いつもの朝...?
「おはようございます、お父様、お母様」
本当はお兄様がひとりいらっしゃるのだけれどもう仕事へ向かわれたみたい。
「おはよう、ナディ」
「おはよう、日に日に美しくなるわね、もう立派な淑女かしら?」
ナディというのは私の愛称です。
お父様もお母様も私をとても愛してくれています。そしてお父様は特に私を可愛がってくれています。一人娘だからでしょうか。
「ありがとうございます、ですが淑女というにはまだまだです、これからも精進して参ります」
にっこりと母が頷いた。
「席につきなさい、食事としよう」
「はい」
さすがは公爵家の料理人、とても料理が上手です。
「ところでナディ」
「なんでしょう?」
「その...好きな殿方はいたりするのか?」
「...は?!」
ゴホッゴホッ
パンが喉につかえてむせた。
「すまない」と父に言われ母に水を飲むように勧められた。
予想外の質問に驚いた。
「失礼いたしました、好きな殿方はいません」
前世が男なだけあって男性を好きになれるかも分からないのに...!
「そうか」
お父様が嬉しそうに微笑む。
お父様、いまホッといたしましたね?
「もし好きな殿方ができたら早めにいいなさい」
「分かりましたわ」
それにしてもお父様はなぜ急に好きな殿方がいるかと聞いてきたのでしょうか...?