そうまって…
結奈は…それからというもの、よくオレの部屋でゲームをするようになった。
なんだか、中学の頃に戻ったみたいな不思議な感じだ。
でも…中学から、ひとつ変わったことは…結奈がそうまの彼女っていうことだ。
そうまは、結奈にまったくといっていいほど束縛しない。
なんなら、オレの方が束縛男だとそうまから言われている。
彼氏が束縛しないのに、関係ない幼馴染が束縛って…意味がわからないけど…でも、結奈が心配でほっとけない。
オレは正直、そうまと別れてもらいたいのだ。
でも、それは結奈が決めることだ。
だから、今は二人のことは…一応そっとしているっていうか、諦めモードに近い。
でも、きちんとケアはしている。
というか…そうまのおかげでハグが結奈とできる。
なんだかんだで結奈は、オレから抱きしめられると、ずっと離れない。
というか…いつも寝落ちしている。
わりいな、そうま。
って、いいつつ罪悪感なんてこれっぽっちもない。
だって、そうまも結奈以外の別の人とイチャイチャしてるんだもんな。
結奈だって…それを受けとめるので精一杯苦しんでいるんだ。
てかさ、結奈は…わざわざオレとのゲームをするためにもおしゃれを欠かさない。
偉いよなぁ…。
たかが幼馴染とのゲームなのに、おしゃれしてくるとかさ。
彼氏から、いつお呼び出しされてもいいように準備万端にでもしているのだろうか?
けなげすぎる…
そんな状況がなんと、数ヶ月も続いた。
最近結奈とそうまは、あまり一緒にデートしない。
なんでだろう…?
特に別れたとかは、聞いていない。
でも、このまま疎遠になって破局してくれたらいいのに…って少し、いや、めっちゃ思う。
そうまのやつめ…ってそうまのことを考えていたら…そうまみたいなやつを学校帰りに発見した。
…
好きな人できると、だれでもその人に見えちゃうみたいなこと聞いたことあるけど…キライなやつみても、そんな現象が起きるんだなぁと、そうまみたいなやつをボーっとみていたら…まさかのそうまじゃね⁉︎
一人でこんなとこで何してるん?
でも、これはチャンス‼︎
結奈があんなに苦しんでいるんだ。
ひとこと言ってやろうじゃねーか。
「おい、そうま」
そうまは、オレの声をきいてすぐさま振り返った。
「あーなんだ、幼馴染くんじゃん。なに?」
テンションダダ下がりって感じの怠さで返事をしてきやがった。
「あのさ、最近結奈との仲は、どうなってんだよ?」
って怒りまじりで質問するも、そうまは
「ほんっと、過保護かよ?うちらは、仲良いけど?だから?」
と、怠そうに返すそうま。
「仲良いの?でもそれって、二番目なんだよな?」
「は?一番の親友だけど?」
「親友⁉︎ふざけんなよ」
「いや、幼馴染の友達を好きになる方がヤバくない?」
?
幼馴染の友達って…まさか、せなじゃねーだろうな⁉︎
ん?
幼馴染?
そうまとせなは、幼馴染なん?
結奈…
そうまよりもせなを好きになっちまったのかよ⁉︎
でも、あれは違うって前に言ってたような…
せなは、せなじゃなかったとか…
…
今は、結奈…そうまが一番なんじゃ…
てか、それでそうまは…気が狂ったように別のやつと…?
そうまの、仕返しってやつか?
結奈は、誤解されたままなのか?
「結奈は、その…お前の一番になりたがってたんだぞ」
「うん、だから一番の親友じゃん。そんなに心配してるくせに、結奈を一番に愛さないあんたは、相当ヤバいよ?」
「は?オレは結奈を一番に愛してるに決まってんだろ。おまえみたいに、他のやつのところになんかいかない」
「へ?あんた…そんなこと言って、結奈の親友のわたしにゾッコンなんだろ?」
「わたし…?ゾッコン?おまえ…頭大丈夫か?」
「だって、結奈からそう聞いてるよ?幼馴染の和紀がそうまを一目惚れしたっぽくて、そうまそうまって言ってくるって」
「一目惚れって…てかおまえ…まさか…」
思わず胸元をチェックしてしまった。
「やっぱり変態かよ⁉︎ひとのからだジロジロみんなよ」
「…おまえ、まさか女?」
「あたりめーだわ。」
「でも、ズボンだし…初対面のとき声が…」
「それは、制服女子でもズボン認められてるし、初対面のとき、風邪気味でノドガサガサで、なんなら地声低いし…」
「はぁ⁉︎じゃあ、あんた…マジで…」
「そうだよ。わたし、相間あやめっていうんだけど?」
「えっ…じゃあせなって…」
「木之内せな?てか、あんたがせなも狙ってたって結奈言ってたよ?」
…バイトのせなとは、別人だった。
てか、知らない人だし…狙うわけない。
だから、結奈は二人の話すると不機嫌だったのか…。
そりゃ…バイト先のせなが、結奈たちを知らなくても当然だった。
「えと…なんかごめん。オレあんたのことずっと男だと思ってて、いきなり結奈の部屋に入り込んだり、泊まりとかしようって誘って、ヤバいやつって思ってて。」
「なるほどな。だからそんなに泊まりダメとか別れろとかいってたんだ?」
「まぁ…」
「あはは、じゃあ、結奈もなんか誤解してるかもね?あ、彼氏来たからそんじゃーね」
「おう、今までごめんな」
「いいよー、結奈とお幸せにー」
そうまは、彼氏のところへ嬉しそうに走って行った。
よくみたら…女の子っていわれたら…そうだったのかもしれない。
オレの勝手な先入観で…今まで…こんな…
てか、じゃあ結奈の一番ってだれ⁉︎
オレは、走って結奈のところへ向かった。
続く。