第五話 笑顔と裏切り
「まじかよ、お前…。」
「ああ」
昨日起きたことを僕はトモキに言った。それには理由があった。昨日、運悪くホテルへ入っていくところをトモヤにみられていた。誤解を晴らすためでもあった。
「それで、お前はこれからどうするんだよ。」
「え?」
「これからだよ。これで終わりじゃないってわけだろ。付き合うのか?」
「それはまだわからない、ただ…。」
その時僕の目の前に彼女が笑いながら向かってくるのが見えた。
「先輩!」
「おう、昨日はなんかごめんな。」
「いいえ、とんでもないです。」
その時、チャイムが鳴る。
「おい、お前、授業遅れるぞ。」
「あ、そうでした。じゃあ、また。」
そういうと彼女はまた走っていく。
「ああいう子好きなんだ?」
「まあな…。」
「ところでさっき何を言いかけてたんだ?」
「あのな…」
僕は昨日デートしてて気づいたことがある。彼女の笑顔の裏にも何かある。笑う時目が座ってる時が多かったのだ。
「まるで、僕と同じように…。」
「お前と同じようにか…。」
その帰り道、僕は後輩と帰っていた。だが、急に目の前にこぶしが飛んできて僕は吹っ飛ぶ。幸運にも受け身の取り方はいつも転んでる分うまいので軽傷で済んだ。でも、あいつは・・と思いふと後輩のほうに目を向けると後輩はその殴ってきた男と腕を組み僕を見て笑っていた。男が言い放つ。
「おれの女に手出すんじゃねーよ。ばーか。」
ちょうど日が沈んで間もないころだった。