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どうも、悪役令嬢に転生した男子です!  作者: ずうぉるふ
第一章
17/19

袋の鼠

伊織視点です。

◆◇◆◇


「ここら一帯は薔薇が多いです、あちらは季節ごとに花が変わります、今はネモフィラの花畑になっていますね」


「こちらの青い花はなんですの?」


「そちらの花も薔薇ですね、ブルームーンと言います」


「詳しいのですね!」


驚いた、彼と同じような反応をしたから。


おっと、いけない、表情が崩れた。


彼女は花が好きなようだ。先程から目をキラキラと輝かせている。


そこも彼と同じなのか...。


「花がお好きでしたら温室もありますが、ご案内致しましょうか?」


彼女が目を見開いた。


「お願いします!」


似ている...。彼女が彼の生まれ変わりなのか?


「...殿下?」


しまった、思わず立ち止まっていた。


「あぁ、いや、行きましょうか」


「はい」


何やら視線を感じるが気にしないでおこう。


「ぅわっ...」


体制を崩した彼女に咄嗟に手が出た。


「大丈夫ですか?」


「助かりました、ありがとうございます」


彼女は笑って見せた。


その仕草、言動...


「...渚」


気づいたときには口に出してしまっていた。


「えっ...」


彼女は驚いて、固まっている。


「どうしてその名前を...?」


次に開いた口は彼が渚だと確信させるものだった。


「...本当に渚なんですね、ずっと、ずっとあなたを探していた...!」


長年恋焦がれていた人が今目の前にいる。


「伊織...なんですか?」


「そうです、覚えていてくださったんですね」


こんなに嬉しいことはない。

嬉しさのあまり抱きしめて顔を覗き込む。


「前世のときからあなたが好きです」


自身の顔の良さを最大限に生かしながら二度目の告白をする。


「ぇ...えと、ありがとうございます...でも、私はまだ好きとかはよく分からなくて...」


「では好きになって貰えるよう努力しますね」


手の甲にキスをした。

前世では渚を幸せにできないと思ったから我慢したんだ、今世では我慢しない。


「前世と比べて積極的になっていませんか...!」


当たり前だ、君を落とそうとしてるんだから。


「そうですか?あなたへの想いが爆発したのかもしれませんね」


照れている顔も可愛らしい。


「渚...いや、この世界ではナディアですね、これからはナディアと呼んでも?私のこともぜひヘリオスと呼んで貰いたい」


「それはだめです!ファーストネームで呼び合うのは家族と婚約者のみです!」


「では私の婚約者になって欲しい」


「ですが...」


何か渋る理由があるのだろうか。


「何か悩みがあるなら一緒に解決します、それでもだめですか...?」


悲願するように言ってみる。


「...分かりました、婚約者になります」


「ありがとう!ナディア、これからよろしくお願いしますね」


これで堂々と名前で呼ぶことが出来る。


「よろしくお願い致します...ヘリオス様」


「!!」


名前を呼ばれただけなのにこんなにも嬉しいものなのか。


「…では父上と公爵の元に戻るとしましょう」


「はい」


まずは婚約者になれた、君が嫌だと言うまで逃がすつもりはない。


覚悟してね、ナディア。


一章はこれで終わりです。

ここまで読んでくださった方ありがとうございました!



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