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HYDRA CHRYSALIS -SINGULARITY- (ヒドラ・クリサリス シンギュラリティ) ―進化は臨界点を越え、世界そのものが書き換わる―  作者: Nao9999


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最終話 選択

最終話になります。


この物語は、

一つの夢から始まりました。


そして今、

一つの答えに辿り着きます。


その選択が、

正しいかどうかは分かりません。


それでも――


彼は、人として進むことを選びました。

HYDRA CHRYSALIS -RE:GENESIS-

最終話 選択


朝だった。


静かな光が、街を包んでいる。


まるで何もなかったかのように。


「……平和、か」


榊は呟いた。


だが、そんなはずはない。


知っている。


もう元には戻らないことを。


「榊」


声がする。


振り向く。


仲間たちがいる。


減った人数。


埋まらない空白。


「……行くのか」


「ああ」


短く答える。


迷いはない。


「止めねぇよ」


誰かが言う。


「でも、戻ってこいよ」


榊は少しだけ笑う。


「分かってる」


視線を上げる。


遠く。


海の方向。


「……呼んでる」


小さく呟く。


あの場所に。


あの存在がいる。


「……水城」


名前を口にする。


もう、恐れはない。


ただ――


確かめたい。


「行ってくる」


それだけ言って、歩き出す。


止める者はいない。


ただ、見送るだけだ。


―――


海。


広がる水面。


静かだ。


だがその奥に。


“いる”。


榊は足を止める。


「……来たぞ」


声に出す。


返事はない。


だが。


水が揺れる。


ゆっくりと。


波が形を変える。


そして。


現れる。


あの存在。


水城。


人の形をした、“それ”。


「……久しぶりだな」


榊は言う。


水城は何も言わない。


ただ、見ている。


「……答えは出した」


一歩踏み出す。


「俺は、人間でいく」


静かに。


だが確かに。


「全部捨てて強くなる気はねぇ」


拳を握る。


「でもな」


水を見る。


「守るための力なら、使う」


その瞬間。


水が、わずかに揺れた。


『理解』


初めて。


意味のある応答。


「……そうかよ」


榊は笑う。


「分かるじゃねぇか」


水城が動く。


近づく。


だが、圧はない。


敵意もない。


『共存』


その言葉。


「……共存、か」


榊は呟く。


考える。


そして。


「……いいぜ」


短く答える。


「お前が敵じゃないならな」


静寂。


波が穏やかに揺れる。


その中で。


水が一つ、浮かび上がる。


小さく。


透明な塊。


それが、榊の前に来る。


「……なんだ」


『証明』


「……証明?」


水が触れる。


手に。


冷たい。


だが優しい。


その瞬間。


“繋がる”。


一瞬だけ。


海。


水。


流れ。


すべてが見える。


「……っ」


息を飲む。


膨大な情報。


だが――


壊れない。


「……これが」


理解する。


「俺の役目か」


水が離れる。


消える。


静かに。


水城もまた、崩れていく。


形を失う。


「……行くのか」


榊が言う。


『観測、継続』


最後の言葉。


それだけ残して。


消える。


完全に。


静寂。


ただ、海だけが残る。


「……ったく」


榊はため息をつく。


だが、その顔はどこか穏やかだ。


「めんどくせぇ役目だな」


空を見る。


青い。


変わらない空。


だが。


世界は変わった。


「……まぁいいか」


歩き出す。


街へ。


人のいる場所へ。


その背中には。


もう迷いはない。


―――


遠く。


世界のどこか。


水が揺れる。


わずかに。


確かに。


進化は、止まらない。


そして。


人もまた――


変わり続ける。


―――END

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語は、

私が見た夢から生まれたものでした。


断片だったものが、

ここまで形になったことを嬉しく思います。


そして本作は、ここで一つの区切りとなります。


ですが、

この世界はまだ終わっていません。


もしまた続きを描くことがあれば、

その時はぜひ、またお付き合いください。


本当にありがとうございました。

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