表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジンクスレコード:0  作者: 小犬ハンナ
6/26

6.交換留学生 雑賀孫一

本題。


ジンクスは、ある行動に対する結果です。

当たり前ですが、結果だけを生じさせることは出来ません。

君の周りにもよく居たのではないでしょうか?

晴れ男や雨男。

大事なときに出掛ける日にそうなる、って奴ですね。

かと言って、彼らの周りの環境が常に晴れていたり、雨が降っていたりなんてことはなかったでしょう?

そうだとしたら、それはもう天災です。

つまり彼らは、彼らの意識するところの、もしくは無意識で、誰かが特定したもしくは自分が特定したその日、自らが赴くことによって事象を発生させることが出来る。

ジンクスとは、つまり、そう言う事になるのですよ。


そして、貴方の場合は、貴方が相手の名前を呼ぶことがトリガーです。


あと、そうそう。

坂月太槻君についてですが、もうお察しの通り、ある意味人質です。と言うよりも、何と言えば宜しいのでしょうか。

雑賀君も、思うところがあるでしょう?

彼の不可解な行動や言動と、何故大切な思い出ばかりを忘れてしまうのか。

そして何故貴方と話が食い違う事があるのか。

貴方が帰国したら、その答え合わせもしましょう。

勿論、坂月君の側には、私達の仲間が居ることをお忘れなく。


鈴木はそう俺に言った。


里奈ちゃんと悟。

もし、二人の命が本当に俺のジンクスのせいで失われたのなら…。

あの日から、うっすらと自分に纏わり付いていた影。

だが、取り返しがつかないその事象を悔いても、二人は戻ってこない。

だから俺は、二度とそんな事にならないように、万が一彼らを、俺がうっかり名前を呼んでしまった彼らを必ず救えるように、強くなった。

いや、強くなろうと努力した。

ただどうしても、二人が生きてたらと思うと居てもたってもいられなくなる。

未だに夢に見ることさえある。

仄暗い海辺で俺を見つめる悟。いたるところに車がひっくり返り、火を噴く地獄絵図の中、立ちつくす里奈ちゃん。

二人とも俺に助けを求めてはくれない。

こんな俺に、二人は声一つ掛けてくれはしないのだ。

俺と言う死神に出会ったばかりに、あの二人の命は終わった。

それが、俺にとっての事実だ。


ただ今、この俺の力を必要としている人がいる。

この俺のどうしようもないジンクスで世界を救うヒーローになれと言う人がいる。

ヒーローは悪を倒してこそヒーローなのだと、そういう人も居る。

だが、俺の憧れているヒーローはその中にはいない。

俺の憧れたヒーローは、守れるヒーローだった。


嬉しいはずがない。

だが、一国の、というか連合国家の長に頭を下げられたことの重大さは分かる。

何となく分かる。

だけど、トロシュキン大統領さんよ。

例え相手が悪人だろうとなんだろうと、俺が人を殺すことに、変わりはないんだろ?



このシーンを書いたのは12月中旬でした。

リアルでは某国、暴動が広がっていて、現大統領勢力に対する逆プロパガンダが始まっているようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ