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俺って土魔法の才能あるの!?  作者: シロシロ
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4.盗賊団アジト

 


 盗賊団アジトに気絶したまま連れていかれた俺は、薬草で治療された後、何日も眠っていたらしい。

 盗賊団お抱えの薬師のおばばは、助かる可能性は五分五分といったようだが、俺は何とか息を吹き返したようだ。

 といっても、化膿した肩の矢傷は疼き、高熱が続いて、意識は朦朧としたまま、起き上がることもできずにいた。

 女盗賊、黒鳥姉さんはカルメラという名で、盗賊団の中では結構高い地位にあるようだ。

 彼女も俺が死ぬよりも、生きた状態で村に返せた方が、無駄な軋轢を生まないし、村に恩が売れると考えたのだろう。

 自分の部屋の一角に俺の寝台を用意して、薬師のおばばとサキという10歳くらいの猫耳奴隷の女の子に世話をさせていた。


 アジトに連れてこらえて20日ほどたった日にようやく少し起き上がれるようになった。

 6歳になって生命魔法の能力が発現したはずだが、どうやったら使えるのかまるで見当がつかない。

 薬師のおばばに聞いてみるといろいろ教えてくれた。

「ほー。生命魔法の才能か。それはまた貴重なものを授かったねえ。腹の底に魔力をためた後、それが体の血肉になるイメージをしながら、体全体に循環させてみな。術の教科書にはそう書いてあったねえ。」

 何でも薬師は、魔法が使える使えないにかかわらず、生命魔法を習うのだそうだ。

「薬師と生命魔法使いの連携は大事だからねえ。お互いに効果や治療の中身を理解しておくと効率がいいのさ」


 3日ほどおばばと生命魔法の訓練をしていると、いつの間にか体の痛みが消え、動けるようになっていた。

「少し使えるようになったようだね。次は他人の傷を治す練習をしてみるかい?」

 猫耳のサキには右目から右頬、右顎に至る大きな傷があり、右目も見えていないそうだ。

 難易度はかなり高いようだが、この傷を治す練習をする。

 サキの治療を始めても最初は全く変化がなかったが、しばらくすると、サキが傷のところが少し温かくなったと言い出した。

 その温かさは気持ちがいいようで、サキも続けてほしいというので、魔力が切れるまで続けた。

 俺の隣にサキを寝せて、魔力がなくなるまで魔法をかけ、魔力が尽きたらその白い猫耳としっぽを愛でながらそのまま寝る。

 また目が覚めたら魔法をかける繰り返しで、練習を続けた。

 サキは最初猫耳としっぽを愛でられるのを嫌がったが、俺も触り方を工夫して、慎重に触っていたら、嫌がられなくなった。

 カルメラも生命魔法の練習を面白がって、サキに仕事を振らない配慮をしてくれたようで、ほぼ一日中サキの耳としっぽをなでながら隣で寝て過ごしていたので、俺とサキはずいぶん打ち解けることができた。


 実は自分が動けるようになってすぐに、カルメラに村に返してほしいとお願いしたが、今は時期が悪いので、村には知らせを出しておくから、少し待つように言われた。

 村に伝えてくれるなら家族を安心させられるし、生命魔法の先生に学べる大事な機会だと思って、練習に本腰を入れることにした。


 治療開始5日目にはサキの傷口が少し膨れ上がって、ピンク色に変わってきた。

 おばばもサキの傷薬にいろいろな薬草を塗ったり、サキに煎じた何かを飲ませたりしていた。

 8日目には顎と頬の傷の色が目立たなくなり、目の傷も小さくなったようだが、まだ目は見えないままだった。

 おばばは、サキの右目に何やら黄色い泥っとした液体をたっぷり塗って布を巻き、数時間おきに薬草と布を巻きなおしていた。

 15日目にとうとうサキの目が見えるようになった。

 サキは泣いて喜び、俺に抱き着いたまま、ありがとう、ありがとうと何度も繰り返した。

 傷がなくなって笑顔を見せたサキは、最初の印象と違って、明るい感じのすごい美人になった。

 おばばもカルメラも大したものだと褒めてくれた。


 サキの治療をしている間に村から返事があり、俺を治療してくれたことへのお礼と、体調が回復したら迎えをよこすということが伝えられたそうだ。

 気づけば盗賊団の拠点に連れてこられて40日ほど経過し、明日は村から迎えが来る日になった。

 その夜、カルメラたちと少し豪華な食事で最後の別れを惜しんでいると、突然、人の怒号が聞こえ、盗賊団アジトは武装集団に襲撃された。


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