表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
One Year Love  作者: まつ
4/5

第四話 苦しさと決意

ぼくは話をそこで一度やめた。正直苦しかった。ずっとそれはまとわりついてきていた。

彼女は僕に問いかけた。

「ねえ、その後どうなったの?」

「帰り際、トイレで見た僕の体のそこら中にキスマークがついてた。気持ち悪くて気持ち悪くて、一日はいてた。」

「その女の子とは?」

「すぐブロックしたからわからない。」

「そっか。」

「ぼくはそれからきっといつの間にか人間不信は治ったと思った。でも高校卒業するくらいに気づいちゃったんだ。僕は治ってなんかなかった。ただ自分がしてたのは心の中を厚い殻に閉じ込めることだった。どんなに楽しい思い出もそのころにはつらい思い出にしか感じなくなったんだ。」

「…でも、ならなんで…」

「楽しかった、ほんとに今日は。でもこれ以上僕が無理してる姿を君に見られたくないんだ。僕は好きな人に弱い姿を見せたくもないけど、無理してる姿はもっと見せたくない。」

「…」

「だからもう、きみとは会えないんだ。これは僕の決断だから。」

「悔いはないの?苦しくないの?」

「当たりま…」

「ならなんで泣いてるの。」

自分が泣いてることにその時初めて気が付いた。その瞬間僕の心は穴が開いたような痛みが走った。

「…」

彼女は何も言わずそっと近づくと僕をぎゅっと抱きしめてくれた。

「苦しいときは苦しいって言いなよ。私、それくらいの覚悟があってあなたに告白したんだから。」

彼女のその言葉にぼくは思わず泣いてしまった。きっと、何か変わる。その時は本当にそう思っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ