色
お誕生日会は、終始和やかに行われました。
いや…はじめは、和やかじゃなかったけどな…。
オレのせいで…
そして今も、オレの心はダーク色だ。
絵の具にうっかり黒を投入してしまったような…そんな感じだ。
あー、なんで黒なんて…ってなるくらい落ち込んだ。
黒ってほんと強いんよね…。
少し入れただけでもパレットは、泣き出しそうな空色みたいになるんよ…。
あ、もしかして…
オレの心をダーク色じゃなくて、真っ黒にしてしまえば最強説…。
黒い心…
ぐへへへ、オレは心が真っ黒さ!
なんでもへっちゃら‼︎
どんなことでも、みんな真っ黒にのみこんでやる‼︎……って…できたらいいんだけど。
いや、いいんかな?それって…
ダメだろぅ…
…
それよりなんか、肌寒い…
寒くなってきたねってことで、黒いパーカーを着た。
結奈には、白いパーカーを渡した。
結奈…
結奈は、ずっと白い心でいて欲しい…って願いを込めてそれをきてもらった。
…
結奈には、正直帰って欲しくない。
だって…もし帰ったら、そうまのところに行ってしまいそうだから。
もう日も暮れてきたけど…
結奈、そろそろ帰るよね…
オレがしょぼくれていると結奈は、
「誕生日プレゼントあるんだった」
とバッグをゴソゴソしだした。
かと思えば、いきなり手をとめて…
「プレゼント…プレゼントなんだけど…今年は特別に、わたしでーすっ‼︎」
って結奈が両手を広げた。
…
結奈…?
結奈がプレゼントなん?
…
「えっ⁉︎」
オレが驚いていると結奈は、
「う、うそだよ。びっくりした?ほんとはコレだよ」
って言いながら半袖シャツを広げた。
シャツの真ん中には、過保護ですけど?って書いてあった。
そして過保護の文字の周りに、かわいいゆるキャラみたいな絵が描かれていた。
「ありがとう。でも…なんで過保護?」
意味がよくわからなかったから聞いてみた。
そしたら…まさかの…
「そうまが絶対これだよ!」
っておすすめしてくれたの。
っていうじゃんか…
イヤだ…
好きな人の彼氏が選んだ服なんて…服だけにふくざつやん…。
てか、過保護ってなんなんよ⁉︎
だいたい…そうまが、おかしいんじゃ‼︎
あいつオレは束縛しないタイプって感じだけど、結奈を野放しにしすぎじゃね⁉︎
まさか…だけど…
もしかしてそうまのやつ、自分がいろんな女の子と遊びたいからって、結奈を野放しにして、自分も好き放題させてもらってる?ってこと⁉︎
結奈は、それが当たり前なんだよ?って教わったんじゃないだろうな⁉︎
結奈…どうなんだよ…?
教えてくれよ…
…って聞いたら、結奈怒るよな。
…
ところで…
彼氏と幼馴染の違いは、オレにもわかる。
でも…そもそも、せなってどんなポジションなん?
彼氏の友達…?それとも幼馴染のバイト仲間?
どちらにせよ、せなは結奈に繋がる…のか⁉︎
ここは、思いきって質問してみよう!
「結奈は、さ…その…せなとは……」
「ん?せな?」
「あー…ううん。なんでもない」
「…へんなの。じゃあ、わたしそろそろ帰るね」
と、へんなの扱いでお誕生日会はお開きになった。
今日は、これからお母さんと餃子をつくるらしい。
うんうん、そんな平和なことがオレはめっちゃいいと思うよ。
と、心でほっこりお芋を蒸した気分になったあと、夜…複雑な気分で結奈からのプレゼントのシャツに袖を通した。
…
着心地は…いいけど…気心地が悪い…
そんな数日後…バイト先で、せなが目をキラキラ輝かせて突然びっくり発言しだした。
「和紀ー、オレ彼女できそう‼︎」
ってさ。
…それは、まさか…結奈じゃないよね⁉︎
そうまから奪うとか?
はじめは、そうまよりもせなの方が安心かとも思ったけどさ…
でも、せなってこの前…結奈のこと知らないとかって言いだしたんだもんな…
もしかして彼女できても、和紀の知らないオレの同じ学校のこだよ?とか言いそう…。
なんなら結奈も…オレが、そうまの話すると不機嫌になるし…しかもオレ勝手にそうまに別れてなんて言っちゃったから、結奈がそれを知ったら…オレたち…絶縁だろうな…。
だから、きっと結奈とせなが付き合ったら二人は、オレに言わないんだろうな…。
でも、一応試しにせなに聞いてみた。
「ちなみに、彼女候補って…聞いてもいい感じ?」
と。
すると簡単に、
「ほら、一緒にバイトしてる由梨ちゃんだよ♡」
ってのろけた顔をオレに向けてきた。
えっ?由梨さん⁉︎
たしかに仲良いなとは思っていたけど…
せなは、結奈とは遊びってこと…なんだ?
結奈もそうなのかな…
…
結奈は、せなとそうまの話をするとピリつく。
でも、結奈がピリつくより結奈が悲しむ方が嫌だな…。
今度、じっくり結奈とそうまのことと、せなのこと聞けたらいいんだけどな。
続く。