ボロボロ
謝るオレをみて結奈は、
「そんなに謝るほど、わたしがイヤ?」
ってオレの目をじっとみてきた。
「イヤなわけ…ない。けど…」
「けど?キスはキモい?」
「んなわけねーじゃん」
…
「なら、してよ?」
「へ?いいの?」
「…うん、、ずっとさみしくて…心が苦しくて…だからっ…」
結奈がぼろぼろ泣き出した。
泣いちゃうほどしんどいんじゃんかよ。
ドア壊れまくってんじゃんか‼︎
そうまに壊されたんか?
それともせなか?
どっちが結奈の心のドアぶち破って壊したんだよ⁉︎
あけたらしめろよ‼︎
鍵、壊したんならなおせよ‼︎
オレは結奈を抱きしめた。
「結奈…泣くなよ。オレがいるから」
「うん…わたし、二番目でもいい…なんなら三番目かもだけど…」
…
やっぱり、そうまか…
てか、そうまって…どんだけ遊んでるんだよ⁉︎
…結奈は、どうしてそうまがいいんだろうか?
なぜそんなやつ…
でも、こうなってしまったら…どうしようもない。
オレなら、一番がいいけど…って言いそうになったけど、今はその言葉をのみこんで結奈を全力で包み込んだ。
泣きながら結奈は、オレに愚痴り出した。
「好きじゃないなら……優しくして欲しくない」
「うん。」
「部屋に笑顔で入れないで欲しい」
「うん。」
「はっきり、ふってほしい」
「うん。」
「ずっとそばにいて…わたしだけみて、寄り添って欲しかったぁ…。」
「うん。」
結奈の本音がやっときけた気がした。
その間、オレはずっと結奈を抱きしめて話をきいていた。
すると結奈が顔をあげて、
「あのね、わたし…ずっとそうまとせなが羨ましくて…憧れで」
「うん。」
「でも、この前せなは…違って」
「ん?」
「せなは、せなじゃなくて…やっぱりそうまひとすじってわからされて…」
「…うん。」
「でも、好きなのぉ…」
「うん。」
オレをギュッと抱きしめる結奈。
きちんと話し合ったほうがいい…ってアドバイスしようかとも考えたけど…
そしたら、結奈はフラれてしまうかもしれない。
なら…ならこのまま、そうまの優しさに包まれていたいのかもしれない。
一番では、ないけど…
そもそも…一番じゃなくてもいいんじゃないかなって思えてきた。
一番好きな食べ物もあるけど…二番目に好きな食べ物もある。
たまに一番より二番のほうがいいときもある。
二番目が一番目にならないとも限らない。
「結奈…二番目でもいいんじゃない?」
…
「二番目…?」
「うん。いつか一番になれるかもよ?」
「それっていつ?」
「わかんないけど…そのうち?」
「じゃあ、和紀は…そんなこと言うってことは、ずっとわたしを受け入れてくれるの?和紀の一番が手に入っても?」
「一番が手に入ればそれが一番いいけどね」
「そしたら、わたしは…捨てられちゃう?」
「捨てないよ。絶対に」
だって、一番が結奈なのに…。
「やっぱりわたし…一番になれたらキスする……なれないかもだけど…ごめんね。キスしてとか、わがままいって」
「うん、いいよ。」
…
ところで…せなは、せなじゃなかったって…なんだったの?って聞きたかったけど、今はやめておこう。
結奈が落ち着くまで、オレはずっと結奈を抱きしめていた。
ほんとは、そうまに抱きつきたいんだろうけどね。
でも、そんなこと言ったら、そうまとの関係が崩れてしまうって結奈は、わかっているのかもしれない。
やっぱりオレは、そうまが大キライだ。
…どうにかして結奈を引き離したいな。
二番目が一番目になる日が近いならいいけど…ずっとこのままじゃ、結奈がかわいそうだ。
さっきは、二番目でもいいとか思ったけど…やっぱりシンドイだろうな。
「結奈、いつでもオレは待ってるから」
…
シン…
オレの言葉に、結奈は安心したのかその後もずっとオレに抱きついたままだった。
一時間以上は、このままだった。
オレは幸せだけど…結奈は、不完全燃焼なのだろう。
結奈は、疲れてそのまま眠っていた。
いつから寝ていたのかわからないけど、結奈…よっぽど限界だったのだろう。
そのまま抱っこしてオレのベッドに眠らせた。
すると…ポケットから携帯が落ちて画面にメッセージ通知がでた。
(彼氏が好きすぎてヤバい)
ってそうまから…
続けて、
(また、色々聞いてねー)
ってきた。
鬼かよ⁉︎
結奈って…そうまからどんな扱いされてんだよ⁉︎
そうまって…そうまって…
この流れって…
そのまま別れようってならない⁇
結奈は、遊びだったってならない⁇
結奈…起きたらこのメッセージみて…大丈夫かな…。
遠回しにもう、おまえは好きじゃないっていわれてるようなもんだよな…
でも、意外にも結奈は…
起きてメッセージを確認すると、
「わたし、そうまになりたかったな……。なんかいつのまにか寝ててごめんね。わたし帰るね」
と、少し元気になって帰っていった。
結奈は、そうまが幸せならいいん?
歪んだ愛…?
そんなことしてるから…結奈は、ぼろぼろになるんじゃね⁇
よくわからないけど、オレがわかるのは…結奈を抱きしめていた感触だけだ。
温もりって…いいな。
心は別の方を向いていても…やっぱり好きな人を抱きしめるっていいな。
結奈も、心が自分にむいていないってわかっていても、好きな人の温もりを感じていたいのかもしれない。
かわいそうに…結奈。
続く。