仲間
あれから戦い続けて、もう一ヶ月が過ぎた。
未だに術者には会えておらず、
俺の中で焦りが募る。
その焦りからか周りが見えなくなって。
ほら、目の前には______
「速斗、危ないっ!!」
真が倒れている。
「…っ、真…っ!」
「…う…うぅ…」
「どうした、氷神!?」
「明さん、真が…っ!」
「…!…第一部隊、一時戦線を離脱する!
テントへ戻れ!」
「「「了解」」」
血塗れの真を抱えながら、
俺はテントへと走った。
「真は…大丈夫ですか…?」
救護テントから出て来た明さんに
声を掛ける。
「あぁ、心配するな」
明さんはそう言って、俺の頭に手を置く。
その手がとても暖かくて、
何故か泣きそうになった。
「珍しいな、氷神が失敗するなんて」
明さんが座り、俺も隣に座る。
「…すみません」
「いや、そうじゃなくてよ、
何かあったのかと思ってな」
「…… 」
「言えよ、氷神。お前一人で抱え込むな」
「……ぅ」
涙が溢れる。
その涙と一緒に、全てを吐き出した。
「…そうだったのか。大変、だったな」
明さんが頭を撫でてくれる。
それはひどく優しく、
俺を落ち着かせてくれた。
「…明さん…俺、どうすれば…」
「大丈夫だ。俺も探すのを手伝うから。
お前は今まで通り、戦って、休んで、
笑って、時々色んな事を調べる。
それで、充分だ」
「ありがとう、ございます…」
明さんに言われると出来る気がする。
まだ、頑張れる気がする。
明さんは、俺が泣き止むまで
ずっと側にいてくれた。
それから3日後。
真の傷も回復して来て、
面会も出来るようになった。
俺は真のいるテントへ入った。
「…ごめんな、真」
「いや、大丈夫だよ」
「あの、さ_______ 」
俺は全てを真に話した。
「…そっか」
「あぁ」
「話してくれてありがとう」
真の笑顔を後に、俺はテントを去った。
それから俺もいつもの調子に戻り、
真も第一部隊に復帰出来た。
「速斗、今日はどうだった?」
「居ませんでした。真と明さんは?」
「速斗が言ってるような人は居なかったよ」
「俺もだ。まぁ、ゆっくり探していこう」
「「はい!」」
今日もまた俺は、戦場へ向かう。
ただ一つ。今までと違うことは______
__________ここに、仲間が居ることだ。