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第5話

「あんたは?」

「僕は坂織光輝(さかしきこうき)

能力名は「地獄耳(サウンドスティール)」。

人より数倍遠くの音まで拾えて、聞こえる音域も広くなるんだ。結構使い勝手のいい能力なんだけど、運動はあんまり得意じゃなくて、戦闘力が皆無だから5組に回されたんだよね。趣味はこの能力を使った盗み聞き。だから聞きたいことがあればなんでも聞いてね!」

「……たちの悪い趣味をしてるな。

じゃあ早速聞くけど、能力バトルってのは?」


悠里は光輝の趣味の悪さに苦笑しながら、質問した。


「編入してきたばかりの黒羽君なら、知らないのも無理ないね。」

「ああ、悠里でいいよ。男に君付けされるのはなんか気持ち悪い。」

「き、きも……!悠里って結構ズバズバ言うね……。えっと、なんだっけ?そうそう、能力バトルだったね。能力バトルっていうのはその名の通り能力を使ってバトルするんだよ。」

「本当にそのまんまだな…。

でも、俺らみたいな奴らが能力を使って戦ったりなんかしたら、戦った場所がめちゃくちゃにならないか?」

「お!いい目の付け所だね!そう、悠里のいう通り、校庭なんかで戦ったりしたらクレーターできたりするんだよ……。」


悠里が話の続きを待っていると、光輝がチラッ、チラッと悠里の方をチラ見している。この上なくうざい。


「はあ……じゃあどうするんだ?」


悠里の言葉は、どうやら光輝の待っていたものだったらしい。光輝の目がキラリと光った。


「いい質問だね、悠里!その悩みを解決したのが、闘技場だよ!」

「闘技場……そう言えば、この学園のパンフレットにも乗ってたなあ。どんなところなんだ?」

「えっとね…まず真ん中に正方形の石のタイルが敷き詰められた、50メートル四方のリングがあるんだ。そして、リングから少し離れたところを円形に囲うように観客席があるんだよ。でも、観客席の後ろの方からは遠すぎてあんまり見えないから、リングの周りに10台のカメラを設置して、その映像が東西南北に1つずつ、合計4つある大型のスクリーンに映し出されるんだ。」

「へえ、結構立派な施設なんだな。

でも、そこでやるにしてもリングがすぐボロボロにならないか?」

「それがならないんだよ……。

悠里は「神さまパワー」って知ってるかい?」

「なんだ、そのアホみたいな名前は……」

「うん、まあ分かりやすいとは思うんだけどね。僕もこの名前はちょっと……。まあ、それは置いといて。名前の通り、神さま……つまり学園長の力なんだけど、リングに結界を張ってるんだよ。」

「結界?」

「そう結界。

結界の中に入ると、精神体になれるんだ。

そして、結界の中にあるモノは全て一瞬で修復が可能なんだ。生物以外のモノ限定だけどね。」

「そうか、結界の中にあるモノ……つまりリングがいくらぶっ壊れようが一瞬で直せるってことだな。そこは分かった。でも、精神体ってのはなんだ?」

「へ?ああ、そこも説明が必要だったね。

精神体っていうのは精神だけの状態のことだよ。その状態で攻撃を受けると段々意識が遠くなっていって、最終的に気絶する。でも安心していいよ。精神体でいくら攻撃を受けようが身体には何の影響も………ないからね。」

「おい、なんだ今の間は?」


不自然な間に悠里は半眼になって問い詰める。


「いや、あんまりにも強い攻撃を与えるとショック死とかするんじゃないかなって一瞬思っただけで……実際起きた事はないし大丈夫だよ……多分。」

「全然大丈夫な気がしないんだが……まあいい。

要するにその結界の中でなら戦っても問題なしって事か。」

「そういう事。

でも審判してくれる先生探したり、申請して承認されるのを待ったりしないといけないから、そんな今すぐできるわけじゃないんだけどね。」

「そうなのか?

でも、あいつら闘技場に向かうみたいだけど?」

「ええ?あ、本当だ。」


悠里が和葉達に視線を戻すと、ちょうど教室を出るところだった。


「私が審判をするんだよ。」


悠里は、いつの間にか隣に立っていた藤野に声をかけられた。


「申請とかしなくてもいいんですか?」

「始業式の直後に闘技場使うようなバカはあいつらだけだ。今日なら申請しなくても事後報告で済むだろ。」


光輝が悠里の肩越しに尋ねると、なんとも適当な返事が返ってきた。


「そんなんでいいのか……?」

「いいんだよ。

それよりお前らはどうする?どうせ今日はホームルームで終わりだし、良かったら能力バトルを見学できるが?それに他の奴らは全員見に行くらしいしな」

「へえ、見学か……。

そうですね。見といて損はないと思いますし、見学させてもらいます。」

「僕もいいですか?」

「ああ、構わんぞ。

じゃあ付いて来い。」


悠里と光輝は、藤野に連れられて闘技場に向かった。


悠里達が闘技場に着くと、悠里は藤野と別れ、光輝と一緒に観客席にあがった。

藤野は審判をするため、リングの方に向かった。


観客席にあがった2人は、他にも何人か見学する者がいたらしく、ポツポツと人の姿が見えるがそんな人数では観客席が埋まるはずもなく、見事にすっからかんの観客席を見渡して、適当に一番前の席に腰掛けた。


リングの中央には和葉と武蔵が10メートルほどの距離を置いて向かい合っていた。

藤野は2人から少し離れたところに立っている。

和葉の手には弓が、武蔵の手には木剣が握られている。


「これより、1年5組所属の朝比奈和葉と武田武蔵による能力バトルを行う。

ルールは武器ありの一撃決着制の1本先取、場外ありで行う。

両者異存はないか?」

「「はい!」」


「なあ、一撃決着制ってのは何だ?場外ってのはリングからでたら負けって事だろ?それは分かるんだけど……」

「ああ、それはね、能力バトルには一撃決着制と完全決着制の2つがあるんだ。

一撃決着制はどちらかの攻撃が相手にクリーンヒットした時点で終了。

完全決着制はどちらかが気絶するか、降参するまでやるんだ。

ちなみに今日みたいに武器ありでやる時と、武器なしでやる時があるよ。」

「なるほど、そう言えば和葉の能力は透明人間だろ?武蔵の能力は……「自然の恵み(フラワーギフト)」だっけか?どんなものなんだ?」

「あー武蔵くんはね……「自然の恵み(フラワーギフト)」、花や草木を操れる能力だね。」

「花……なんか見た目と全く一致しないな。」

「ははは、本人も気にしてるんだけどね……木だけに。」

「ふんっ!」

「ごふっ!」


寒い事を言った光輝に制裁を加えると悠里は2人の戦い方について考察を始めた。


ーーー和葉の方は弓か……透明人間の能力を生かして遠くから狙撃か…?凶悪だな。本当になんでこのクラスにいるんだろう?

武蔵の方は……木剣か…これは間違いなく能力を生かすためだろうな…木を操る…想像できないな。どう操るんだろう……?


そんな事を悠里が考えているうちに光輝は復活したらしい。


「げほっげほっ、何するんだよ、ひどいじゃないか。」

「自業自得だ、バカ。」


そんなどうでも良いやり取りをしていると、


「ここ、隣良いかい?」


と、やや疲れたような女性の声が悠里達にかけられた。

次話の投稿は未定です。

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