食糧
ドアをノックする。
「入って良いですかぁ?」
「ええ」
ドアの奥から声が聞こえ、
僕はドアを開ける。
「こんにちはぁ、ボス♪」
椅子に座る彼は、僕の方を見て笑った。
「久し振りですね、ハル」
「うん!」
「身体の調子はどうですか?」
「元気だよぉ〜」
「そういえば昨日、
出動して来たようですね」
「うん♪」
「昔のあなたを知っている人間に
会ったとか」
ボスの目がスッ、と細められ、
僕に疑いの目を向ける。
「彼は何者ですか?」
「ん〜?何者でもないよぉ?」
「じゃあ、あなたにとって人間とは?」
ボスの探りが続く。
それなら僕はこう答えるまでだ。
「_____食糧だよ」
僕らアヤカシは人間を糧に生きている。
人間を殺し、そして食べる。
僕らにとってこの戦争は、ただの食糧確保。
僕だって初めて食べた時は吐いたけど、
3回目からは何も感じなくなった。
美味しくはないし、
僕は食べる必要がないから
殆ど食べないんだけどね。
そんな事を考えていると、
アルトが話しかけて来た。
「出動命令だ」
「えぇ〜、またアルトとぉ?」
「文句ならボスに言え」
「んーん、僕はアルトと一緒が良いから
言わなぁい♪」
「…行くぞ」
「はーい☆」
こうしてまた僕は、食糧を殺しにいく。