45.旧坑道
閉じられた旧坑道に、魔力で強引に道を作って入り込んだ。
そこから歩き始めて、早5時間になる。
ほとんどまっすぐに掘り進められた坑道で、ずっと下ってはいるが非常に歩きやすいので、地上よりはペースは遅いだろうが、適度に回復魔法をかけながら、かなりの距離を進むことができた。
「これ以上進むと、今日のうちに地上に戻れなくなる。休息する場所もあるかわからないから、一度戻った方がいいと思うがどうだい?」
カルメラが提案してきたので、少し考えて提案した。
「いや、休息できるキャンプ地は、俺が準備するから、坑道で泊まるつもりで、もう少し進もう」
食料は干し米と塩をいくらか持っているので、全員で5食ぐらいはいけるだろう。
「ダーリンがそういうならいいさ」
もう5時間ほど進んだところで少し広いスペースがあったので、そこで今日のキャンプを張ることにした。
坑道の壁から土魔法で斜めに壁を作り、三角形のテントのような空間を作り、そこに簡単な寝台を作り眠れるようにした。
さすがのばあちゃんもその精度とスピードに驚いていた。
さらに壁で仕切った空間に、小さな湯船を作り、体を洗えるようにした。
水は後でばあちゃんかカルメラに入れてもらおう。
テントの外にかまどを作り、大きな土鍋と人数分の皿とスプーンを作る。
皿とスプーンは高麗青磁のような高級感のある薄青にしてみた。
水魔法で土鍋に水を入れて、燃料がないので、ばあちゃんとカルメラとサキが交代で火魔法を使って鍋を温めて干し米をふやかして塩を入れて粥にした。
念のため寝る前にテントの周りにもう3重ほど2メートルほどの壁を作って周りを泥沼にしておいた。
ばあちゃんに風呂に水を入れてもらい、先に体を洗わせてもらった。
最後にためた水をお湯にしたところで、魔力も切れたので、先に寝ることにした。
目覚めるとすでにみんな起きていた。
ちゃんと眠れたか心配だったが、カルメラが言うには、みんな6時間以上は寝て、俺だけ10時間ほど寝たそうだ。
獣人軍人が交代で寝ずの番をしてくれたそうだが、何事もなく、彼らもそれぞれ6時間は寝れたそうだ。
とても快適なキャンプだったと皆から絶賛された。
軽く朝食を食べてから、どこまで行くかを皆と話し合った。
食料は、あと4食、2日分あるため、引き返す分を考え、今日1日進めるだけ進んでキャンプを張り、明日の朝から帰ろうということになった。
誰か一人を先に連絡係として、屋敷に戻すことも考えたが、全員で行動した方が、安全だと判断して、全員で進むことにした。
順調に歩みを進めたが、2時間ほどしたところで、魔物が現れた。
昔、リーリン師匠の別荘の森で戦ったこともある、大きなホーングラスホッパーだった。
結構年老いた個体なのか動きも鈍く、鎌や角もボロボロだったので、カルメラがウィンドカッターを連発して仕留めてしまった。
ずっと閉じ込められていた個体だったのだろうか?
その後も順調に進み続け、そろそろ休憩しようかと思っていたところ、坑道は、再度、壁が崩され土で埋められて行き止まりとなってしまった。
また、土魔法で掘ろうか考えていると埋められた坑道の向こうから、人の話し声が聞こえてきた。
さすがに何を言っているかまではわからないが明らかに人の声が聞こえる。
昨日10時間、本日5時間、ほぼまっすぐな坑道を生命魔法で回復させながら、ゴリ押しで進んできたので、おそらく地上では60kmほど進んだところだろう。
慎重に埋められた坑道に道を作りながら、声がする方に進んでいった。
ようやくあと十数センチで土がで埋まったところを抜けるところまで来たので、土魔法で階段を作って、上部の隙間から、声が聞こえた方を覗いてみた。
そこはもう坑道ではなく草木が生えた野原のような場所で、家が建ち、畑があり、そして、獣人の子供たちが楽しそうに遊んでいた。




