魔界ポンコツ吸血鬼の誤算
初投稿です。よろしくお願いします。
この作品は一部にAIによる文章生成を含みます。
魔界、絢爛な夜会。
リリムの瞳は、夜会の中心でひときわ異彩を放つ男を捉えた。
漆黒の髪、深紅の瞳。淫魔族の貴公子、ヴァン・レオニス。
彼こそが、リリムが選んだターゲットだった。
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吸血鬼族の落ちこぼれ、リリム・リリアナ。
リリムは、伝説的な吸血鬼を輩出してきた名門中の名門、リリアナ家に産まれた。母親譲りの美貌を持ちながらも、彼女はこれまでで一度も吸血をしたことが無いという、前代未聞の吸血鬼である。前世で、オタクOLだった記憶が"人から血を吸う"本能に抵抗があるのだ。
母である伝説の吸血鬼、クイーン・リリアナから言われた言葉を胸に、慣れない夜会の会場へと足を踏み入れた。
『魔界で強い男から血を吸い取ることができたら、一人前と認めてやる。そしたら人間界への自由な行き来も許してやる』
リリムは気合を入れ直すと、持ヴァンに近づき、流れるような身のこなしで彼の隣に立った。
「ヴァン様、今宵は素敵な夜ですね」
母親譲りの美貌を生かして、低く甘い声で囁いた。
ヴァンの瞳に微かな興味の色が宿る。
今夜、この男を篭絡し、なんとか吸血する。そして、念願の人間界スローライフを送るのだ。
「あまり見ない顔だな、今夜は君にしようか」
夜会の賑やかな会場からヴァンがよく使っている部屋へとやってきた2人。
ヴァンがシャワーを浴びてる間にリリムは緊張した面持ちでベッドの端に座っていた。
「ひえ〜、やっぱり私には無理な気がしてきた…」
頭を抱えるリリム。
緊張で喉の渇いたリリムはテーブルの上に置いてあった飲み物に手を伸ばした。そのままあおるように飲んだ。
「う…」
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ヴァンがシャワーから戻ると様子のおかしいリリムがいた。
「おい、どうした?」
がばっ!
リリムが急にヴァンに抱きついたのだ。
「なんだ、ずいぶん積極的だ…な…?」
リリムの顔は赤く、目は虚ろでヴァンをみているようで見ていなかった。
「顔がいい…推しによく似てる…尊い…!」
リリムが飲んだのは、魔族用の度数の強いワインだった。慣れないワインにリリムは1杯飲んだだけで酩酊状態になり、ヴァンに抱きついてしまったのだ。
「推し……尊い…公式…ありがとう…」
最後にそう呟いたのを最後に、リリムはヴァンに抱きついたまま、ベッドの上でぐっすりと眠ってしまった。ヨダレを垂らしながら。
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翌朝、眩しい光で目を覚ましたリリムは、昨日の事を思い出し青ざめた。
「(や、やってしまった…)」
隣を見ると、ヴァンが気持ちよさそうに眠っていた。
「(あー…顔はやっぱり前世の推しに似てて好みなんだよなぁ)」
起こさないように、そろりそろりとベッドを出ようとしたその時、背後から低い声が響いた。
「どこへ行く?」
驚いて振り返ると、上半身を起こし、面白そうにこちらを見つめるヴァンの姿があった。
「あ…あの…わたくし、昨夜は大変失礼を…」
「ふむ」
と、ヴァンは顎に手を当てて思案顔をした。
「昨日、結局私は君の精気を吸えなかった」
「…それはすみませんでした…」
「レディ・リリアナから聞いていたが、想像以上だな」
「お母さま…?」
リリムは混乱した。やらかした上に母親の名前まで出てきたのだ。
「聞いていたのだよ。君の"課題"のために、もしかしたら声がかかるかもと」
どうやら母親にはお見通しだったようだ。
「個人的に興味もあったのでな。クイーン・リリアナの娘というものに」
「」
ヴァンは朝に似つかわしくない程の妖艶な笑みを浮かべてこう続けた。
「君の"課題"はさておき、この私の誘いをこのような結果にした責任は取ってもらわねばな。」
リリムの背中にたらたらと冷や汗が流れた。
「さて、どうしたものか…」
「か、勘弁してくださぁあい」
ポンコツ吸血鬼リリムの人間界推し活スローライフはまだしばらく先になりそうだ。