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第2話「成長、初にして過剰」

私、オーバーキルって好きなんです。

インフレも。

 身体を包む光が消え、目を開けるとそこは見渡す限りの草原だった。

 最後の最後に言いたいことを言えなかったが、そのうち話せるようになるらしいし、その時に文句は取っておこう。


「そんな事より、ここはどこなんだ?」


 《マップを表示します。マスター、ステータスについて説明しても?》

「ん?じゃあお願いするかな、教えてくれ」


 視界に現れた周辺の地図を眺めながら、創世の知恵の話(と、言っても頭の中で響く声なんだが)を聞く。


 《ステータスはこの世界……『コンフリアコード』のほぼ全てのものに存在しています。種族問わず実際にそれを確認できる生物は少なく、限られた者にしか見ることが出来ないものです。ここまではいいですね?》

「ああ、大丈夫だ」


 まあゲームしててもキャラクター自身は自分の細かいステータスを確認してるイメージは無いな。ラ〇ブラとかはそれに当たるのだろうけど。


 《ですが、マスターは神眼の効果で自由にステータスを確認できます。私の力でスキルなどの細かい説明もできます。そこで、既に気付いてるかと思うのですが─》

「他人の物も見れるんだよね?」

 《その通りです。そして、マスター自身のステータスですが……「ステータス」と発声するか念じる事で確認できるようにしました。1度、確認してはどうでしょうか》


 そう言うなら、確認しようじゃないか。

 ……『ステータス』


 《ステータス》

 黒河誠 Lv.1

 種族:人間 性別:男

 年齢:18歳


 HP:1,000/1,000

 MP:150,000/150,000

 筋力:100

 体力:90

 魔力:5,000

 精神力:10,000

 敏捷力:200


スキル

 神眼

 創世の知恵(ウィズダム・オブ・ジェネシス)

 完全限界突破


称号

 創造神の友

 世界の超越者

 人外の領域(エリアエラー)


 とりあえず……いくつかぶっ飛んだ数字が見えるけど、このレベルの平均的な数値ってどれくらいなのかな?


 《HPとMPは500、他のパラメータは100が大体の平均です。マスターは異世界人ということもあり、元の世界での経験やスペックに応じた数値になっております》


 まあ、いいけど……でもこれを見る分には、明らかに魔法使いな感じがするステータスだな。少なくとも好んで前衛を選ぶ理由はそれがカッコイイから以外にない。

 そして…………俺はそういうのが大好きだ。魔法戦士になろうそうしよう。

 まあ、まだどんな風な戦いが出来るかは分からないが、平均のパラメータを聞いた限りではそうそう死ぬことも無いだろうな。


「あれだな……創世の知恵っていちいち呼ぶのもなんだから、お前はこれから『ウィズ』だ。いいな、ウィズ」

 《…………………………》

「えっと……流石に安直過ぎたか?嫌なら別の名前を考えるけど」

 《いえ…………何と言うのでしょうか、今までこのスキルだけでしか存在し得なかった私に名前が与えられたという事に────歓喜しています》

「…………え?」

 《マスター、薄々感じていましたが貴方は今までのどの人間とも違う存在です。少なくとも、私にとってはこれが唯一無二の邂逅でありこれからの私の在り方を決定的に変えるものになりました》

「あぁ、うん。そうなんだね……?俺もウィズと出会えたのは運命的だと思ってるよ。改めてよろしくな」


 そう語りかけ、少しの静寂の後


 《私の全存在を、貴方の為に》


 そう、ウィズは言った。


 《スキル『創世の知恵』が変化し『ウィズ』に変化します。マスター、この力、十全にお使い下さい》

「なんだか、期待が重い気もするけど頑張るよ」





「ところで、近くの街へ向かいたいと思うけどいいかな?」

 《別段問題は無いかと》

「じゃ、行こうか」


 目前に浮かぶマップを縮小表示にし、視界の隅に常時表示させることにした。

 目標にした街へ向かい、無言で歩を進める。あまり離れてはいないので大体30分もあれば到着するだろう。

 俺はこの先ウィズとは別に頼るであろうスキル、神眼をどのように使うか考えつつ草原を突き進む。


 生前のままの黒シャツに灰のパーカー、黒のジーンズ(きつめのジーンズでは無く、動きはほとんど阻害されない)に、特注の赤い安全靴といった風情だ。

 明らかにファンタジーの世界観には合ってないであろう服装の俺は、もし周りに誰かがいたら妙なものを見る目で眺められるんだろうな、とも思っていた。


 10分くらい進んだ時、進行方向上に黒い何かが動いているのが遠くから見えた。

 何だろうと思い少し目を凝らすと、その瞬間に視界がその物体の近くまでズームした。何故か自分がいる所からの風景も同時に見え、不思議な感覚ともにウィズの声が響いた。


 《『神眼』の下位スキル、『遠視』ですね。地味なスキルながら便利な能力だとは思いますが》


 なるほど。

 やはり、神眼は眼を司る能力の頂点と考えても問題ないようだ。


 目算500メートル程先にあったその物体は、遠視でよく見たところ、魔物だった。

 俺の世界で言うところの……黒騎士だ。ふざけやがって。

 RPGのセオリーを完全に無視した強モンスターに見えるんだけどなぁ……ウィズ?


 《種族名、ブラックナイトです。普通はこんな場所には存在しないはずですが……どうやら、魔族の使い魔として、人間界を偵察しに来たようですね。マスター、会敵しますか?》

「うん、説明してもらってありがたいが、どうやらアイツにも見つかってしまったみたいだ。何故か背中に羽を生やしてこっちに高速移動してくる」


 遠視の効果を切り、直接ブラックナイトを見る。

 かなりの速度で接近してきたブラックナイトは僅か30秒足らずで20m程までその距離を縮めていた。


「流石に見逃しちゃもらえないよね?」

 《申し訳ありませんが、控えめに言って無理かと》


 控えめも何もねぇよな、それ。知ってたけどさ。


「えっと……ご機嫌いか──うおっ!?」


 めげずに声を掛けようとしたが、失敗に終わる。

 黒騎士が瞬時に近付き黒い刀身の剣を突き込んで来たからだ。間一髪、躱すことが出来たが、二度、三度と次々に振るわれる剣閃に髪先や服の端が巻き込まれ次第に追い込まれていく。


 危機感から黒騎士の剣を頬の皮少しと引き替えにして躱し、その鎧の横腹に蹴りを叩き込む。

 お互いに衝撃から後退し、体勢を立て直す。


 俺の靴は底だけでなく、靴全体に強固な素材を使っているおかげで蹴りに使えば半分凶器だ。だが、黒騎士の鎧もその硬さを十分に発揮し、少し傷が付いた程度だ。本体にもダメージは無いだろう。


 思わぬ反撃を受けたからか、黒騎士は剣を構えたままこちらの様子を伺っている。


「ウィズ、何かいい案はあるか?」

 《まず相手のステータスを見るべきかと》


 いきなり襲われたせいで普通に忘れてた。今度から気をつけなきゃ、今を切り抜けなきゃ今度も何も無いのだけど。


 ステータスを見る意思を込め、黒騎士を睨み付ける。


 ウィズによって整理された情報が頭の中に浮かび上がる。


 種族:ブラックナイト Lv.47

 HP:8,460/8,500

 MP:650/600

 筋力:600

 体力:300

 魔力:140

 精神力:200

 敏捷力:400


スキル

 剣術Lv.6/10

 闇魔術Lv.3/10

 飛行Lv.5/10


 うん、まともにやっても勝てないか。逃げられそうも無いし、どうやら勝つしかないらしい。

 せめて、あの剣さえ奪えればな……俺の必殺剣『堕天』(なお妄想)が放てるんだが……


 《スキル『堕天』を習得しました。剣が無いので使えませんが》


 おっと?なんだなんだ?


 《完全限界突破の副次効果と、今回は創造神の友のおかげですね。スキル習得の難度が下がり、また明確なイメージを元にスキルを創造できることがある、というものです》


 あぁ……確定じゃないんだ?あの男前が「今回は特別ですから」とか言ってるのが容易に想像出来る……


 「つまり、スキルはやるからあとは頑張れってことか。もしも、神眼が俺の期待通りのスキルなら……」


 この程度の敵、なんてことは無いのかもな。


 「頼むぜ神眼───『行動予知視』」


 《スキル『神眼』の派生効果、『行動予知視』を発動します。精神への負担を緩和する為、私が処理を行います》


 一瞬の内にウィズからの伝達が成され、それが合図だったかのように黒騎士も動き出した。

 だが、その剣は俺に掠りもしない。神眼とウィズによって行動予知視の結果がリアルタイムで更新され続けている。

 相手がどう動くか事前に分かっていれば、攻撃を避けることなど造作も無い。

 そして……


 「反撃に転じるのも同じ事だ!」


 俺の蹴りの動きを察知し、黒騎士は剣を握っていない方の手に装着した手甲で防御しようとする。

 だがその動きも予想していた俺は中段蹴りに見せかけた足をそのまま振り下ろし、逆の足で後ろ回し蹴りを放つ。

 狙い通り剣を握っている方の手に蹴りは吸い込まれ、黒騎士の体ごと腕を大きく弾いた。

 攻撃の勢いのまま地面に刺さっていた剣を、右手で引き抜き、体の右側を前に半身に立ち、剣先を背後に向け水平に構える。


 「その立派な鎧は、お前自身の剣に耐えられるほど丈夫かな?」

 「必殺剣『堕天』!!」


 スキルが発動し、俺の身体は神々しい光を放つ。

 水平に剣を構えたまま前方に高速移動し、すれ違いざまに横一文字に剣を振り抜く。

 だが、俺の妄想の『堕天』はこれだけの技ではない。

 振り抜いた勢いをそのままに高速で回転し黒騎士を下から斬り上げ、打上げられた敵を追うように高く飛び上がる。身体を包む光が消え、そのまま刀身が闇に覆われていく。

 振り上げたままの剣を肩に担ぎ宙に浮いた黒騎士に闇の力ごと振り下ろした。


 バキィィィン


 前の二連撃で既に悲鳴を上げていた漆黒の鎧は砕け散り、俺の剣はそのまま黒騎士の体を2つに切り裂き、勝利を収めた。


 「勝っ……たな」


 無闇なフラグを立てまいと言葉を止めかけたが、神眼で覗いたステータスが消滅するのを確認し、続きを吐き出した。


 「あー!疲れたな……」


 剣を地面に突き刺し、その場に座り込む。

 安心から疲労感がどっと溢れたが、強敵を打ち倒した達成感が心に広がっていた。


 《レベルが上がりました。ステータスを確認しますか?》

 「するする、超確認するよ俺」


 半分投げやりに、半分嬉しさでウィズに答えステータスを確認する。


 黒河誠 Lv.96(95up)

 種族:人間 性別:男

 年齢:18歳


 HP:36,000/36,000(35,000up)

 MP:1,974,000/1,974,000(1,924,000up)

 筋力:2,980(2,780up)

 体力:974(884up)

 魔力:51,560(46,560up)

 精神力:106,000(96,000up)

 敏捷力:2,120(1,920up)

 

スキル

 神眼

 ウィズ

 完全限界突破

 

称号

 創造神の友

 世界の超越者

 人外の領域(エリアエラー)

 大物喰らい(new!)

 階段飛ばし(new!)

 眼を開く者(new!)


 「上がり過ぎだろ馬鹿じゃねぇの?!」


 思わずそう叫んだ。

さて、如何だったでしょうか。

一話と続けて連続で投稿しておりますが、リアルが忙しくなったら投稿不定期になったりします。

最終的に週1か隔週間隔で投稿したいと思います。

まだまだ拙い文章ですが、どうぞお楽しみください。

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