268『メグリはもう一人前の魔法少女だ』
巡・型落ち魔法少女の通学日記
268『メグリはもう一人前の魔法少女だ』
「メグリはもう一人前の魔法少女だ」
文化祭特別メニューの特盛アンミツを食べながらお祖母ちゃんは宣告した。
「さっき、ロシア語で喋れただろ?」
「あ、うん……」
広報のオネエサンに「あなたはブリヤート人?」と聞かれて「ニェット、ヤポンスキー」答えてしまった。
え、あれ?
すると、ゾフィーが「じゃ、クラスメート紹介します!」と遮って喋るのをやめた。だけど、その後のロシア語は完ぺきに理解できたし、喋ろうと思えば喋れた。
「ゾフィーは、割って入ったんだよ。メグリの魔法少女ぶりがバレないように」
「え、あ……そうなんだ」
「ええと……あの中二階のとこに自分が居ると想像してごらん。手すりに頬杖付いて下を見てる感じで」
「え?」
中二階に目を向けると、頬杖付いたわたしが下のフロアーを見ていて、あやうく目が合いそうになって、消えた。というか、お祖母ちゃんが消した。
「まだコントロールまでは出来てない。目が合ったら、ちょっと騒ぎになるかもしれないからね。でも、すぐにコントロールできるようになるさ……ちなみに……」
次の話をしようとしたところで、お仲間たちがやって来て話は中断したというわけ。
中庭でやった後夜祭も盛り上がった。この二年間、MITAKAやフォークの集いをやったのが素地になって、他の生徒たちも——あ、あのノリでやるんだ!——って直ぐに分かって集まってくれた。
後夜祭も盛り上がって、高校生活の大事な思い出になったんだけど、それについて語ってしまうと、尻餅をついてしまいそう。文化祭は体育祭と合わせて宮之森祭。
まあ、それが終わってからシミジミしよう。
そう思って、通学の朝。
例の喫茶店のガラス窓に映る自分に言い聞かせる。あれから、ガラスの自分を見て、自問自答してるっぽいわたし。
そういうことだからね、しっかりしろ、メグリ! と、念を押す。
——うん——
ガラスの自分が頷いた!?
え!?
すると、そいつはクリアーになってガラスをすり抜、こっちに向かって歩いてくる。
こいつは敵だ!
声も立てずにジャンプ! やつもジャンプ!
え!?
着地すると景色が一変して、ガスタンクの中!?
ほら、宮之森の駅の手前で見える粉ミルクの缶みたいな、いつか、ユリアと戦った、あのガスタンクの中(208『ユリアに奇襲攻撃される』)!
そう思い出すと、目の前のわたしの顔がプルプル震えてユリアになった!
☆彡 主な登場人物
時司 巡 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選になる
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子 3年1組 クラスメート
辻本 たみ子 3年8組
高峰 秀夫 3年6組
吉本 佳奈子 3年4組 バレー部
横田 真知子 3年8組 リベラル系女子(MITAKA初代代表)
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
ナースチャ アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)
カチューシャ エカテリーナ二世
ユリア ナースチャを狙う魔法少女
KOD 魔王 手下に四天王たち
安倍晴天 陰陽師、安倍晴明の50代目
藤田 勲 3年学年主任
先生たち 花園先生:1・2年の時の担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 世界史・3年1組担任:吉村先生 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
妖・魔物 アキラ 戦艦石見 藍(アオ、高松塚の采女)
その他の生徒たち 滝沢 栗原 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー) 高石(文化委員)
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人




