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異世界転生したらゴキブリでした  作者: Right
序盤: 地下での生誕と生存のための戦い
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ガーロの覚悟、毒を秘めた最後の保険


「フン、落とし穴作戦が成功すればそれでいいが…。」


ガーロは落とし穴作りが進む中で、一人考え込んでいた。俺や他のゴキブリ族、ネズミ族が一心不乱に穴を掘っている中、ガーロだけはどこか冷静さを保っている。彼は、ただひたすら俺たちの計画に従っているわけではなく、別の保険も用意していた。


「知恵を使った罠が成功するに越したことはないが、あの巨大な魔物がそんな簡単に引っかかるとも思えん…。」


ガーロはそう呟きながら、手元に持っていた小さな袋を確認した。中には、地下の奥深くで見つけた特殊な植物――「ブラックマンドレイク」の葉が入っている。ゴキブリ族には無害だが、他の地下の生物にとっては強烈な毒を持つと言われている。この植物を使って、ガーロは最終手段を準備していた。


「これがあれば、最悪の事態でもどうにかなる…。」


ガーロは袋の中の葉を見つめ、静かに呟いた。ブラックマンドレイクの毒は非常に強力で、ゴキブリ族がいくら摂取しても何の影響もないが、地下の強大な魔物たちには致命的な効果をもたらす。この植物を使って、ガーロはある覚悟を決めていた。


「落とし穴が失敗したら…俺があいつに食われて、毒で倒してやる。」


ガーロはそう独り言を言いながら、葉を一枚口に含んだ。苦味のある風味が口内に広がるが、彼は平然としていた。ゴキブリ族には全く効果がないと知っているからだ。だが、この毒は、巨大な魔物にとっては劇薬となる。


「ふっ…毒なんて、俺たちには効かない。だが、あの魔物は違うはずだ。」


彼は、何かが起こった時のために、すでに毒を体内に摂取しておくことにした。魔物に食われた際、この毒が魔物の体内で拡散し、致命的なダメージを与える。これがガーロの最終手段だった。



「おい、ガーロ!どうしたんだ、そっちで何してる?」


俺が振り返ると、ガーロが一人で何やら怪しげな行動をしているのが目に入った。いつもはどこか無鉄砲な彼が、今回は冷静に準備をしているのを見て、少し不安を感じた。


「いや、大したことはない。ただ、もし落とし穴が失敗したときの保険だ。」


ガーロは俺に軽く答えるが、その表情には何か決意が感じられた。


「保険って…どういうことだよ?」


俺が問いただすと、ガーロはため息をつき、手に持っていたブラックマンドレイクの葉を見せてきた。


「この植物を知ってるか?ブラックマンドレイクだ。ゴキブリ族には効かないが、魔物には強烈な毒だ。もし落とし穴作戦が失敗したら…俺はこの毒を使って奴を倒す。」


「はっ…!?毒を使って…どうやって?」


俺は一瞬驚き、言葉を失った。だが、次の瞬間、ガーロの決意に気づき、彼が何をしようとしているのかを理解した。


「まさか…お前、あいつに食われる気か?」


ガーロは静かに頷き、平然とした表情で答えた。


「そうだ。あいつが俺を食った瞬間、この毒が奴の体内で回り始める。そして、奴を内部から倒す。それしかない。」


「おいおい、冗談だろ!?そんなこと、命を捨てるようなもんじゃないか!」


俺は思わず声を上げたが、ガーロは冷静だった。彼は自分の命をかけてでも、ゴキブリ族を守るつもりだったのだ。


「リーダーになったお前を信じている。だが、それでも万が一ということはある。俺はその時のための保険だ。安心しろ、これが最後の手段だ。」


ガーロは口元に薄く笑みを浮かべ、俺に背を向けて作業を再開した。俺はその背中を見つめながら、言葉が出なかった。


「ガーロ…お前、そこまで考えていたのか。」


俺はその場で立ち尽くしながら、ガーロの覚悟に圧倒されていた。彼は自らの命を差し出すことで、俺たち全員を救おうとしていたのだ。


落とし穴作戦の準備は着々と進んでいた。巨大な落とし穴は完成し、罠には無数の鋭利なナイフや刃物がセットされている。そして、最後のカモフラージュも施され、見た目にはただの平坦な地面にしか見えなくなった。


「よし、準備は整ったな。これであいつが罠に引っかかれば、終わりだ。」


俺は全員に声をかけ、作戦の最終確認を行った。ゴキブリ族もネズミ族も緊張しているが、今までの努力が無駄にならないように、一致団結していた。


「ただし、万が一落とし穴が効かなかった場合は、俺が動く。」


ガーロが前に出て、みんなに向かって宣言した。彼はすでにブラックマンドレイクの毒を摂取しているため、自らが最後の切り札となる覚悟を決めていたのだ。


「ガーロ…お前がそんな無茶なことをする必要はないんだ。」


俺は彼を止めようとしたが、ガーロは冷静な表情で俺を見つめた。


「お前がリーダーになった以上、俺たちはお前の作戦に従う。だが、リーダーが守るべきは族全体だ。俺の命くらい、安いものだ。」


その言葉に、俺は言い返すことができなかった。ガーロの覚悟は揺るぎない。彼はゴキブリ族全体のために、自分の命をかけているのだ。


「分かった。だが、最後まで無茶をしないでくれ。」


俺は静かにそう答え、作戦の開始を告げた。いよいよ、巨大な魔物との最終決戦が始まろうとしていた。


全てが整い、俺たちは罠の周りに隠れて、巨大な魔物が近づくのを待った。やがて、地面が震え、大きな足音が響き渡る。


「来た…!」


ガーロが毒を体内に秘めたまま、静かに身構える。もし罠が失敗すれば、彼が最後の切り札となる。


そして、いよいよ魔物が罠の上に足を踏み入れた――。

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