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魔王降臨のあらすじ
──そして。
親しい者は皆死んでいった。
愛する妻も、苦楽を共にした仲間も、覇を競った宿敵も。
誰も彼もが幸せな死を迎え、青年のそばにいるのは歴史文明時代に造られた人造人間である青年の義理の娘だけになった。
残される者の悲しみが青年を蝕んでいった。
その一方で、人類は再興していた。
依然として続く魔族の脅威に抗い続けていた。
そうして魔族を操っている者の存在に気づき、それを人々は魔王と呼んだ。
魔王を討伐するべく人々の中で最も勇ましき者、すなわち勇者が世界の果てにいる青年のもとを目指した。
人類初の勇者を前に、事情を察した青年は自ら魔王を名乗った。
人類が魔族に打ち勝ったあの大戦を忘れぬよう、「我が名は魔王ラグナロク」と。