150『修学旅行・四日目・1(万博跡地を横に見て)』
巡・型落ち魔法少女の通学日記
150『修学旅行・四日目・1(万博跡地を横に見て)』
四日目の最終日は大阪だ。
基本的に去年といっしょらしいんだけど、去年は大阪を二日目に持ってきていた。
理由は簡単、大阪万博があったから。
つまり、三年生は修学旅行に万博を組み込んでいた。
万博も終わったんだから、大阪でもないと思うんだけど、すぐに代案も浮かばないので、最終日に持ってきた以外はそのまんま。学校というのは、なかなか慣習というか前例というものは変えられないんだね。
奈良を出発して程なく生駒山を超える。
おおぉ……!
意外に歓声が起こる。
目の前に大阪平野が広がり、手の届きそうなところに大阪湾。その向こうに淡路島、その右手には青々と六甲山脈と神戸の街も霞んで見えて、けっこう雄大な景色だ。
湘南の海も雄大で好きだけど、言ってみりゃ見渡す限り太平洋で水平線が見えるばかり。それが、この景色は日本地図でお馴染みの近畿地方の中心部が全部見えている。
「こんなに澄み渡って一望に見えるのはとても珍しいですねえ、きっとみなさんの普段の行動がいいからでしょう(^▽^)。左手に小さな森のように見えておりますのが仁徳天皇陵で、正面に見えております緑が大阪城で……」
バスガイドさんも職業意識に目覚めて、数分で、このパノラマのおおよそをガイドしてくれる。
「……大阪の端から端まで見えてるんだねえ」
「大阪は、日本一狭い自治体ですからねぇ」
真知子が呟いてロコが補足する。
日本は狭い国だけど、山越えの峠道程度のところから全景が見える都府県は、そんなには無い。こっそりスマホで検索すると、二十何年かすると関空が出来て、日本一は香川県に譲るみたい。
たまたまなのか、気をきかせたのか、バスは万博会場のど真ん中、万博会場とエキスポランドの間を通る。
「惜しかったですねぇ、去年でしたら本番に間に合いました。万博会場はほとんどのパビリオンが取り壊され、現在は、万博記念公園に生まれ変わるために工事中でございます。また、左側も一部設備をリニューアルして来年には新エキスポランドとして営業再開となっております。チラリと見えておりますのが五つのコースを持ち、その総延長は2340メートルと世界最長を誇りますジェットコースター、ダイダラザウルスでございます」
オオ…………!
「その向こうは観覧車ワンダーホイール、高さは40メートルですが、この北摂の地では一番の高さを誇ります。また、右手に見えますのが太陽の塔、大屋根は撤去されますが、岡本太郎の作になりますこの塔は永久保存が決まっております」
オオ…………!
「歓声は二種類ですねえ」
ロコが声を潜める。
「二種類?」
「はい、じっさいに行って懐かしんでいるのと、行けなくて残念がってるのとです」
「あぁ、そうだねぇ……」
行けなかった子には申し訳ないので、小さな声で賛意を表しておく。
10円男が小学生みたいに腰を浮かせてガイドさんの言う通り、ロコが指摘した通りの表情で見ているのが可笑しかった。
バスは、その10円男の残念を癒すように、宝塚ファミリーランドを目指すのだった。
☆彡 主な登場人物
時司 巡 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選になる
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子 2年3組 クラスメート
辻本 たみ子 2年3組 副委員長
高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子 2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
安倍晴天 陰陽師、安倍晴明の50代目
藤田 勲 2年学年主任
先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 世界史:吉村先生 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
妖・魔物 アキラ
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人




