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俺って土魔法の才能あるの!?  作者: シロシロ
54/57

54.開戦



「パドラ~どうすんの?みんな不安がってるけど……」

 リーリン師匠が聞いてくる。

 俺こそ聞きたい。


 今ここにいる戦力は、獣人国応援軍1軍、冒険者軍1軍のみだ。

 主力のカルザン軍6軍は5日後、パドラ組2軍は、15日後に到着する予定だ。

 一方、敵はラッシュビルを出た3軍がすでにカルザン領内に入っており、例の旧坑道森出口の近くの街道をこちらに向かってきている。

 行軍速度でも2日くらいで到着するだろう。

 スライドバレン軍は、クレイビルからではなく、ラッシュ領との国境付近の砦に軍を集結させていたようで、そこを出た7軍もすでにラッシュ領に入ったので、到着は4日後になるだろう。

 どちらもカルザン主力部隊は間に合わなさそうだ。


 仕方ない。秘密兵器を出そう。


 今、母さんは獣人国に行っている。

 馬回復強行軍で帰ってきても明日以降の到着だろう。

 なので、戦力としてカウントできるのが、サキ、カルメラ、ばあちゃん、じいちゃん、リーリン師匠、ナレンダ師匠、と俺だ。

 能力的に考えるとサキ、リーリン師匠、ナレンダ師匠とじいちゃんが1対1や少数相手で強さを発揮するタイプ。

 一方、カルメラとばあちゃんは大規模魔法をぶっぱなし、集団相手に甚大な被害を与えるタイプ。

 なので、今回はカルメラとばあちゃんを主力にサキと俺が護衛について、4人で、ラッシュビルから来た3軍に被害を与えようと街道で待ち伏せすることにした。

 ちょうど森の旧街道出口から俺たちが作った道が、街道とぶつかるあたりだ。


 街道の脇に土魔法でテーブルとかまどを用意して、日差しを避けるために傘を用意して、お茶を飲んで待っていると、斥候と思われる兵士が見えた。

 こちらを見ながら街道を北上していったが、しばらくすると戻ってきて、また、こちらを見ながら南の方に走って行った。

 話しかけてはこなかった。


 待つこと1時間、ようやく軍隊が見えてきた。

「待ちくたびれたよ。おばあちゃん腰が痛くなっちゃった」

 中身は50代のはずだが、見た目30代でギャップがすごい。

「ダーリン、私から行こうと思うけど良かったかねえ?ライラの後だと敵が残っていない可能性があるからねえ」

 ばあちゃんの魔法はどこまで破壊するんだろう?


 カルメラはハリケーンバーストとヴァイオレントストームの2つの魔法を使うと言った。

 ちょうど1回ずつ唱えると魔力がほぼなくなるらしい。

 もう少し敵に近い方がいいということだったので、俺が護衛について、敵軍に近づいた。


 カルメラは早速魔法を唱え始めた。

 最初、堂々と街道を向かってくる俺たちに軍は特に警戒をしなかったようだが、カルメラが呪文を唱え始めると少しざわつき防御態勢をとった。

 1分ほどで魔法が完成するとカルメラの前方50mほどのところに高さ100m、横幅30mほどのハリケーンが発生し、敵軍に向かって行った。

 内側に強力な上昇気流が発生しているようで、ハリケーンの通り道に居た兵士は上にとばされ、外側にいる兵士はハリケーンの風で裂傷を負っていた。

 土魔法で作った小さな手裏剣のようなものがハリケーンに混ぜてあり、風に巻き込まれると切られるそうだ。

 そして、5分ほど活動したハリケーンは、一瞬で収縮したかと思うと雷のような大きな音を出して爆発し、爆風をまき散らして、消えてなくなった。

 周りには誰もたっておらず、100人程度がそのあたりに倒れこんでいた。


 軍を壊滅させたか……軍隊いらなくない?


 さすがに次の魔法を使おうと俺とカルメラが街道を進むと、軍隊は後退し始めた。

「逃げてしまうのう。ヴァイオレントストームは、諦めるか、残念じゃのう」

 カルメラと一緒に、追うのを諦めて、最初の休憩テーブルに戻ってきたが、ばあちゃんとサキがいない。

 どこかに行ったかと周りを探していると、街道で止まっていた軍隊の後ろの方で、大きな爆発音がすると、まるで爆弾が落ちた後のようなきのこ雲が浮かんでいた。


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「サキちゃん、ちょっとおばあちゃんをおんぶして、向こうまで行かない?」

 私は孫の嫁に声をかけた。

 この嫁は私のお気に入りだ。

「はい。いいですよ」

 この子は、文句を言わず、いうことを聞いてくれる。

「隠密使って、見つからないようにね」

 ちょうどカルメラが派手にぶっ放しているので、気づかれないだろう。

 私たちは、カルメラのハリケーンバーストが爆発した時には、敵の真後ろに出ていた。


 サキちゃんを少し離れたところに残して、私が呪文を開始すると、カルメラがさらに前進するのに合わせて、軍が少し下がってきた。

 ちょうどよかったわ。

 敵の何人かがこちらに気づいたがもう遅い。

 私は必ず魔法名を唱えて、術を発動させる。

 何となくかっこいいから。

「メガフレア!」

 その瞬間辺りは灼熱の炎と爆音に囲まれ、大きな煙が立ち上った。


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 おそらく、ばあちゃんの魔法の残骸と思われるキノコ雲が少し薄くなり始めたころ、サキとばあちゃんが帰ってきた。

「うーん、100人行かなかったかな」

 倒れている人間はカルメラの魔法の後の方が多いが、たぶん、生きている人間も多い。

 ばあちゃんの魔法影響範囲に倒れている人は、ピクリとも動かない。

 すでにただの炭の様になってしまったものもあった。

 俺は、死屍累々と横たわる敵を見て少しやりすぎた気になったが、今ここで敵を倒しておかないと後々仲間がやられてしまう。

 3軍300人のうち、約200人を戦闘不能にできた。


「まだ、何人か生きてるみたいだけどどうする?」

 ばあちゃんが聞いてきた。

「もう十分ですから、一旦、屋敷に帰ろう」




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