悪役令嬢、始動
◆◇◆◇
午後。自室。
「はぁぁぁ...」
疲れてソファーに倒れ込む。
授業は世界共通で退屈なものらしい。
侍女に「はしたないですよ」と注意を受けるがこのもふもふのソファーには勝てません。
にしてもあの優しいお父様が裏取引をするなど信じられません。
もっとゲームをやりこんでおけばよかった!
今後はお父様の行動に気を配らなければ。
◆◇◆◇
数日間お父様の行動を眺めてたら気がついたことがありました。
お父様は家族大好きマンだということがわかりました。執事から聞いた話によると部下にはもちろん商談相手にも家族の話をしているようです。特に私の。
せめて商談の方にお話するのはやめていただきたいです...。
確かに、ゲーム内でも娘のために稀少な宝石を与えていました。
それに小さい頃からとても優しく接していただいたのを覚えています。
...。
その甘やかしがいけなかったのではないだろうか...。
ゲーム内のナディアはそれはもうわがままでした。うん、絶対にそれだ。
ではお父様が裏取引をしてしまった理由は誰かに騙され...。
いや、いくら優しいお父様でも私兵の情報部隊を持っているのに騙されるとは考えにくい。
となると、家族を脅されでもしたのでしょう。
そして我が公爵家を妬ましく思っている人物。
ルトコフスキー侯爵しかいない。
ルトコフスキー侯爵家は最近かなり力をつけてきている家門です。
ゲーム内ではその令嬢がナディアの取り巻きになるのだが、最終的にはゲーム内の主人公側についてしまう...。
そしてエバンス公爵家の悪事を暴くことに一役買ったことで、ルトコフスキー侯爵は公爵に位が上がることになります。
侯爵はかなりの野心家です。成り上がるためには我が公爵家が邪魔で仕方ないはずです。
お父様の『家族』という弱みも知っているため、そのことを利用するつもりなのでしょう。
ならば、私が阻止してみせましょう!
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