ォ、オレさ、さっきそうまに会ったんだ」
「え、そうまに?よかったね。てか、なんでそんなに汗だくで走ってきたの?」
「よかったって…よくねーよ。てか、走って来たのだって…結奈のために…」
「なんで?わたしのためって何?そうまと会えてそんなに走るほど嬉しいんだ?」
やっぱり結奈は、オレがそうまを好きだと勘違いしているみたいだ。
「オレさ、ずっとそうまって男だと思ってたんだ。せなも」
「は?まぁ…それもありなんじゃない?」
「結奈は、さぁ…結奈は…そうまが好きなんだよな?」
「え、うん。親友としてね」
…そうまもそんなこと言ってたな。
「えと…親友の一番じゃやだ?それ以上を結奈は、そうまに求めてたりする?」
「うーん、ないよ?てか、部屋行こう」
「あ、はい。じゃあ、お邪魔します」
「なんでそんなにかしこまってるのよ?今、家にわたししかいないから」
「あー、そうなんだ。」
「うん。あ、そうだ。お茶でも飲みながら今日は、ゆっくりしていってくださいね」
「旅館のおかみかよ」
「あはは」
結奈は、一瞬プチ怒り発動したかと思ったけど、いつも通りだった。
結奈の一番がわからないまま、結奈の部屋に到着した。
そしてジジババみたいに正座して仲良くお茶をすすった。
結奈は、お茶を飲んでゆっくりとテーブルに置いた。
「…それで?どうしたの?そうまとなんかあったの?」
「あー、だからそうまが…まさかの女で、なんならせなって人もオレのまったく知らない別人で…」
「うん。それで?」
「でさ、オレずっとそうまが結奈と恋人だって思ってたから、だから…泊まりとかいってほしくなくて…でもさ‼︎でも、男じゃ…なかった…わけで…って結奈?」
結奈がぼろぼろ泣き出した。
「え?どうした?」
「だから、安心したんだ?女の子だったから安心なんだ?」
「え、うん。でも結奈は…なんで泣いてるの?」
…
「だって…だって…和紀は、そうまが女の子で安心したんでしょ?」
「うん、そうだけど…」
「それで?ただそれだけの報告で、わざわざ走ってきたの?」
「そんなわけないだろ…。オレさ、ずっと結奈がそうまと付き合ってて、そうまが二股してて、それでしんどくて泣いてるって思ってたんだ。でも、それってオレの勘違いなわけでしょ?」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、結奈の一番って…結奈がなりたかった一番の人を教えてほしい。」
「ヤダ。教えたら…終わるかもだし」
「おわんねーよ。」
…
「そうまとは、どんなこと話したの?」
「いや、だから…男だと思ってたから、泊まりとか反対してたとかさ、せなって人の名前聞いたりさ。」
「ふーん。連絡先交換できた?」
「しないだろ?なんで今更そんなこと…そもそも女ってわかる前にしたかったわ」
…
「もしかして…和紀…そっち系?なら、わたし…」
「ん?」
結奈がまたぼろぼろ泣き出した。
どっちだよ⁉︎
結奈…めっちゃ泣くじゃん。
てか、意味わかんねーよ…
…
そっちって何⁈
で、なんでそんなに泣くんよ?
…
続く。