25.任務
次の日の昼頃、黒鳥館でミランダさんと合流した。
ミランダさんは黒鳥館の中でも結構古株なので昔から知っているのだが、小柄で元気いっぱいな感じで、どことなくリーリン師匠を思い出した。
「私が狙われるなんて全く思い当たることはないけど、せっかく他人のおごりで別荘暮らしができるんだから楽しんでいこー!」
まあ、こんな感じの人だ。
護衛メンバーは、俺、マルク、カルロ、ミゲル、そして、カレン、セルフィ、エノアの7人だ。
毎日黒鳥デリバリーの仕事はあるが、孤児院と黒鳥館の子供たちを何人も雇えるので、管理職が何人かいれば仕事は回せる。
別荘の場所は街から馬車で3時間ほど行った湖のある山の麓だった。
街の衛兵団1小隊10人も護衛でついてきていた。
衛兵団の小隊長はジレインさんという35歳くらいのさわやかな人だった。
「早速泳ぐよ~。さっさと水着に着替えて~」
4人の水着姿は直接見ると目がつぶれそうなくらいやばかった。
本当に魂抜かれるぞ……
マルク、カルロ、ミゲルの3人は、カレン、セルフィ、エノア女性陣3人とも付き合いが長いし、マルクとエノアは兄弟だ。
だから、町中の男を虜にする彼女たちの魅力もあまり効いていない気がする。
それに彼らの母親も黒鳥館の妖艶な娼婦だから耐性十分だろう。
俺も6歳からの娼館通いで耐性ができているはずだが、その魅力に抗う自信は全くない。
常にいいように利用されてしまう自信もある。
大体このメンバーで遊び始めるとだんだんと女性陣が俺をからかい始めて、最後はいろいろ約束をさせられて、男性陣に気の毒そうな顔をされて終わるのだが、当の本人の俺は、非常に幸せの気分のままなので何も問題ない。
遊び疲れて、そろそろお風呂に入って、食事にしようかなという時間になったところで、ミランダさんが近寄ってきて、
「今晩は、私の部屋に遊びに来てね。内緒だよ」
と耳に息を吹きかけられながら言われた。
瞬く間に、約束の時間になったので、ミランダさんの部屋の前に行った。
あの後、風呂に入ったはずだし、夕飯も食べたはずだが、全く記憶になかった。
ノックして、部屋に入ると、ミランダさんがバスローブ一枚で待っていた。
「ベッドに横になって、目を閉じていてね」
黙って横になって待っていると、目隠しされて、ロープで縛られた。
何だこれ?プレイ?
困惑していると、ミランダさんから事情説明があった。
「彼女たちに男性の体について教えるから、ちょっと我慢してね」
と言われ、目隠し縛られ状態で、散々もてあそばれた。
数時間後、意識も朦朧とした状態で、目隠しを外されたときには、そこにはミランダさんしか残っていなかった。
少し屈辱だが、大いに幸せだったからうれしい思い出の一つとなった。
次、あいつらが知りたいといったら個別授業で教えてあげよう。
別荘に来て4日目、襲撃があった。
最初、別荘から離れた場所で、立て続けに爆発音がして、煙が出た。
正面の玄関に何人か人が来て、衛兵団の人が対応しているときに、裏側から5人ほどの賊が侵入した。
俺たちは、最初の爆発音があったときから別荘のホールに全員集まっていたので、俺とマルクで外に出て迎撃をし、残りがミランダさんの護衛として残ることにした。
裏庭に出ると、俺はすぐに、ストーンバレット、アイススピア、ファイアボールをけん制で乱射した後、剣を抜いて、近くの一人に向かって行き、上段から叩きつけた。
相手も剣ではじくが、俺は同時に地面からストーンスピアを発動して、相手の太ももを串刺しにした。
次の相手には上段から切りつけると同時に土水混成魔法のマッドボールを相手の顔面に当てて目つぶしをして、少し距離をとってからウィンドカッターで右手を切り落とした。
マルクが相手をしている敵の背中に向けてアイススピアを一発けん制で打ち込むと、そのまま3人目に対して、遠距離からファイアボールを唱える。
同時に4人目からアイススピアの遠距離攻撃が来たので、避けた後に、自分の背後をサンドウォールで防護してから、改めて3人目の敵に向けてアイススピアを放つ。サンドウォールの端から4人目に向かってウィンドカッターでけん制して、3人目に近寄り剣を叩きつけながら、相手の左足の周りを泥沼化して、足を取られた瞬間、右の回し蹴りを顔面に食らわせた。
4人目はマルクと戦っている敵の援護に回っていたので、その背後からアイススピアで攻撃し、体をひねって避けられてもいいようにサンドスピアを連続して発生させた。
敵はアイススピアに気づいてぎりぎり避けたが、狙い通りサンドスピアに脇を刺されて力尽きた。
と同時にマルクも敵を倒したようだ。
わずか数分で倒せたが、相手もそれなりに訓練を受けていた人間だった。
幸いにして、軍の士官クラスの実力者はいなかったが、そういう人が一人でもいたら危なかっただろう。
俺の戦い方はある程度敵を殺傷できる方法が増えたので、とにかく手数で勝負するような戦い方になっている。
まあ、1つが防がれても最終的に倒せる可能性が高いので、良いと思っているが少し忙しい。
ホールに戻るとカルロ、ミゲルが入り口を固め、女性陣がミランダさんを取り囲むように守っていた。
表も落ち着いたようで、ジレインさんが戻ってきた。
襲撃者のことを話すと、すぐに衛兵を何人か呼んでホールの守りをさせて、俺と一緒に庭に確認に行った。
マルクにやられていた敵、1人目の太ももを刺した敵、2人目の右足を切り落とした敵の3人は、どこかに逃げてしまっていなかったが、脇を刺された敵と、顔面を蹴りで倒した敵は動けないのか横になったままうめき声をあげていた。
「申し訳ありません。3人に逃げられてしまいました」
しまった、ちゃんと拘束しておくべきだった。
「構わない。残っている2人を尋問すれば済む話だ。逃げた連中はすぐに衛兵団に追わせよう。それよりも急いでここから移動した方がいい。衛兵団を引き離してから襲撃するところみると、しっかりこちらの戦力を把握したうえで作戦を練って襲撃していると考えられるからな、できれば敵があまり予測できない居場所がいいのだが」




