表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡(めぐり) 型落ち魔法少女の通学日記  作者: 武者走走九郎or大橋むつお
251/280

251『ああぁ、ペコさん……』

めぐり・型落ち魔法少女の通学日記


251『ああぁ、ペコさん……』 





 タキさんがグラスを取り上げ、やっとペコさんは水を飲むのをやめた。



 チャプン……チャプン……


 椅子に浅く座って天井を睨んで……いや、意識を失ってる(;'∀')。


「しばらくはこのままやなあ……」


 ペコさんの後ろに立って松の根っこみたいな腕を組むタキさん。


「い、いったいどうなっちゃったんですか……(;'∀')?」


「気を落ち着かせたろ思て、那智の御神水を飲ませてやったんやけどな。やっぱりプレッシャーが大きすぎて……まあ、一種のパニックや」


「え、え、それって……」


 心臓がドキドキしてきた。これまで、ペコさんはいろんなところで助けてくれた。正体はよくわからないけど、しかるべきところからわたしのサポートを依頼された忍者的なガーディアン。よく働いてくれて、何度も危機を救ってくれた。でも、ソ連のユリアが現われて、ナースチャがやってきて、ゾフィーまでやってくると、ちょっとキャパオーバー。

 ナースチャもゾフィーもけして悪さをするような子たちじゃないんだけど、ナースチャは守ってやる対象。ゾフィーは暴走しないように警戒しながら、暴走しない範囲においてはガードしてやるというか見守ってる感じ。わたしには仲のいいクラスメートなんだけど、それは、やっぱりペコさんが……ああ、なんか、わたしって頼り過ぎ……でも……だって……


「おまえも、水飲め」


「う、うん……」


「ちょっとだけやぞ」


 グビ


 !!?


 一口飲むと、スッと気持ちが落ち着いて……するともっと爽やかになりたくて喉が動きそうになるんだけど、グッと堪えて、グラスを置いた。


「おい、おまえら、ペコを連れてったれ!」


 タキさんが後ろに声を掛けると、カウンターからアイ・マイ・ミーの三人が顔を覗かせ、おそるおそるペコさんを奥のドアの向こうに連れて行った。


「しゃあない、儂が代わりに話したる……」


「は、はひ」


「じつはなぁ……おまえらが『美少女戦士隊、または美少女冒険隊、あるいは美少女巡礼隊』に目覚めて、ドラゴンやっつけてしもたやろ」


 ゴクン(-_-;)


「やっぱりあれがぁ……」


「あれで、魔皇帝っちゅうのがおまえらに目ぇつけよってな」


「え、エンペラー オブ ダークネス!?」


「せや、エンペラー オブ ダークネス、ここからは略してEODて呼ぶけどな」


「EOD……」


「まだまだ『ちょっと気にかかる』っちゅう程度のもんやけど、ときどきチョッカイ出してくるようになる」


 ちょっとって、どの程度……(((◎△◎)))?


「おまえらの出方次第」


「わたしらの?」


「魔族には『敵の出方論』っちゅうのがあってなぁ、敵の強さや出方で変えてきよる」


「それって……」


「まあ、EOD自身が出てくることは無いと思うねんけど、まだまだキング級は出てきよるやろ」


「え、それを、わたしらが相手しなくちゃいけないとか……(;'△')?」


「それだけやない、ゾフィーを本気で覚醒させてEODと勝負させたら、この世の終りや」


「ああ…………」


 ゾフィーの本性はエカチェリーナ二世、最強のロシアの女帝、それが時空移動と位相転換をして、この昭和の宮之森に現れたんだ。


「せやさかいな、ゾフィーに真の覚醒をさせんと、立ちはだかってくるEODの眷属どもを成敗せなあかんのや」


「そ、そんなぁ……」


「まあ、おまえらには学校があるさかい、ペコらが正面に立ちよる」


 立つって言われても、さっきのペコさん見たら、めっちゃ心細いんですけど。


「それでな……」


 タキさんが腰を上げると、奥のドアから三―が顔を出す。


「ペコさん、なんとか落ち着きました」


「お、ごくろう。例のもんは?」


「はい、こちらに」


 マイが差し出したのは……え?


「それ、高松塚の宝剣?」


「ああ、ちょっと今のペコには重すぎるんでな、おまえが使え」


「ええ、わたし、如意持ってるし!」


「あの耳かきはサブウェポンにしとけ、というか、如意と二刀流や」


「宮本武蔵じゃないんですけど!」


「ペコには、見合うソード……とは限らんけど武器を渡しとく」


 ズチャ


 テーブルに宝剣が置かれる。


「あ、ちょ……」


 コト


 アイがなにか置いたかと思うと、山盛りの海幸山幸のパスタ!


「儂の花向けや、モリモリ食うて、しっかりがんばれ」


「「「グッチ、ガンバ(⌒∇⌒)」」」


 アイ・マイ・ミーもメイドみたいな決めポーズ。


 夏休みは終盤に入って、とんでもないことになってきた(-_-;)。




☆彡 主な登場人物


時司ときつかさ めぐり   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる

時司 こたえ         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉のすぐりになる

滝川                志忠屋のマスター

ペコさん              志忠屋のバイト

猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)

宮田 博子ロコ         3年1組 クラスメート

辻本 たみ子            3年8組 

高峰 秀夫             3年6組 

吉本 佳奈子            3年4組 バレー部

横田 真知子            3年8組 リベラル系女子(MITAKA初代代表)

加藤 高明(10円男)       留年してる同級生

ナースチャ             アナスタシア(ニコライ二世の第四皇女)

カチューシャ            エカテリーナ二世ゾフィー・アウグステ・フリーデリケ

ユリア               ナースチャを狙う魔法少女

安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目

藤田 勲              3年学年主任

先生たち              花園先生:1・2年の時の担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史・3年1組担任:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)

須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている

早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん

時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  

妖・魔物              アキラ  戦艦石見アリヨール  藍(アオ、高松塚の采女)    

その他の生徒たち          滝沢 栗原 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長) 関根(MITAKA二代目リーダー)

灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ