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2050  作者: 落川翔太
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プロローグ

2050年、政府は、日本人の英語力がアジアで最下位と言うことを受け、我々日本人の母語である「日本語」を廃止し、その年から一切の言語を『英語』に切り替えることにした!

さらに、警視庁では、日本語を使用した日本人や外国人たちを逮捕し、処刑すると発表する!


その一週間後、政府官僚の一人が仕事中にうっかり日本語を喋ってしまい、日本社会が混乱していってしまう……。

二〇四九年十二月八日。その日、東京では雪が降っていた。

 永尾真平(ながおしんぺい)は、ちょうど交番でお昼のカップラーメンを食べながらテレビのワイドショーを観ていた。

『本日、十二月八日は何の日か知っていますか? 今からちょうど108年前、アメリカで真珠湾攻撃があったのです……』

 男性のアナウンサーが日本語で喋っている。

『続いてのニュースです。来年、二〇五〇年の一月より、ここ日本では『日本語が廃止され、公用語が「英語」に代わります……』

 真平はそのニュースを聞き、テレビ画面へと目をやる。それから、その男性アナウンサーから映像が変わり、天皇のインタビューがテレビ画面に映し出された。彼女は先ほどアナウンサーが伝えたことと同じようなことを発言している。

『……日本語ではなく、英語を話すようにしてください。万が一、日本語を用いた場合、処刑に値することにする』

 彼女の演説に真平は恐怖する。日本語をしゃべってしまったら、処刑。

処刑とはあまりに危険で重すぎないだろうか。来年以降の日本の社会を考えただけでも、吐き気がしてならない……。


 九年前。二○四十年にそれが決定していた。

 理由は、日本人の英語力が世界的に見て、極めて低いことからである。政府の話によれば、アジアの五十六の国々の中で、日本は最下位なのだそうだ。

 それを受けて、その年から政府官僚たちを始め、警察や消防、教員などの国家公務員たちは、徐々に英語を使用するようになり、国は企業や学校などに更なる英語教育を普及していった。

 しかし、それでもその成果が今一歩のところであるのが事実だった。

 そんなこともあり、二〇五〇年には全国民の日本語使用を廃止し、英語の使用を広げていくことになった。


 そして、年は代わり、二〇五〇年一月一日。

 真平ら警察官は、警視庁対策本部に呼ばれた。

「本日、二〇五〇年一月一日より、『日本語』が禁止された」

警視総監が英語で話す。「これより、日本語使用した日本人及び外国人を目撃した警察官は、直ちに『日本語使用罪』で逮捕。その後、処刑することとする。以上」

警視総監はそう言って、にやりと笑う。それから、彼は壇上を後にした。

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