その他
特に漫画雑誌にこだわらずに、作家別に。
文中の敬称は省略しています。
青池保子
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最初に思い出すのは、『イブの息子たち』だろうか。イブの肋骨から生み出されたという、ヴァンローゼ族の、ジャスティン、ヒース、バージルの三人が、古今東西の神話やら歴史やらの登場人物と騒動を繰り広げるという、ナンセンスコメディ。
この作品を読んだのが、自分の家だったのか、学校で借りて読んだのか、いまいち判然としない。『月刊プリンセス』はあまり読んだ記憶はないものの、この作品は雑誌掲載時に読んだ記憶がある。
バージルが自分の色目を鍛えるために、動物園のゴリラで特訓するとか、そんなバカバカしいシーンなどが何故か記憶に残っている。最近ほほを赤らめるようになってきた、とか、ジャスティンたちに律義に報告していたのも覚えている。
『エロイカより愛をこめて』は、コミックスを借りて読んだ。当初、シーザー・ガブリエル、シュガー・プラム、レパード・ソリッドの三人の超能力者が主役として、冒頭から登場するのだが、直ぐにグローリア伯爵( エロイカ )と、エーベルバッハ少佐を中心とした007的な作風になっていった。
三人が主役な序盤から、まるで別物になっていったのだが、グローリア伯爵を強者にしすぎて子供な感じの三人は相手として不足になったというところだろうか。21世紀まで長く続いた作品だが、私が読んでいたのは連載の最初の部分くらい。
この作品の影響で、ドイツのエーベルバッハ市へ日本人観光客が増えたのだとか。当地でも新聞に取り上げられたりしたそうだが、軍人としてはエーベルバッハ少佐の髪が長い、という意見が多かったそうである。
魔夜峰央
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作者は男性だが、『笑っていいとも!』にかなりの長髪で登場したことは覚えている。
やっぱり、アニメにもなった、『パタリロ!』だろう。パタリロの顔は真似て描きやすかったので、今でも描ける。
絵柄が特徴的で、唯一無二ではないだろうか。アール・ヌーボーやアール・デコのポスターのような、絵画風の扉絵も印象的だった。
この作品も少年愛といった、ホモセクシュアルを取り上げた作品だが、それがアニメになって、家族が食卓を囲む時間帯に放映されていたというのが、今となってはちょっと信じられない。私の母にまで、パタリロ、と言うキャラクターは認知されていた。
常春の国、マリネラ王国の王子、パタリロ・ド・マリネール8世が主人公のギャグ漫画。時折、シリアスな展開の話もあって、結構泣かされるものもあった。
十歳の少年でありながら、天才的な頭脳と変態的な行為で周囲を巻き込んで騒ぎに発展していく話が多いが、MI6のバンコランや、美少年にマライヒなど、印象的なキャラクターが多い。部下というか、タマネギ部隊など、パタリロに振り回される者たちも個性的で見ていて面白かった。
ここ数年では、映画がヒットした、『翔んで埼玉』があるが、雑誌で読んだときは、どうして埼玉をそこまで馬鹿にした作品を描いたのか良く分からなかった。だいぶクレームが付いたんじゃないかとも思っていたが、当時はそれほど話題にならなかったようである。
コンプライアンスだとかなんだとか、色々と煩い21世紀になってから映画としてヒットするというのも不思議な気がする。
松苗あけみ
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松苗あけみ、と言う漫画家を最初に認知したのは、ぶ~けに掲載されていた、『純情クレイジーフルーツ』だろう。このエッセイの最初に、高校のクラスメートでぶ~けを買っている子は一人しかいなかったと書いたが、その子が持ってきたぶ~けで読んでいた。その子が居なかったら、松苗あけみという漫画家を知ることは無かったかもしれない、とか書くと大げさに過ぎるか。
女子校の日常を描いた、コメディタッチの学園物、と言うと普通な感じだが、女子校のリアルを描いている、らしい。当然私は女子校の実情などしらないが、結構面白く読んでいた。女子の反応はどうなのだろうと、クラスの女子にも感想を聞いたことがあったが、評価は半々と言った感じだった。
高橋源一郎の『文学がこんなにわかっていいかしら』で表紙と、中でも漫画を描いていたことも印象に残っている。高橋源一郎って誰? と言う感じだったが、松苗あけみの絵に惹かれて買った記憶が。この本を読んでも文学については良く分からなかった。
番外編
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矢吹れい子(中山星香)
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少女漫画の裏表紙に良く載っていた、『日ペンの美子ちゃん』をよく読んでいた。何か友人たちから相談事などを持ちかけられると、美子ちゃんがペン習字ならそれが解決できます、的なストーリー展開のショート漫画。漫画家を変えて、現在6代目まで続くシリーズだが、初代は、矢吹れい子で、この人の美子ちゃんが一番印象に残っている。矢吹れい子は別名義で、中山星香として、月間プリンセスなどで作品を多く発表している。
『あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度』という単行本が出版されたとき、勤め先のビルにあった本屋で見つけた。昼休みに喜々としてこの本を手にレジに向かったが、職場の人達は、『日ペンの美子ちゃん』なんてだれも知らなかった。男性はしょうがないだろうが、やっぱり20代くらいだと女性でも知らないものらしい。
柏木美星
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家の光協会という、JA(農協)グループの出版事業などを手がける法人があるのだが、そこから出ている、こどもの光、という雑誌があった(調べたら今は『ちゃぐりん』と誌名を変えているらしい)。
小学校の図書館にはそれが納入されていたのか、月一回発行のこの雑誌が毎号おかれていた。この雑誌で、藤子不二雄のアニメにもなった『キテレツ大百科』を読んだものだった。
他に、とくに印象に残っているのが、『ごきげんななめ』という、柏木美星という漫画家が連載していた、火の子、というお転婆な女の子が主役の漫画だった。
作者の柏木美星に他の雑誌掲載作品などがあったのかは、ちょっと分からなかった。’70年代によくあったアイドルを扱った漫画で、細川知栄子らと『まんが版 桜田淳子101のひみつ』というものを描いていたり、『まんがでべんきょう 星座ものがたり・冬 』という星座の解説本などを手掛けていたようだ。
『ごきげんななめ』は、後に『火の子はごきげん』とタイトルを変えて、だいぶ長い間連載していたようだ。 ※注
この漫画は、コミックスなどには纏められていないので、掲載されていた過去の雑誌を読むしかない。農協の雑誌なんて田舎の子供くらいしか知らないかもしれないが、子供のころに読んだせいか、懐かしい記憶として残っている。
※ 追記 1970年代中盤の『少女フレンド』の占いコーナー的なものでイラストとか描いていたようだ。国会図書館で漫画が詳細に記録されるようになったので検索に引っかかるようになった。
※ 注 1977年1月から『ごきげんななめ』で連載スタート。1981年1月から『火の子はごきげん』とタイトルが変わり、1986年1月から『ぷるるん!火の子』となっている。終了は1986年7月。
長々とつづけた、少女漫画のエッセイも、これで最後です。大人になってから読んだ人などは省いたので有名な漫画家でもここで取り上げなかった人も多いですが、私の子供の頃の記憶にはあまり残っていなかった、ということになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。