174『学校の暖房についてからのぉ……ヘーックチ!』
巡・型落ち魔法少女の通学日記
174『学校の暖房についてからのぉ……ヘーックチ!』
教室のストーブは円筒形と箱型の二種類がある。
両方とも腰ぐらいの高さで、鳥かごみたいなボディーの中にスケルトンという穴だらけの素焼きの筒が入っていて、筒の中にガスバーナーがある。箱型は外からは様子が分からない。
両方とも、職員室入ったところの壁に全クラス分の連結ホースがぶら下げてあって、連結ホースは50センチほど青いゴムホースで、両端にカチット栓が付いている。
朝一番に来たものは職員室まで、このゴムホースを取りに行って、ストーブと元栓を連結して自分で点ける。
カチカチカチカチカチカチカチカチ……
気ぜわしく点火プラグが明滅して、数秒から数十秒後、ボッと音がしてガスに火が点く。日によってはガスの巡が悪くって、何度もカチカチカチを繰り返さなければならない。
やっと安定して燃え始めると、ストーブのパーツが熱膨張してチンチンチンと音がする。やがて、スケルトンがオレンジ色に焼けて、やっとストーブは暖房力を発揮する。箱型も同じだと思うんだけど、こいつは外からは様子がうかがえない。カチカチカチカチとボッは同じなので似たような作りなんだろうね。
そうそう、ゴム管には(2-3)とかクラスの札が付いている。職員室のホース掛けを見れば、どのクラスが使用中か一発で分かる仕掛けになっている。
ゴム管の取り忘れは放っておかれるけど、昼休を過ぎてもゴム管を返しに来ないと『2年3組、連結ホースが返却されていません、至急職員室まで返却しなさい』と名指しで放送される。
それで、ここからが本題なんだけど、ストーブの使用は4時間目まで。
規定では――4時間目を過ぎても室温が18度を下回る時は連続して使用を認める――ということにはなっている。
でもね、この18度っていうのは教室で計った温度じゃない。
「あれはな、事務室と校長室の間が両方からイケイケの給湯室兼倉庫になっていて、そこの温度計で判断してるんだ」
十円男がこっそり教えてくれる。
さすがは留年生、並みの二年生ではうかがい知れないことまで知っている。
「でも、それって事務室と校長室の間なんでしょ!?」
「おお」
「ハア……」
短くも非難がましい会話になる。
十円男の話では、事務室・校長室・保健室というのは、地球規模で言うと亜熱帯。ガンガンに暖房効いてるからね。その亜熱帯に挟まれた給湯室は広さが教室の1/3しかないし、境目のドアは開けっ放しのことが多く、その亜熱帯からの気流で、あの給湯室は温帯なんだ。
でも、給湯室独自には暖房設備が無いので、そこで学校全体の室温にしているわけなんだと。
前にも言ったけど、教室は窓側も廊下側も隙間だらけ。校舎は鉄筋コンクリートだけどもドアは木製。窓は鉄製だけどもパッキングされてないんで、キッチリ閉めても風が侵入してくる。
なにが言いたいかと言うと、給湯室で18度を超えていても、教室はそうじゃない場合が多いってこと! 特に窓側の後ろの席は全然違う!
ヘーックチ!
五時間目の樫山文男の授業で盛大にクシャミが出てしまう。ヘーックチ!のチ!は、なんとか我慢したんでマックスのヘーックション!にはならなかったことの現れなんだけど、盛大に鼻水と涎を噴出してしまってグチャグチャ。
「顔赤いですよぉ」
ロコが心配してオデコに手を当ててくれて、直後に叫んだ。
「先生、時司さん、すごい熱です!」
「ああっ……保健室に行って来なさい(-_-;)」
樫山文男は、授業を中断させられた不快感をもろにため息に載せて、それでも指示だけはする。
十円男でさえ、心配そうな顔をする中、わたしは保健室に。
廊下を歩いていると悪寒がし始め、保健室で計ったら8度2分も熱があった。
「しばらく寝てなさい」
ちょうど居合わせた長瀬先生にベッドで寝ているように指示され、毛布を顎の下まで被って目をつぶった……。
☆彡 主な登場人物
時司 巡 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選になる
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子 2年3組 クラスメート
辻本 たみ子 2年3組 副委員長 伯父:武藤頼政
高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子 2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
安倍晴天 陰陽師、安倍晴明の50代目
藤田 勲 2年学年主任
先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 世界史:吉村先生 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 長瀬(保健部長) 藤野先生(大浜高校) 樫山文男(化学の講師)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
妖・魔物 アキラ
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
安藤さん 伊勢半のバイトでいっしょになったおばさん、お茶の先生
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人




