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巡(めぐり) 型落ち魔法少女の通学日記  作者: 武者走走九郎or大橋むつお
153/280

153『魔法少女のわがままランチ』

めぐり・型落ち魔法少女の通学日記


153『魔法少女のわがままランチ』   






 平日の昼間から志忠屋に来ている、今日は修学旅行の回復休日だ。



 志忠屋は令和の宮之森にあるんだけど、妖や魔法使いたちのお店。


 パスタとシチューのお店で、注文すればたいていのものは作って出してくれる。



「はい、魔法少女のわがままランチ」



 ペコさんが、特製ランチのプレートを置いてくれる。


 ランチは、その昔、お祖母ちゃんの無茶な注文を受けて発案した特製ランチ。


 今まで、何度かオーダーしたんだけど「あれは、やめとき」とか「大人になってからにせい」とかもったいを付けて出してくれなかったメニュー。


 トンカツにイモサラダ、キャベツの千切りの横にはパスタのナポリタンとレモンが添えてあって、お椀のお味噌汁。トンカツのサイズが違うけど、学食のA定食と変わりがない。


 カウンターのソースをかけて、お箸でトンカツの一切れを口に運ぶ。


「うう~ん、肉厚で美味しいトンカツだ!」


「そうかぁ、ほんなら、最後までそう思て食え」


 タキさんが憎たらしいことを言う。


 まあ、この愛想の無さも志忠屋の値打ちで、それをペコさんが、こんな(^○^;)顔してフォローしてくれるのも、この店の味わいなんだ。

 ペコさんは、こないだ来た時よりもスレンダーで、いっそう可愛く美しくなっている。この不愛想で口ぎたないタキさんと働いていて美貌に磨きをかけているのは大したもんだ! とにかくトンカツが美味しい!


「ううん、やっぱりトンカツは脂身が入ってないと美味しくないですねえ」


 正直に誉め言葉が出る。


「その脂身はな、ペコがダイエットして減らしよった肉や」


「え、嘘ですよ(>_<。) 」


 一番テーブルにランチを届けてるペコさんが顔を赤くして否定する。


「それは、マスターの腹の肉だわよ」


 ランチを受け取ったつくも屋のマイさんが、混ぜっ返してMS銀行のアイさん、寿書房のミーさんが耳をヒクヒクさせる。


 三人のランチはエビフライ定食だ。マイさんがフォークを入れると、香ばしい海老とタルタルソースの匂いがする。


「ハ~ム……!?」


 二切れ目のトンカツを口に運ぶとエビフライになっている。


 あれ、ミックスフライ定食だったっけ?


 そう思って三口目に箸を付けるとアイさんのカキフライ定食が目に入って、三口目のそれはプリプリのカキフライになっている。


 ええ!?


 次にお味噌汁をすすると、ビーフシチュウ( ゜Д゜)。アイさんはビーフシチュウだったし!


 その後も、他のお客さんの料理が運ばれたり、その料理から、他のメニューを連想すると、自分のプレートの料理がコロコロと変わっていく!


「あ、面白くてお得感がハンパないです!」


 喜んで箸をつけるたびにコロコロ変わるランチを楽しむ。


「え、う、フググ!」


 ついに、口の中でメニューが入れ替わるようになってビックリ( ゜Д゜)。


 フライを食べたつもりがサビ抜きの中トロに変わり、もう一度咀嚼するとカラシを思い切り効かせたオデンになって、お水をすすると強炭酸のコーラ!


 ウ! 


 堪えたら、思い切り鼻からコーラが噴き出て死ぬような目に遭った。


「なあ、せやから言うたやろがぁ(๑ ิټ ิ) 」


「い、いや、コーラじゃ不覚をとったけど、分かってたし。な、なかなかなメニューだと思うしぃ(''◇'')」


「意地張ってんと、これにしとき」


 魔法少女のわがままランチが、いつものパスタセット大盛りに変わった。


「まあ、慣れたら、最初の直感で安定して変わらなくなるからね(^_^;)」


 暖かい笑顔を向けると、別の『魔法少女のわがままランチ』を岡持ち(出前箱)に入れるペコさん。


「じゃ、出前行ってきます」


 カランコロンとドアベルを響かせて出前に行った。


「出前始めたんですか?」


「ああ、年に何回かだけやけどな。それよりも、メグリ、修学旅行に行ってきたんやてなあ」


「あ、うん。いろいろ面白かった!」


「万博のタイムカプセル見に行ったんやろ?」


「うん、地上に出てるモニュメントだけだけどね」


「2000年に一個掘り出して、点検したんやてなあ」


「うん、5000年も待てないからね。あ、その時、赤松の種を植えて、ちゃんと芽を出すか実験したらしいです」


「ああ、これやなあ」


 タキさんが菜箸を振ると、カウンターの上に3D映像が映った。


 天守閣を背景に、半分だけ見えてるモニュメントの横に、わたしの背丈よりも大きく、でも、まだ幼木の雰囲気のアカマツがスックと立っていた。



 家に帰って調べると、例のアカマツは万博記念公園のほか三か所に植えられて、大阪城には無かった。根付かなかったのか、最初から植えられていないのか。


 調べてみようと思ったけど、歴史には微妙な分岐がある。


 未熟な能力で調べると、今日の『魔法少女のわがままランチ』みたいなことになる。


 そっ閉じにして、学校でやってみるタイムカプセルのことを考えてるうちに寝てしまった(^_^;)。


 



☆彡 主な登場人物


時司ときつかさ めぐり   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる

時司 こたえ         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉のすぐりになる

滝川                志忠屋のマスター

ペコさん              志忠屋のバイト

猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)

宮田 博子ロコ         2年3組 クラスメート

辻本 たみ子            2年3組 副委員長

高峰 秀夫             2年3組 委員長

吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部

横田 真知子            2年3組 リベラル系女子

加藤 高明(10円男)       留年してる同級生

安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目

藤田 勲              2年学年主任

先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)

須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている

早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん

時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  

妖・魔物              アキラ      

その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)

灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  

 

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