世界救済のあらすじ
青年は再び旅立った。
自身に宿る浄化の力をもって魔族を討滅するために。
だが、青年の力は青年の心と離反し、それぞれが独立して動くようになった。
力を失った青年は、行方をくらました分身を追い各地を探し回った。
分身は見つからなかった。
分身は地上にいなかった。
分身は遥かなる空の彼方に輝く星、すなわち月へと渡っていたのだ。
月への道は皮肉にも青年の国の地下深くにあった。
青年は仲間を連れ、今度こそ力を取り戻すべく月に向かった。
青年は分身と戦い、力を取り戻した。
そんな彼の前に一人の男が現れる。
その人物とは、月を演算装置に作り替えた科学者だった。
科学者は自分が魔族を操り人口を調節していたことを打ち明け、その力にも限界がきたことを青年に伝える。
そして青年が魔族を討滅するための最終兵器であり、『転生』によって生み出された複製体だという事実を告げる。
青年はこれまでのすべてが偽りだったと感じ、意識を闇に閉ざしてしまう。
一方その頃、地上は魔族の侵攻に押されつつあった。
さらに星の彼方から大いなる闇が迫っていた。
大いなる闇は、魔素の超巨大集合体にして星を喰らう意思なき怪物。
知的生命体を宿主として成長する魔素の最終形態だった。
人類が滅びるのは時間の問題だった。
青年の仲間は地上に降りて魔族と戦った。
少女は青年の心に潜り込んで奮起させようとした。
青年は自身の記憶を巡る旅の末、自身を受け入れ、存在が偽りだろうと積み上げてきたものは真実だという真理に辿り着いた。
少女の愛によって目覚めた青年はついにその力を完成させ、地上に降りると、瞬く間にすべての魔族を討滅した。
そして皆の力を借りて宇宙へと飛び立ち、大いなる闇を黄昏の光で討ち払った。
これが『第三次人魔大戦ラグナロク』──人類はようやく勝利を収めたのだ。
しかし、魔族の脅威そのものが消え去ったわけではない。
青年は科学者から魔族を操る力と『転生』の権限を譲り受け、力の完成によって不死となった自分が星の行く末を見守ると決意する。
かくして青年は永遠に生き続ける運命となった。
星が終わる、そのときまで──。




