妖
背後の気配に気づき、振り返った。
「アルト?」
「ハル、ボスから召集だ」
「アルトもぉ?」
「あぁ、全員だそうだ」
会議室に入る。
もう既に他のメンバーは集まっていた。
僕とアルトが席に着くと
すぐに会議は始まった。
内容は今度の出動について。
もう既に、前回の出動から
1ヶ月経っていた。
今回は人型10人とボスが出動し、
それぞれ3つのチームに分かれるようだ。
僕はボスと2人で、
ペアを組むことになった。
「よろしくお願いしますね、ハル」
「任せてよぉ☆」
そして出動の日。
僕はボスと2人で空を飛んでいた。
「ねぇ、僕らはどう動くのぉ?」
「…まず、第1部隊を見つけます」
第1部隊。速斗君が居る部隊だ。
「隊長を殺す?」
「いいえ、一般隊員を殺しなさい」
「?普通のぉ?」
「えぇ」
「んー…まぁ、分かったよぉ♪」
僕は捜索を始めた。
「あ、ボス、居たよぉ!」
「本当ですね。それではハル、」
「はぁ〜い☆」
右腕を鎌に変え、
隊員に近づいて首を落とす。
「流石ですね」
「へへっ、でしょぉ〜♪」
「では"それ"をここで食べなさい」
「…え?」
「さぁ、食べて」
「で、でも僕、食べる必要______ 」
「いいですから」
「…うん」
さっき殺したばかりの人間の肉を
削ぎ落とし、口に運ぶ。
めちゃくちゃ不味いと思いながらも
食べ続けていたその時、
「…し……ろ…?」
速斗君がそこに居た。
手が止まる。
なんで?どうして速斗君がここに?
「どうしたのですか、ハル?
手が、止まっていますよ?」
言われて我にかえる。
そうだ。
僕が今、やらなきゃいけないのは_____
_______この人間を食べる事。
手を、口を、血で汚しながら食べる。
___ドクン___
ボスが何か言った。
___ドクン___
見上げるとボスは________
___ドクン___
________笑っていた。
「っぐ…あ"ぁ…っはは……
あははははっ!」
僕の中の妖が告げる。
もっと、もっと、
「…もっ、と…食べ、た、い…!」
目ノ前ノ食糧ヲ…!