38.母、ふたたび
ナレンダ師匠が帰ってきた、母をつれて。
左右に侍っていたカルメラとサキが一斉に両手を床についてあいさつをした。
「お母さま。ふつつかものですが、今後ともよろしくお願いいたします」
いきなりの攻撃に面食らう母、俺との再会は実に8年ぶりのはずだ。
「パドラは昔から胸が好きな子でした。私の胸だけでなく祖母の胸まで好んで吸っていました。隣のサランちゃんの小さな胸には興味がなく、代わりに耳としっぽばかり触っていました。そんな息子ですがいいでしょうか?」
なんか居た堪れなくなった。
少し落ち着いて、俺が今までどこで何をしていたかを簡単に説明した後、母は涙を流しながら謝ってきた。
「パドラ~~。本当にごめんね。お母さん見つけてあげれなくて……」
「母さん、大丈夫だよ。ここにいるカルメラ、リーリン師匠、サキ、ナレンダ、それ以外にもグランドブルグのマーラ院長、バーンズさん、レーバルさんたちに色々助けてもらって、幸せにくらせたよ。俺こそ、すぐに母さんを探しに来なくてごめん」
母はしばらく声をあげて泣いた後、リーリン師匠、ナレンダ師匠、カルメラ、サキに頭を下げて礼を言った。
皆、目に涙をためて昔のことを謝りながら話していた。
「ところでスーラとカーラ、おじいちゃん、おばあちゃんはどうしたのですか?」
俺はずっと気になっていることを聞いた。
「スーラとカーラとおじいちゃん、おばあちゃんは一緒にいるわよ。今は、ラッシュビルに家があるの」
えっ、引っ越したの?
その家は俺の家って言ってもいいのだろうか?
「仕事がおわったら、こっちの村に戻ってくる予定だから、安心してね」
よかった。でも隣はもうサランの家じゃなかった。
「サランちゃん一家は獣人国に帰ったわよ。有期の仕事で来ていたからね。鉱山技師なのよ、サランちゃんのお父さんは」
いろいろ明らかになる事実、当たり前か、俺が前に母と話したのは、8年前の6歳の誕生日当日だった。
「ところでパドラはどれだけ成長したの?お母さん6歳の鑑定の儀しか知らないから、教えてくれない?」
先日師匠と鑑定してきた結果を伝えた。
そういえばサキにもカルメラにも言ってなかった。
鑑定結果を聞いた母は絶句していた。
カルメラとサキはなんか顔を赤らめてもじもじしていた。
「すごいわねー。もう人間やめちゃったの?」
ひどいことを言う。
「やめてないよ。能力値が上がり始めたのは成長期に入ってからで、魔法や武技は、リーリン師匠とナレンダ師匠にほとんど教えてもらったんだよ。ちなみに初めて生命魔法を使ったのはサキの傷を治したときだったよ」
実の母に人間やめたのって聞かれるなんて……そんなに規格外になったのだろうか?
「とりあえず、パドラのこと戦力として考えるからね。おじいちゃんもおばあちゃんもスーラもカーラも母さんもみんなで敵と戦っているんだよ」
それから母は敵についてかたり始めた。




