星座の誓い
夏の星座が詩を書いた
いて座は、獲物を狙う詩を書いた
いるか座は、小さな星の大きな海を泳ぐ詩を書いた
かんむり座は、愛する人に贈り物をする詩を書いた
こぎつね座は、物語に憧れる気持ちを詩に書いた
こと座は、忘れられない人の事を思って詩を書いた
さそり座は、任務を遂行する心地よさを詩に書いた
たて座は、称えられる栄誉を誇って詩に書いた
てんびん座は、善悪のはっきりしない詩を書いた
はくちょう座は、自身の美しさを詩に書いた
へびつかい座は、人々を救う詩を書いた
へび座は、別れの詩を書いた
ヘルクレス座は、英雄の憂いを詩に書いた
みなみのかんむり座は、持ち主を探しに行く詩を書いた
やぎ座は、やらかしたことを自慢する詩を書いた
りゅうこつ座は、勇士が集いバラバラになってゆく詩を書いた
わし座は、わしわしと好きなものを食べまくる詩を書いた
星座たちは、互いの詩を褒め称えた
星座になった時に誓った思いが、よく描けていると
星座になれた時に誓った真摯が、よく伝わっていると
星座たちが互いを褒め合っている中、わし座だけが肉を啄んでいた
自分は詩なんか書きたくないと、肉だけをかじっていた
自分は詩なんか書きたくなかったのだと、骨を噛み砕いていた
星座になりたくなかった
星座になどなりたくなかった
いつまでたっても馴染まないわし座を見て、他の星座たちは仕方のないやつだと思った
いつまでたっても声をかけてくれない星座たちを睨んで、わし座はひどいやつらだと思いながら肉を飲みこんだ