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俺って土魔法の才能あるの!?  作者: シロシロ
33/57

33.苦悩



 とんでもないものを拾ってしまった。

 グランドブルグから首都に続く街道を馬車でかけているが、しばらくすると街道を脇にそれて、拠点の一つに入るだろう。

 しかし、私は苦悩していた。


 8年前、ジーンと一緒に作ったシャープクロウをライコスのグリーンベアーにつぶされた。

 翌日にはグリーンベアーも領主軍につぶされたから、そのすきに姿をくらませたけど、一気に生活基盤と拠点をなくして、まさに路頭に迷った。

 シャープクロウのメンバーは何とか再集結することができたが、奴隷や世話していた何人かとは結局再会できなかった。

 特に猫耳少女のサキと生命魔法が使える小僧は行方が気になっていたが、誰に聞いてもグリーンベアーがつぶされた後のことがわかる奴はいなかった。


 4年前、突如としてライコスとノラが新しい盗賊団と傭兵団を作って復活した。

 誰か後ろ盾がいて、武器や資金を援助してもらったようだ。

 復活した後も誰かの指示で動いているようで、同じ盗賊団から見たら、わけのわからん事ばかりしていたが、金があるので、ライコスたちの下について、仕事をする奴らも多かった。


 1年前、このあたりの盗賊団すべてに声をかけたやつがいて、大きな仕事をいくつもの盗賊団が協力してやることになった。

 その仕事でライコス達と一緒になり、少し話をした。

 昔のうらみはあるが、仕事を一緒にするならひとまずその恨みを忘れるしかない。

 そこで思わぬ話を聞いた。

 猫耳サキと生命魔法の小僧パドラを見たというのだ。

 サキとパドラを連れていったやつというのが、グリーンベアーをつぶした冒険者の一人ということで復讐しようとしたらしい。

 復讐は成功して、奴らの拠点もつぶしたが、サキとパドラの行方はしれないそうだ。

 場所は帝国のグランドブルグに近いところらしい。


 今から3か月前、突然パドラの母のラスーンが訪ねてきた。

 何故か猫耳のサキと一緒にいて、この後、私が作戦で、グランドブルグに滞在することを聞きつけてきたのだ。

 ラスーンは、8年前に私が小僧のことをさらったのは、けがを治すためだったということをすでにサキから聞いていたため、私に礼を述べたが、私が守り切れなかったことで、母子を離れ離れにしてしまったことに罪の意識を感じて謝った。

 ラスーンは度重なるお願いで申し訳ないと前置きしながら、「グランドブルグに行ったら息子を見てほしい。そして、息子が立派に成長し、大切なものがそこにあるようだったらそのままほっておいてほしい。もしそうでなければ、連れてきてほしい」と言ってきた。


 そうして、私は古巣のグランドブルグに滞在し、パドラに会って思った。

 こいつはもう手遅れだと。

 息子だけは立派になっていたが、全裸で縛られ、目隠しをされ、ママ~とおねだりするような男になってしまった。

 思わず連れてきてしまったが、このまま、ラスーンに引き渡すことはできない。

 もし引き渡したら、ラスーンはパドラを消すか、世界を消すかどちらかを選択するだろう。

 私は、この子が6歳の時に、1月ほどだったがこの子を預かり、結局守り切れず、親に返せなかった。

 その事件は、この子がこうなってしまった要因の一つであろう。

 目の前で変態に育った少年を見た瞬間、私には、この子の親に対して、そして、この世界に対して、罪悪感が生じた。

 何としてでも構成させるか、人知れず消してしまうか。

 隠れ拠点をいくつも経由してアジトに戻る間、私は胃に穴が空くのではないかというぐらい悩み苦しんでいた。


 悩み疲れてヘロヘロな状態で、アジトに着くとライコスとノラが声をかけてきた。

「もうすぐ南部砦がおちるぜ」

 獣人国と連携して、帝国を攻める今回の作戦は、獣人国が軍を引き上げるまでに南部砦を落とせるかが最初のポイントだった。

 その為、獣人国軍がグランドブルグでどれだけ粘れるかを確認するために、私はグランドブルグに潜入していたのだ。

「あと2週間は大丈夫だね。奴ら人質をとって一旦本国に戻って相談するそうだよ」

 その人質を私が連れてきてしまっているが、他にも人質はいるだろう。

「ノラ、一つ変態をまっとうな道に強制する手伝いをしてほしいのだが」

 ノラは以前にもパドラに呪術を使っている。

 もう一度、記憶を改変し、人格を変えるしかパドラを救う道はないだろう。

「記憶を消しても人格はなかなか変わらんさ、いっそ行動を制限したらどうだ?例えば、奴隷にするとか、絶対服従の部下にするとか」

「こいつは縛られて目隠しされていじめられながら、ママ~とおねだりするような変態だ。奴隷はむしろご褒美ではないか?」

「そうか……」

 思わず絶句するライコスとノラだが少し考えると妙案を出してくれた。

「ではいっそ性奴隷にして、人々に奉仕することを喜びに生きるよう強制したらどうだ?自らが縛られ、いじめられることを喜びとするよりは前向きだと思うが」

 私は、雷を打たれたような衝撃を受け、その提案に飛びついた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公が人生ハードモードすぎる
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