女の子にモテるラーメン
「ではでは、第一回『女性に喜ばれるラーメン』対策会議を始めたいと思います!」
「その前にメシ~」
「腹が減ってはなんとやら……だな」
はい、そこの二人。キミたち食ったら寝るでしょ?
それに『目的は達成した』とばかりに帰るでしょ? あれ、結構ムカつくんですよ。
『今回もタフな闘いだった……』『全く、お前もよくやるぜ』『フッ、お前もな』
みたいなドヤ顔キメて帰られるの。だって、キミたち何もしてないよね? 全部、何か決めたの俺だよね? 有益な意見、発言、助言、アドバイス何もないよね?
「あのっ……私もいても、よろしかったのでしょうか?」
控えめな発言は、この中で最年少の、しかし、この中で一番オトナな少女、雪那ちゃんだ。
「むしろ、キミの意見が一番参考になる」
なぜなら、マサシの野郎はラーメン豚のクソオタク。志織も既に『今時の女の子』というにはちょっと……なぁ?
――バキ、ズゴ、ミシ、メキィ!!!
「ぐああぁぁぁあああーー!!! 俺、まだ何も言ってない。やめ、おま――
いやぁぁぁ俺のアバラから豚骨を割った時の音がするぅぅぅぅーー!!?」
「え? シンちゃん、それ骨が折れた音だよね……」
「あのマサシさん、もうそんなことどうでもいいですので早く話を始めてしまいましょう」
え? 待って、みんな、この怪獣止めて。
つか、雪那ちゃん何気に酷いよね。今、俺のアバラを「どうでもいい」って言ったよね。
「もう! 七星さんが、この女とイチャイチャしているからいけないんですっ!!」
何でか、プンプン丸な雪那ちゃん。ポスポス、俺の腕を叩いてくる。
何この子、怒っているのに可愛い。
ちょっと、これは童貞男子魔法使い予備軍的にズルい。
「ケッ! ちょっと若いからってブリやがって……いつもそうやって街のオジサン誑しこんでいるんでしょ!?」
「ああ、クソ! 唐突に壁を殴りたくなってきた。シンちゃん、ちょっと砕くけど、お前んちの壁借りるぞぉ?」
「何言ってるんですか? そういう貴女も……ああ、その胸では無理ですよねえ?」
「アアッ!? まだ、ガキのくせに――」
「でも、貴女よりはもう大きいですから、私!」
さりげなく(と言っていいのか分からないけど)、俺の腕をとって自分のそれと絡ませてくる雪那ちゃん。
『おおっ!? これは確かに感じる芽吹きの感触。芯を感じさせつつもふわふわと柔かいこの至福はぁ!!!』
「あ、あふ……あふん、あふん、雪那ちゃん!? そんな、くっつかれたら、僕は、ぼくぁ、もう――」
「ボクは何かな? 七星クン!」
対抗するように逆の腕にしがみつく志織。
『おおっ!? これは確かに感じる胸骨の感触。芯を感じさせつつもゴリゴリとくるこの弾力はぁ!!!』
「だ、大胸筋!? 暴力で鍛え上げられて異常発達したヒッティングマッスル、言うなればこれは鬼の貌フロント――」
「――鉄山靠!!!」
ぬわっ!? なんだ、この圧は! 俺がフき飛ばされ……
「ヨシ、飛んできたシンちゃんを俺の正拳で――なにぃ、俺までフっ飛ぶ!?」
「「ぐああぁぁぁあああーー!!!」」
………
……
…
ちょっと待て。何、この混沌。
俺の部屋が滅茶苦茶、身体はボロボロ。
話は始まってすらいない。
「ではでは、第一回『女性に喜ばれるラーメン』対策会議を始めたいと思います!」
「その前にメシ~」
「腹が減ってはなんとやら……だな」
はい、そこの二人。キミたち食ったら寝るでしょ?
って、アレ? この流れは――
「これは経験したことある!? いつになったら終わるんだ、この流れは……」
「終わりのないのが『終わり』。
それが『ゴールド・E・レクイエム』!?」
うるせえよ、マサシ!
そして、俺は諦めた。
諦めて、作り置きのチャーシューとメンマだけ出してやった。
………
……
…
で、結論としては、
「ヘルシー指向のラーメン。甘味、甘いものを使ったラーメン。美容や健康に良さそうなものをたくさん含むラーメン……」
微妙だ。女性向けと言ってネット検索したら五秒でヒットしそうな短絡さだ。
まあ、実際に『女性向け』でググってみたら、女性向けアダルトサイトがズラッと検索結果に並んで、作者的にはビビったのだが……
それはさておき、
「女性向けだからって、ヘルシーで、甘くて、美容にいいだなんて、女の子を舐めているわね。女の子はもっと複雑なのよ!!」
「…………」
と、『女の子』代表としては最もふさわしくない女、志織が異議を申し立てる。
まあ、雪那ちゃんも声には出さないものの、ほぼ同意見なようだ。
「う~ん、どうすれば……」
秋の空と比べられる程には、女心は難しい。
その後、マサシから「女性を篭絡してしまう魅惑の媚薬ラーメン」などというアホな意見も出たが、うちの女性陣二人から冷たいゴミ屑を見るような目で見られ、その意見は取り下げられた。
正直、俺も下腹部のマイボールちゃんがキュンってなるくらい怖かった。
結局、いくつか試作してみて方向性を探るということになった。
あと、『魅惑の媚薬ラーメン』については後日、暇を見つけて検討してみたい。
男なら夢が広がりまくりんぐだよね?
ヨシッ、いつかネタでやってやる!
オマケ ~東方テレビ、スタッフルーム~
今、イケ麺コロシアムのスタッフ、七星イジリのAD三人組たちはウハウハだった。
「っべ~! コイツ、マジ、やべ~!!」
彼らの中心には大きなモニター、七星たちが本番中二回戦ルール決めのダーツをしている映像があった。
『――ホアチャァーッッッ!!!?』
ちょうど、七星、第一投の瞬間である。
「ぶはっwww」「あ、あかん腰が!」「軌道からしてないっ!!」
七星本人は見えてなかったであろうが、傍から見ると、とんでもないへっぴり腰。それに投げる瞬間のマジ顔。からのヘロヘロな弾道。さらに刺さった瞬間のガッツポーズ。
「しかも、投げた瞬間、後ろにバックステップ!」
「からの~両足揃えて――」
「ガッツポーズ!!」
「「「そして、この顔であるッッッ!!!?」」」
極め付けのドヤ顔。
会場、唐突に笑いを漏らす。不意打ちすぎて反応できなかったのだろう。笑い率は40%程度だが、吹きだし方が半端ない。
「つか、司会者、よく我慢できたな」
「おう、それな!」
「いや、できてね~よ?」
投げた七星の背景で盛大に何かを吹き出す司会者(女)。背後で、男の方も笑っているが、女の方が笑い過ぎて、司会者(男)に窘められている。
「ちょっ!? 美代ちゃん笑い過ぎ!」
「鼻から何か噴いたwww もうちっと、我慢しろし!」
「なら、お前、耐えきれるか?」
「「「それは無理だろう!!!」」」
スタッフ全員大爆笑。
「どうしよう? コレ、どうすれば番組的にウケる?」
「テロップ入れるか!?」
「効果音入れていこうぜ?」
「まずはテロップだな!」
「必殺技的な? 何がいいかな……」
「――ライジングサン(RISING SUN)!」
「「「そいつはヒデえ!!」」」
うんうんと頷き、これでいこうと決める三人。
「あとは効果音だな」
「バックステップに合わせてマ〇オジャンプの音」
「いや、ここはバスケのスキール音」
スキール音とは、ブレーキした時に鳴る『キュキュッ』ってやつである。
どうしたものか、悩む三人。
「お~い、お前ら何時まで残ってやってんだぁ?」
「あ! 南条さん!?」「お疲れ様です!」「あ、遅くてすいませ~ん」
やってきた南条局長、さっそく何をやっているんだと三人の仕事を見やる。
「って、なんじゃこりゃ~!? こんなん、もはやネタMADじゃねえかよ」
また、動画サイトで『東方テレビが公式でやらかした(笑)』とか言われんぞと怒られる三人。確かに、 元からイジりすぎていて流石に『ヒデえ!』出来だった。
「いいか~、お前ら、元がこれだけ面白いんだ。だから、味付けは薄味ぎみでな――」
カチカチとパソコンをいじる南条。
「え? ここでCMカット!?」「う~ん?」「あからさまでは」
さらに南条は『よ~し、よぉく狙って、よ~く狙って……』と七星投げる前のシーンに、『この後、七星選手がすごい一投を見せます』とテロップを入れる。
「え~? 教えちゃうんですか?」「サプライズが編集の基本では」「どうなんでしょう?」
まだ、南条のやることの意味が分からない三人。
「いいか? 編集ってやつはな? 『通し』で見るんだ……」
できたものを再生していく南条。
「よ~し、よぉく狙って、よ~く狙って……」
(『この後、七星選手がすごい一投を見せます』のテロップ)
CM明けて……
「よ~し、よぉく狙って、よ~く狙って……」
一投。
「――ホアチャァーッッッ!!!?」
(これにも『ホアチャァー』のテロップ)
「「「ブッッッ――!!!?」」」
分かっていても吹いてしまう三人。
「ひ、ひでえ……」「あかん、腹筋死ぬ」「これはヤバい!」
「なっ? こうやって出演者をイジっていくんだよ!?」
「「「ハイッ! 先輩、ありがとうございます!!!」」」
こうして、南条からAD三人組へと東方テレビ式イジりのノウハウは受け継がれていく。
七星のいないところで本人の処刑は続いていくのだった。
私事で申し訳ないのですが。
来週、自分、野球をやるんですよ。だから、昨日、久しぶりに、ちょっとバッティングセンターで練習してきました。
バントの練習を。
はい、自分、バッセンでバントしてました。80球くらい、ガッツリ。
もうこれで怖いものはありません。見事に三塁線に転がして、セーフティバント決めてやります!
実はそれを後輩が見ていたらしくて、今日、超、滅茶苦茶、笑われました。酷いっすよね? いたなら声をかけろと。あと、俺先輩。
自分、言葉づかいとか面倒なことをとやかく言うつもりはないですが、さすがに先輩なのでネタにするのは止めて欲しいと思うのです。
みんな、コレどう思うよ?




