【日本の裏帳簿】特別会計の「真の闇」とは何か?【暗殺事件】
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今日は「特別会計」について僕の個人的な解説を行っていこうと思います。
質問者:
特別会計というのはそもそも何なんですか?
筆者:
現在、日本の予算は「年度会計主義」を取っているのですが、
年度を跨いで管理が必要なものがある場合には別途把握し、区分経理することになっているのです。
現在ある主な項目としては国債、地方交付税交付金、社会保障費給付、復興などです。
新しいものでは「こども金庫」というものが令和6年度予算から追加されています。
◇「闇」と言われる「石井衆院議員刺殺事件」
質問者:
特に聞いていて何も問題が無いような気がするんですけど……どうして「闇」とまで言われるようになっているのでしょうか?
ネットでは「裏帳簿」「資金が実は潤沢にある」などと言った言説もあるのですが……。
筆者:
この1件で1番インパクトがある話題としては、
2002年衆院議員だった石井紘基氏が東京都世田谷区の自宅前で刺殺されたという事件がありました。
3日後の国会の証言の場で「日本がひっくり返る暴露を行う」と石井氏の妻が証言していた資料(内容は不明)が消失したことから様々な憶測を生んでいるんですね。
石井氏は特別会計などについて追及したこともあったために、
「特別会計の闇に触れたから消された」といった説がまことしやかに囁かれているのです。
質問者:
なるほど……確かに恐ろしい話題ですね……。
筆者:
ただ、僕が指摘しておきたいところは1つ目として石井氏は特別会計について触れたとは言ってもどちらかというと「行政改革」について訴えたことが分かっています。
1999/06/01 民主党アーカイブ『特殊法人にメス入れなければ行革は意味なし/石井紘基衆議院議員』より、
『石井紘基議員は、「本来、民間部門が行うべきことを特殊法人がやっている。これが社会構造全体をゆがめている」と強調し、ライフワークの特殊法人問題の追及をはじめた。
石井議員は「特殊法人は1200社以上ある。丸投げするための子会社まで含めたらもっと多い。公益法人にしても職員51万に対し役員49万人。これらが民間と同じビジネスを行っている」と数字を上げ、ここにメスを入れなければ行革の意味がない」と批判。
「特殊法人は自由な活動ができない赤字体質がある。徹底した改革が必要だ。特別会計とも関係している」と厳しく指摘し、具体例として、日本道路公団、住宅・都市整備公団の不透明な業務内容について、「住都公団が京都における再開発交渉で接待を行った」などの事例をあげた。関谷建設相はこれに「事実だが、改善された」などと弁明。』
といった記事が今も残っています。
こういったことからどちらかというと「行政改革推進派」「民営化推進派」だったのではないかなというのが僕の認識です。
質問者:
それなら石井さんはどうして殺されてしまったのでしょうか……。
筆者:
殺害された当日に紛失した資料が出てこないと確固としたことは言えないですが、
23年1月6日の毎日新聞の記事では統一教会に対する追及も行っていたため(刺殺したのが右翼活動家だったため)という説の方が有力としています。
そのほかオウム真理教や闇金、防衛庁の追及など様々な説があります。
この事件で一番問題なのは、裁判の表向きは「金銭トラブル」で殺害されていることになっているために、石井氏にも過失があったのではないか? とも言われており、石井氏の名誉を棄損されている状態であることです。
真相が解明されるべき事件であることには間違いないと思います。
◇特別会計で財務省が隠したい「真実」
質問者:
しかし、特別会計400兆円あることは事実ですよね。
一体何にそんなに使われているのでしょうか……。
筆者:
令和5年度の特別会計は441.9兆円あるのですが、
そのうち157.6兆円は国債の借り換え、82兆円は国債償還費、
87兆円は会計間のやりとり、75.4兆円は社会保障給付費
19.9兆円は地方交付税交付金、12兆円は財政投融資への繰り入れ、復興関係費0.7兆円
などとなっています。
質問者:
社会保障給付費75兆円って凄くないですか? 一般会計の社会保障費は37兆円じゃないですか……。
筆者:
僕もこれは凄く多いと思ったんですけど、
「給付費」というのは単に給付を行っている事務の諸経費を言うのではなく、
医療や年金、福祉などのサービスを包括した支出全体を示しているようです。
また、国庫負担はご指摘の通り37兆円なのですが保険料収入が77.5兆円あります。
この77兆円は我々の給料から引かれている社会保険料(国民年金、厚生年金、医療保険、介護保険)のことです。
この保険金収入とほとんど同じ金額が特別会計で使用している「給付費」ということなのです。
本来は社会保障費負担増も国民から見たら増税と同等の感覚なのですが、
国会答弁の「増税ではない」という詭弁を「特別会計に押し付ける」ことによって可能にしているという事です。
実際のところ「異次元の少子化対策」は特別会計の令和6年度の新項目「こども金庫」になっているようですからね。
僕はどちらかというとこちらの方が「闇」なのではないかと思ってしまいます。
質問者:
なるほど、ここに「真の闇」があるということですか……。
筆者:
もう1点「闇」があるとするのなら国債借り換えを平然と会計年度を跨いで行えているという事を示しているのを隠しています。
1年間で借り換えと償還費で240兆円もできているわけです。
税金のたかだか70兆円で予算が執行されているという事がどれだけ茶番だという事がお分かりだと思います。
正確に言うなら税金70兆円と特別会計の保険料収入の75兆円の計145兆円が実質的な税収だと思っていますけどね。
それと比べても平然と借り換えが出来ている金額と同等ですからね。
「税が財源ではない」という事は数字が如実に示しているという事です。
これらは世間一般的にネットで言われている「闇」ではないと思うのですが、確実に日本を破壊していると思っている「財政破綻論」を補強する一つの要因ではないかと考えています。
◇会計を統合するメリット
質問者:
そうなると一般会計と特別会計を統合したほうがいいのでしょうか?
筆者:
正直なところ統合することによるシステム的なメリットはあまり感じないです。
統合すれば全ての部門が年度を跨ぐことが可能になることになると思うので、
中抜きなどがやりやすくなると思いますのでむしろマイナス面の方が出るでしょう。
※特別会計に移る段階で支出が甘くなっているという説もあるが検証不能
また、特別会計は財務省の直接管轄ではない(他の省庁の二次予算的な要素がある)ことからむしろ特別会計廃止による財務省権力の増強が懸念されます。
実際に毎年7兆円ぐらいは特別会計のみでエネルギー対策や保険事業と言った国債発行予算というのが存在しているようですからね。
これをもっと増やせと思うのですが……。
質問者:
特別会計を廃止したら今より更に財務省の権力が増えるなんて問題ですね……。
筆者:
ただ、会計を統合にすることで保険料収入を「税収入」、外国為替特別会計の為替差益などを簡単に確認することが出来るのであれば増税を封じることが出来る一因になる可能性はありますね。
システムの構造を理由に議員たちは「増税をしていない」と苦し紛れの答弁を繰り返しているわけですからね。
また、国債借り換えを平然と期を跨いで行えるという事を知らしめる意味では大きいかもしれません。
国債の状況を理解することが正しい貨幣観や信用創造について皆さんが知ってもらえる機会になると思いますからね。
質問者:
筆者さんが言う「江戸時代的貨幣観」から脱却するチャンスという事ですか……。
筆者:
仮にこのままの状態が続くにしても、
一般会計だけでなく特別会計も普通に国会を通っているので、
マスコミは報道するのなら平等にするべきだなとは思いますね。
質問者:
確かに社会保険収入も税収と同等に給料から引かれていることを考えると特別会計についても詳しく解説・報道して欲しいですよね……。
筆者:
ロクな報道していないからネットで言われているような「400兆円の闇」とか謎の風説が広まってしまうのだと思います。
「特別会計」というネーミングの割にはとりわけ異常な支出をしているわけではないと僕は考えます。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は特別会計の真の闇はネットで言われているようなことではなく、
社会保険徴収増額を「増税」としない根拠の一つになっていること、
国債の借り換えを行っていることをバレないようにするために存在している。
統合しないのならマスコミは特別会計も報道するべきだという事をお伝えさせていただきました。
今後もこのような政治経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。
特別会計や石井議員についての僕の現在のところの認識なので何か別の明確で客観的な根拠があればご指摘していただければ幸いです。