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みてしまった

 バイトが休みの日、結奈を本屋に誘った。

 

 面白い本があるし、本以外にもかわいいものがあるんだって言って、最近オープンしたばかりの隣町の大型本屋に二人で行くことになった。

 

 

 なんか、プチデートみたいでワクワクする。

 

 彼氏もちの幼馴染だが、彼氏は束縛を全くしないらしく、オレとの二人きりの誕生日会も許してくれるほどの人間だ。

 

 さらには、その幼馴染のプレゼント選びまでしてくれるんだから、心が広いのか…それとも彼女に無関心なのか、正直わからない。

 

 

 そんな彼氏もちの幼馴染と、電車を待っていたとき、とあるものを…いや、とある人たちを見てしまった。

 

 …

 

 駅の向こう側にそうまがいたのだ。

 

 それだけなら、まぁどうでもいい…。

 

 でも、隣に男がいたんです。

 

 …

 

 ただの友達って、はじめは思っていたオレ。

 

 しかし…

 

 しかし奴らは…手をにぎにぎしたり…めっちゃ近い距離でイチャイチャしてたんです。

 

 

 オレが慌てて結奈にバレないように気を逸らそうとすると、結奈が

「あ、そうまと彼氏じゃん」

 ってサラッと言い放ちました…。

 

 あ、雨降ってきたね?みたいなノリでさ…

 

 オレはびっくりしたよね‼︎

 

「えっ⁉︎そうまって…彼氏いるの⁉︎」

 ってさ。

 

 てかさ、結奈…それでいいん⁉︎

 

 彼氏に彼氏が…

 

「結奈…それでいいの⁉︎」

 って心配すると、結奈はちょっと怒った表情で、

「わたしは、当たり前に全然応援する。でも、やっぱり和紀は、そうじゃないんだね?そんなにイヤ?」

 って悲しそうな表情を浮かべた。

 

 …

 

 いや、それは…恋愛の仕方とか形ってそれぞれだと思うよ?

 

 だけど…

 でも…

 

「あの…オレはイヤかも…」

「でしょうねー。あ、でもまだせなは、フリーだよ。」

 

 せな…

 

 結奈は、せなにのりかえるの…か?

 

 でも、せなも彼女できそうって言ってたよな。

 

 あなたたちって…いったいどうなっているんでしょうかね?

 

 結奈がせなの名前を出してきたってことは、やっぱり自分だけをみてくれる人がいいってことなんじゃ⁉︎

 

 …なら、オレもその中のひとりなんだけどな。

 

 そりゃ、せなだってかっこいいし…優しいけど…

 

 でも、せな…結奈のこと知らないっていうじゃん。

 

 同じ学校なのにさー…

 

 制服も一緒だし、よく英語の先生の授業クセ強めって、せなも結奈も言うんだよね…

 

 そうまよりは、せなの方がいいような…

 

 でも、せな…結奈を知らないって言い張るし…

 

 わからない…

 

 結奈せな結奈せな…

 

 ただただぐるぐるループだ…。

 

 

 結奈は、やっぱり少し不機嫌そうだった。

 

 

 この話は、やめにしてとにかく今日は、お買い物を楽しむことにした。

 

 お買い物中は、もうオレたち付き合ってんじゃね⁉︎ってくらいそれはそれはお互い笑顔で楽しかった。

 

 結奈には、ずっと笑っていて欲しい。

 

 

 …

 

 帰り道、結奈がゆうひに照らされてオレに微笑んだ。

 

 

 その笑顔をみたオレは…

 やっぱり…やっぱり…

 

「なぁ、結奈。」

「ん?」

 

 結奈は、オレをじっとみた。

 

「あのさ…オレ、やっぱり結奈には幸せになって欲しい」

 

 …

 

 その言葉を聞いた結奈は、少しムスッとした顔をして、

「へー」

 と、オレに冷たい視線を向けてむくれた。

 

 やっぱり結奈は、最近すぐむくれる。

 

 ほんとは、そうまとの交際…無理しているんじゃ…。

 

 幸せになれてないって自分でわかっているからむくれたんじゃないかな…?

 

 やっぱり結奈は、そうまと別れるべきだ。

 

 

 

 なんなら…せなの方が…いいんじゃ?

 

 どうにかして結奈とせなをあわせたい…

 

 そして、せなの反応をみたい…

 

 その前に結奈には、カルシウムが必要かもしれないと、自販機でいちごみるくを購入した。

 

 結奈は、いちごみるくを飲んだら少し機嫌が良くなったっぽい。

 

 そして…

 

「今キスしたらいちごみるく味だね」

 って笑った。

 

 …

 

 結奈は、そうまにそんなことをいつも言っているんかな?そうやって頑張っているんかな?って思って、少し気分が下がった。

 

「あー…そうっすね。」

 

 気まずい空気でしたね…。

 

 だから、オレは…

 

 思いきって、自販機の何が出るかわからないゾーンのところを押して、オレは何味かなーってボタンをおした。

 

 そしたら…いきなり売り切れが点滅した。

 

「えっ?」

「あはは、和紀残念ー」

 って笑う結奈。

 

 だからオレもあははって笑ったけど、心の中では、大泣きでした。

 

 

 オレは…オレのキスは、何味でもないって…無味って…

 

 てか、おまえなんかどうせキスなんかできないんだから、味なんてねーんだよって自販機に無言の圧を受けているようだった。

 

 

 なんか…

 

 自販機恐怖症になりそうです。

 

 

 続く。

 

 

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