優秀な侍女
◆◇◆◇
まず、情報収集から始める。
真っ黒の服を着た男が言った。
「特に目立った悪事はありませんでした、詳細はこちらに」
1枚の紙を渡される。
「そう...ありがとう、さがっていいわ」
シュッ
一瞬で消えた...。さすがお父様の情報部隊ね。
お父様には上目遣いで「おねがい...!」と言ったら「少しだけだぞ」といって貸してもらえました。
「最近は地下で行われる競売に夢中...か」
何か余程欲しいものでもあるのでしょうか。
「リリー、地下の競売に参加したいんだけど...」
「だめです」
食い気味に言われた。
「そこをなんとか...こっそり参加できないかな...?ほら、男装とかして!」
「だめと言ったらだめです」
リリーは結構頑固です。
「どうしてもと言うなら情報部隊の方に頼んだら良いのでは?」
「そうしたいところなんだけど貴族の身分じゃないと参加できないみたいなの、入口で確認されるわ」
もし身分詐称がバレたらその潜り込んだ方はもちろん、身分を隠して参加させた公爵家にも被害が及ぶ。
その隙を侯爵に付かれたらおしまいです。
「そうですか...では、私が行って参ります」
「え?!」
「なので休暇をいただけますか?私的な用事で向かったとなれば公爵家に被害は及びません」
そうしてくれるのはとても助かるけど...。
「大丈夫...?」
「心配ありません、私は騎士の家系の出なのでひと通りの訓練を受けています、それに一応子爵家の令嬢でもありますし、私が適任かと」
確かにリリーが強いのは知ってる...。相手が並の剣士ほどなら容易くねじ伏せることが出来るでしょう。そこを見込まれて私の専属侍女になったくらいです。
「分かったわ、よろしく頼みます」
「かしこまりました」