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俺って土魔法の才能あるの!?  作者: シロシロ
24/57

24.ストラデス



 ストラデスさんの家は、娼館から孤児院の前を通って、15分ほど歩いた高級住宅街の中にあるそうだ。

 黒鳥館の支配人が、先に連絡をしておいてくれるので、1時間ほどしたら訪問するように言われた。

 少し時間があったので、孤児院の院長のところによって話をすることにした。


「ステラデスさんか、お前もそろそろ面識を得てもいいころだねえ」

 院長もステラデスさんのことを知っているようで、会いに行くことに賛成してくれた。

「ちゃんと、食堂や野菜成長促進ビジネスのお礼もいうんだよ」

 この孤児院に来てすぐ、俺が野菜に成長魔法をかけてお礼に農家から野菜をもらうというビジネスを始めたのだが、数件の農家が結託して、お礼を収穫の1割から下げようとしたことがあったそうだ。

 子供相手に大人が寄ってかかって、お礼の野菜をけちるなんて……その時、ストラデスさんが農家を説得してくれて、それからはお礼が収穫の2割になったそうだ。

 いろいろ知らないところでお世話になっていた。

 それにしてもステラデスさんはすげーな。


 孤児院の建物は古いままだったが、俺が土魔法で作った小屋がいくつか付け足され、街で経済的に成り立たなくなった他の孤児院から子供を預かり、人数も増えていた。

 子供の人数が増えても受け入れ切れないから、他の孤児院の経済的支援も始めたらしい。

 食堂、薬草などのビジネスも順調で、娼館を引退した女性や夫を亡くした未亡人などを雇って、なかなか立派な組織になっていた。

 俺も薬草知識を生かして、食堂メニューや薬草販売のコンサルティング、それに黒鳥デリバリーのオーナーとしてずいぶんと稼がせてもらっていた。

 院長は俺の育ての親であり、ビジネスパートナーであり、人生の要所でアドバイスをくれる師のような存在だ。

 さらに、魔力は俺より少ないが、土魔法が使え、特に畑や土壌に関する知識や植物の生息や育成に詳しかったので、土魔法はもちろんのこと、生命魔法の植物成長促進魔法についても、知識を分けてもらい、意見を出し合いながら魔法の研究を一緒にしてきた魔法使いの師でもある。

 リーリン師匠の別荘を焼け出されて、この街に移ってきてから、ずっと孤児院の一室に住んでいたが、子供が増えたから出て行けと言われ、昨年、別に部屋を借りて引っ越した。

 それでも隣接する食堂、黒鳥デリバリー、そして院長室とほぼ毎日どこかに顔をだしているから、孤児院は、今でも俺のホーム的場所だ。

 院長からステラデスさんに渡そうと思っていた手紙があり、ちょうどいいので渡してほしいと言われ、手紙を預かって孤児院を出た。


 ストラデスさんの家に向かって歩くと高級住宅街に入った。

 このあたりも黒鳥デリバリーの配達区域なので、仕事でたまに来ていた。

 ところどころに衛兵が居て、治安を守っているが、

 衛兵はレーバルのいる騎士団とは違う組織で、領主ではなく街が組織している軍事組織だ。

 規模は領主軍よりも小さいが、街の中だけで300人いるらしく、遠方にもいかないでいいから就職先として人気も高い。

 どちらかというと警察と公安組織に近いのだろう。


 ストラデスさんの家の前にも衛兵が2人いたが、名前を告げると中に通してくれた。

 建物の入り口には、執事らしき人が待っていてくれて、俺たちを建物の奥まで案内してくれた。

 ストラデスさんはとても人が好さそうな、小さいおじさんだった。

「はじめまして、パドラと言います。孤児院、食堂、黒鳥デリバリーなど私の事業に多大なご助力をいただいたとお聞きしております。本当にありがとうございました。」

 まずは丁寧にお礼を言った。

「ストラデスです。この街の運営に携わっています。君は昔から何やら楽しそうなことを始めるから、いつも注目していたんだよ。今回は、黒鳥館でトラブルらしいね」

「はい、実は……」

 ストラデスさんに、早速、事件のことを説明した。

「なるほど、普通に考えたら私の弱点、弱みを探っているように見えるね。その男は私たちで追いかけるから、パドラ君一つ仕事を頼まれてくれないか?」

 最近はそれなりに荒事もこなせる組織になってきたから、街の有力者からの依頼なら受けておくか。

「頼みたいのは、ミランダの護衛だ。しばらく娼館の仕事も休ませるから、どこかに連れ出して守ってやってくれ」

 ミランダさんとストラデスさんの関係が気になったので聞くと、実は、飲み仲間で、月に1度ほど街の居酒屋で酒を飲んでいる関係らしい。

 娼館で客として相手をしてもらったこともないし、恋人でもないようだ。

 おそらく、飲み屋で一緒に飲んでいるところをコロンさんにでも見られたのではないだろうかと言われた。

 ちなみにコロンさんとはお店で何度かお世話になった深い関係らしい。

 狙う人違わないか?

 まあ、コロンさんは術にかかって質問されたにもかかわらず、わからんと言っていただけだから、体だけの関係者ということだろう。


「ミランダとバーンズには私から話をしておくよ。私の別荘にでも行って、1週間ほど滞在してきてくれ。その間にその男のことを探って、事件を解決しておくから」

 ストラデスさんとの話が終わったので、お暇を告げながら、院長から預かった手紙を渡した。

 さっと一読した後、ストラデスさんから

「手紙はしっかり受けとった。内容も了解した。先に黒鳥館の案件を片づけたら、すぐに取り掛かるので、少し待つように言っておいてくれ」

 と言われたので、孤児院に寄って院長に伝えてから、黒鳥デリバリー待機部屋に行き、明日からの護衛任務について打ち合わせを行った。



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