53.戦争準備
バレンシアさんはサキのお母さんを連れて再開させに来ただけでなく、俺たちにとってのお土産を持ってきた。
「獣人国はカルザンに協力して、スラテリア、スライドバレン、ラッシュと戦うことを約束します。父に代わって、第1皇女の私と2人の母、そして、軍のトララ司令官が保証します」
おー、あの司令官はトララというのか、わかりやすくてよかった。
「我々はスラテリアとの戦いに主力を割きますが、こちらにも何軍か応援に出そうと思いますがいかがでしょうか?」
ありがたい話だ。
ついでに帝国との交渉の後ろ盾になってほしいとお願いする。
「当然です。2領主との戦いに注力するために、帝国には大人しくしていてもらいましょう。早速使者を出しておきます」
だんだん、戦力が整ってきた。
そこで、前回、サキの話を聞いてから、母さんとリーリン師匠とばあちゃんに相談して、決めていた提案をバレンシアさんにした。
「実は、私の一家は生命魔法が使えるものが多くて、更に私の師匠は生命魔法も薬草知識も豊富でして、皆で相談した結果、おそらく、獣人国の王様、バレンシアさんとサキのお父さんの病気は治せる可能性があるという結論になりました」
その言葉に目を見開くバレンシアさん。
「一度、獣人国に母を連れて行って、王様の治療をさせていただくことは可能でしょうか?母は症状を見るのがうまいので、母が診察した後、症状によって、私か、師匠か誰かが治療にお伺いしたいと考えています」
バレンシアさんは嗚咽を漏らしながら、何度も頭を下げていた。
さて、戦争だ。
リーリン師匠とナレンダ師匠の呼びかけに寄って、かなりの冒険者が味方になってくれた。
実際に獣人を解放し、獣人国が領主を非難して、領主の罪が明るみに出ると続々と参加してくれる人が増えた。
もうすぐ100人を越えそうだ。
また、祖父母の呼びかけで、王都方面からも冒険者が向かっているらしいが、まだ到着していない。
現状、敵の戦力が、スライドバレン辺境伯領主軍8軍、ラッシュ子爵領主軍4軍になる。
スラテリア軍については、獣人国が完全に抑えてくれるはずなので、こちらには影響ないはずだ。
一方、味方戦力が、カルザン主力軍6軍、獣人国応援軍1軍、冒険者が1軍相当で100人。
戦場がどこになるかにもよるが、野戦になるなら都市の治安維持のため、1軍ずつは出てこれないはずだから、実質相手は10軍だ。
10対8でもう少し欲しい。
バレンシアとの会談の後、獣人国応援部隊の受け入れ、冒険者軍の創設と指揮官の任命などを行い、追加戦力の整理拡充を行った。
また、バレンシアのサポートで帝国との一時休戦と講和の交渉を行ったとき、帝国側から帝国軍とは関係なく、カルザンに行って、戦争に協力したいというものがいるから受け入れてほしいという提案があった。
共に戦ってくれるなら戦力は多いに越したことはないので、もちろんOKすると、何とグランドブルグのパドラ組のメンバー200人だった。
マルク、カルロ、ミゲルなど懐かしい顔がそろっていた。
更にパドラ組200人の中には昔訓練でお世話になった領主軍第4軍の兵士たちが一時除隊して、参加してくれていた。
再会を喜び、礼を言い、また、カルザンの街で再会することを約束した。
そして、帝国と講和が成立したところで、ライコスとノラに南下の指示を出した。
これで、こちらの戦力は五分になった。
俺は移動の際、馬に乗って、馬に生命魔法をかけながら、ゴリ押しで進むので、移動速度が速い。
乗っている自分も疲れてしまうので、全く休まずというわけにはいかないが、ある程度整備された道であれば、時速20kmで1日12時間240Kmぐらいは走れる。
俺とサキとカルメラの3人くらいであれば、俺一人で3匹の馬に生命魔法をかけながら、同じように移動することが可能。
ばあちゃんと母さんがいれば、10人くらいの集団までならできると思う。
リーリン師匠まで一緒なら15人くらいいけそうな気がする。
さすがに軍隊になると数が違うので、この方法は使えない。
パドラ組にしろ、カルザン主力部隊にしろ、主戦場になる俺たちの屋敷のある地域まで来るには、時間がかかる。
それまでにほかに準備することもあるから時間が無駄にはならない。
戦力が集結次第、総力を持って攻め込んで、先手を打つぞ。
と考えていたら、逆に、攻め込まれた。
もう一年も終わりに近づいた時だった。




