英雄作成のあらすじ
魔族によって絶滅の一歩手前まで追い詰められた人類は、地下へと身を潜め、いつの日か地上を取り戻そうと英知を結集する。
目的は、人口の増加。
魔族と戦うにしてもまずは頭数が必要だった。
これまでに培ってきた技術と知識を総動員し、人間が持つ様々な力を集中して高めた個体や動植物の特性を併せ持った個体が入り混じった新人類を生み出すのには、そう時間はかからなかった。
前者を亜人族、後者を獣人族と括り、特徴によって種族を細かく分け、名称には神話や伝説に登場する妖精や生物のものを採用した。
いわゆるファンタジーの世界、幻史時代の始まりである。
そして、もう一つ。
歴史時代において魔法開発の第一人者として活動していた研究者の子孫が、極秘裏に月を拠点としていた。
彼は月を丸ごと演算装置に作り替え、純粋な人間を冷凍保存し、その生態情報をもとに復元体を地上へ送り込む『転生』技術を編み出した。
幻史時代の新人類の男性には生殖機能がなかった。
ゆえに純粋な人間の男性の数を操作することで、人口のコントロールに成功したのだ。
新人類は旧人類と同じく魔法を使った文明を築き、たびたび魔族の攻撃を受けたが、人口を調節されていたため絶滅するほど魔族を増やすには至らず、細々と繁栄していった。
ある日、一人の青年が転生した。
青年は黒髪で見た目が魔族に似ていた。
与えられた名前は滅びを意味する不吉なもので、生まれながらの嫌われ者だった。
見た目と名前だけで忌み嫌うほど魔族の恐ろしさは新人類にも染み渡っていた。
しかし、青年は運命の少女と出逢い恋に落ちる。
少女に支えられ、青年は自分という存在を確かなものにしていく。
強大な竜を打ち倒し、少女を護るため人々と敵対し、転生する前の過去に触れることで英雄として再誕する。
そう、青年は『第二次人魔大戦ラグナロク』においてすべての罪を被せられた、魔族を喰らい無害化する能力を宿した、あの青年だったのだ。
最初の作品である「黒滅のラグナ ─英雄作成編・序─」のことです。
自キャラ好きすぎる……創作はこういうふうに自由でいいんだよ、自由で。
人に頼まれてやってるわけじゃないんだから。